「2016年から回避可能費用の算定方法が見直される予定」と、このブログでもお伝えしてきましたが、11月25日に経済産業省にて「小売全面自由化に伴う再エネ特措法施行規則等の改正に関する説明会」が開催され、回避可能費用単価の見直しの内容が明らかとなりました。
変更後の算定方法や、見直しに対する激変緩和措置の内容についてご紹介します。
新しい回避可能費用の算定方法
電力取引市場の「スポット市場」と「1時間前市場」の平均で計算されます。
計算例
※発電設備の立地するエリアの回避可能費用が適用されます。
「1時間前市場」とは、受渡の1時間前に取引できる市場で、スポット市場で翌日の電気の取引が行われた後、需要の急増や発電の不調など需給のミスマッチに対応することができます。
※「日本で唯一の電力取引所「JEPX」の役割」の記事も併せてご覧下さい。
現行の回避可能費用単価との比較
特定規模電気事業者(新電力)の現行の回避可能費用は、10.72円/kWh(平成26年4月1日以後に認定を受けた設備の場合)です。
一方市場連動となると、需給バランスによって価格が大きく変わります。
電力需要の少ない5月ですと、スポット取引の約定価格は1kWhあたり10円〜12円程度で推移しているようです。
しかし冷房を使う機会が多く電力需要が増大する夏場には、太陽光発電の最も発電する時間帯には、1kWhあたり20〜30円程度となることもあり、現行の回避可能費用単価と比較してかなり高くなることが想定されます。
見直しに対する緩和措置
回避可能費用が市場連動になると、現状の回避可能費用に比べて上昇することになり、太陽光発電の電力買取を行っている新電力会社にとっては電力の仕入れ値が上がるということになります。
こうした変動を緩和するため、一定の「激変緩和措置」が適用されます。
激変緩和措置の対象となる発電設備
(1)改正省令等の施行の際、運転開始しており、特定契約に基づき売電を開始しているケース
(2)改正省令等の施行の際、運転開始には至っていないが、公布日より前に特定契約と接続契約の両方を締結
したケース
再生可能エネルギーを利用した発電事業を行う事業者が、電力系統に接続し、発電した電気を売るために電気事業者と結ぶ契約です。
転売が行われた電力は激変緩和措置の対象外
もし需要量に対してFIT調達した電力量が大きくなった場合、需要量を超える電力は卸し電力取引所等で転売が行われたと判断され、激変緩和措置の対象外となります。
買取を行う電気事業者を変更したら激変緩和措置の対象外
一度激変緩和措置の対象となった設備でも、再生可能エネルギー電気の販売先を変更した場合は、変更後は新たな回避可能費用(市場連動の回避可能費用単価)が適用されることとなります。
激変緩和措置の期間
激変緩和措置が適用されるのは、新制度の施行後5年間です。
施行が2016年4月1日ですので、激変緩和措置の適用を受ける案件は、2021年3月31日まで現行の回避可能費用が適用されることとなります。
また激変緩和措置の終了前には、その時の状況をふまえて必要な措置が検討されるとのことです。