市場イメージ

2020年2月25日 に「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
この法律には「市場連動型の導入支援」=「FIP制度の創設」が含まれています。
FIP制度とはどんな制度なのかご紹介します。

FIPとはどんな制度か?

FIPとはFeed in Premiumの略で、一般的に“フィップ”と読まれます。
FIT制度は買取期間中は予め決まっている固定価格で必ず電力会社が買い取る制度ですが、一方FIP制度は卸市場などで販売した価格にプレミアムを上乗せする⽅式です。

プレミアムはいくら?

あらかじめ決めた「FIP価格」と市場価格平均などから決めた「参照価格」の差額がプレミアムとして設定される見込みです。
現時点ではFIP価格やプレミアムがいくらになるかは分かりませんが、FIT制度による総収入水準と同程度になるよう設定されるとのことです。

FIP制度とは

出典:総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会(第1回)論点1.「電源の特性に応じた制度構築」

FIP制度が創設される背景

FITは期間限定の制度

FIT制度の役割は、まだ普及が進んでいない段階において事業の予見性の高い方法を採用し、大量導入を促して低コスト化を進めること。普及が進んでコストが下がるまでの期間限定の制度と言えます。
コスト低下が進み、従来の電源と同等のコストで発電が可能になれば(=グリッドパリティ)FIT制度の役割は終わり、電力卸市場の自由競争のもとで取引されることを目指すことになります。

電力市場への統合を図るステップ

再エネの主力電源化を実現するには、再エネの発電事業者も他の電源の発電事業者と同様の役割が求められるようになります。
電力卸市場で取引し電気を購入してくれる需要家を探したり、より売電収入をあげるために需要の大きい時=電気代の高い時に売電する、といった行動が必要になるということです。
とはいえこれまで市場取引が免除され、売れ残りなどのリスクもなかった制度からの移行は、発電事業者にとっては難しいため再エネのさらなる導入に歯止めをかける恐れがあります。
電力卸市場での取引へのスムーズな移行の方策として、ヨーロッパで導入されたのがFIP制度です。

FIPの種類

ひとくちにFIPといっても、プレミアムを付加する方法はいろいろあります。
代表的な「プレミアム変動型FIP」、「プレミアム固定型FIP」、「プレミアム固定型FIP(上限・下限付)」「固定プレミアムと変動プレミアムの中間」をご紹介します。

プレミアム変動型FIP

電力卸市場価格の上下に応じて、付与するプレミアムが変動する型。
メリット:FITと同様に売電収入を予想しやすい。
デメリット:市場を意識した行動が促されない。
プレミアム変動型FIP

プレミアム完全固定型FIP

固定額のプレミアムが市場価格に上乗せされる型。
メリット:市場での売買に近く、市場を意識した行動が促される。
デメリット:市場の変動に関わらずプレミアムが長期間固定されると、売電収入の予測が困難。
プレミアム完全固定型FIP

プレミアム固定型FIP(上限・下限付)

「プレミアム完全固定型FIT」に売電価格の上限価格と下限価格を設定する型。
市場価格が下落し、固定のプレミアムが上乗せされても下限価格を下回る場合は、下限価格が売電価格となります。反対に市場価格が上昇し上限価格を上回る場合は、上限価格が売電価格となります。
メリット:市場価格の変動による売電収入への影響をある程度抑えられる。
デメリット:上限価格、下限価格の適正な設定が難しい。
プレミアム固定型FIP(上限・下限付)

固定プレミアムと変動プレミアムの中間

プレミアム変動型にもプレミアム固定型にもそれぞれメリットとデメリットがあり、その中間の型が検討されています。
市場価格を鑑み、一定期間(1ヶ月〜1年程度)で市場参照価格を変動させる型。
市場価格が下落しても売電収入への影響をある程度抑えられ、投資予見性が確保できることに加え、
市場価格に連動して売電価格が変動するので、市場を意識した行動も促されるため、この中間型で検討が進むと見られます。
固定プレミアムと変動プレミアムの中間

参考:

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