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FITは今後どうなっていくんだろうか、そんな疑問・不安を感じるニュースも少なくない今日この頃。
先行して固定価格買取制度が導入された国ではどうなっているのか? 気になって調べてみました。まずはドイツのFITから。

ドイツでの固定価格買取制度の歴史

再エネ買取制度のはじまり

1991年に電力供給法(StrEG)が施行され、ドイツの再生可能エネルギー買取制度は始まりました。
再生可能エネルギー源による発電電力を、電力会社が20年間買い取ることを義務づけたものです。
このときの買い取り価格は家庭向け電力料金の一定比率で買い取るというもので、価格的に魅力的ではなく、大きな普及効果はありませんでした。

本格的なFIT制度へ進化

電力供給法(StrEG)のもとでは、電力料金に連動した価格で再エネ電力が買い取られており、小売自由化による電力料金の低下により発電事業者の採算が悪化していました。
そうしたことを背景に、2000年4月に再生可能エネルギー法が施行され(EEG)、固定価格で20年間買い取られることに。これにより再生可能エネルギーによる発電に対する投資の安定性が確保できるようになりました。

また再生可能エネルギー普及の負担を公平に分担するため、FIT賦課金(サーチャージ)がはじまるのもこのときです。

その後何度も改正が繰り返され、2004年8月の再生可能エネルギー法改正法(EEG2004)では、太陽光発電による電力買取価格を引き上げました。約3割と大きな引き上げで、太陽光発電の導入が急速に進むこととなりました。

太陽光発電の導入量推移

2004年の再生可能エネルギー法改正法(EEG2004)により収益性が向上し、ドイツでも太陽光発電が大幅に拡大しました。
日本でも2012年にFITが始まって以来、急激に太陽光発電の普及が拡大した感がありますが、それ以上の大きな伸びです。

ドイツの太陽光発電の導入容量推移

太陽光発電電力の買取価格推移

ドイツでの太陽光発電による電力の買取価格は、設置場所(屋根上設置、地上設置等)と設備容量によって区分けされています。固定価格での買取期間は一律20年間です。

急速に普及が進んだドイツの太陽光発電ですが、設備導入コスト低下の速度に買取価格(タリフ)の低下が追いつかない、FIT賦課金による負担増に対する需要家の不満増大などの課題があり、何度も再生可能エネルギー法が改正され、太陽光発電の買取価格は順次引き下げられてきました。

2009年7月の再生可能エネルギー法改定

その年に導入された太陽光発電設備容量に応じて、翌年の買取価格の低減率を増減させる仕組みが導入されました。

2010年7月の再生可能エネルギー法改定

2009年の改正を受けて、買取価格引き下げ直前の駆け込みが発生したことなどにより、緊急の買取価格引き下げを実施、2010年7月以降に設置される新規太陽光発電について13%、2010年10月以降はさらに3%が引き下げられました。

2012年4月の再生可能エネルギー法改正法施行

2012年4月1日以降の太陽光発電設備に適用する買取価格を20〜29%引き下げた上、
毎月低減率が適用されることになりました。
例えば、10kWまでの屋根上設置の設備の2012年4月〜の場合、月々1%低減されていきました。

  • 2014年4月 13.28ユーロセント/kWh
  • 2014年5月 13.14ユーロセント/kWh
  • 2014年6月 13.01ユーロセント/kWh
  • 2014年7月 12.88ユーロセント/kWh

また年間の累積導入容量目標を52GWとし、達成以降の新規設備は買取対象外とすることになりました。

ドイツの太陽光発電の買取価格推移

固定価格買取以外の制度も

固定価格買取に加え、直接販売制度が導入

送電事業者が全て買い取っているFITですが、それに加えて再エネ事業者が直接市場に販売する市場プレミアム制度「Feed-in-Premium(FIP)」も導入されています。
再エネ事業者が直接電力取引市場へ販売し、市場価格に一定のプレミアムが上乗せされる制度です。
2012年の再生可能エネルギー法改正法から、FIT(固定価格買取制度)とFIP(市場プレミアム制度)が選べるようになりましたが、2014年8月の改正法からは500kW以上の新規発電設備はFIP(市場プレミアム制度)の適用が義務化されました。
2016年1月1日以降は250kW以上、2017年1月1日以降は100kW以上の設備はFIP(市場プレミアム制度)が義務化されることが決まっており、直接販売する対象設備が拡大します。

入札制の実証事業開始

競争入札によって買取価格を決定する入札制度も検討が進んでいます。
2015年から入札制度の試行が始まっていて、実証事業として毎年400MW程度の新規設備を募集しています。
またこの入札制度の実証事業開始とともに、地上設置型の太陽光発電設備はすべて入札制度へ移行されました。
しかし入札制度も、

  • 実際には買取価格が下がらなかった
  • これまで再エネ推進の担い手であった市民や中小企業などの参入が困難になる

等の課題が指摘されています。

高い再エネ賦課金(サーチャージ)

日本でも太陽光発電が急激に普及したことに伴い、電気を使うすべての人が負担する「再生可能エネルギー発電促進賦課金」も増加してきました。
日本の再エネ発電賦課金は、1kWhあたりの単価が1.58円です。月間300kWhくらいの平均的な使用量の家庭の負担は474円/月くらいとなっています。(2015年10月時点)

ドイツの賦課金はどうでしょうか?
2015年10月時点の賦課金は6.24ユーロセント(8.3円:1ユーロ132.4円として)/kWh。
月間300kWhを使用するとして2,500円、1年で30,000円くらいにもなります。

市民の出資によって設置される市民発電所も多く、一般市民が主役として再エネを推進してきたからこそ、このような高い賦課金への理解があるといえるでしょう。
とはいえこの大きな負担は問題視されており、再生可能エネルギー法の早期改正の必要性も議論されています。

ドイツの再エネの今後の見通し

2014年の再生可能エネルギー法改正法(EEG2014)にて、総電力供給量に占める再生可能エネルギー電気の割合を、2020年に35%、2030年に50%、2040年に65%、2050年に80%とする見通しが示されました。
固定価格買取制度が始まって15年、再エネ先進国として進んで来たドイツも、多くの課題に直面していますが、高い再エネ比率を目指す方向は変わりません。
日本のFITの今後の見通しの参考に、ドイツがどのように課題に取り組むのか注目していきたいと思います。

参考:

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