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「回避可能費用」という言葉を聞いたことはありますか? 
回避可能費用は、電力会社が再生可能エネルギーによる電力を買い取り、利用者への販売をするうえで大きく関わっています。回避可能費用の意味と、その算出方法について簡単に説明します。

回避可能費用の意味

経済産業省によると、回避可能費用は『電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができた費用をいう。』と説明されています。つまり、電力会社が持つ発電所で1kWh発電するために必要となる経費が、1kWhあたりの回避可能費用ということです。電力会社が自前の電源で発電しても、再生可能エネルギーを購入しても、同じだけのコストとなるように設定されています。

固定価格買取制度と回避可能費用の関係

太陽光発電など再生可能エネルギーによって発電した電力を、電力会社は固定価格で一定期間必ず買い取らなければなりません。これを「固定価格買取制度(FIT)」といいます。FITで設定されている価格は「再生エネルギー発電賦課金(再エネ発電賦課金)」と「回避可能費用」をもとに決められています。再エネ発電賦課金とは、電気の利用者全員が一律して電力会社へ支払うお金で、再生可能エネルギーによる電力を購入した電力会社にも再分配されています。

太陽光発電の回避可能費用

太陽光発電の回避可能費用は、2014年度から算出方法が変わりました。以前は、太陽光発電をはじめ、風力発電やバイオマス発電、地熱発電など全ての再生可能エネルギーを一律にして、「全電源平均可変費単価」から算出していました。「全電源平均可変費単価」は、原子力発電・火力発電・水力発電など、電力会社が持つ既存の電源による発電コストの平均です。ですが、太陽光発電や風力発電は天候に左右されるため安定した発電ができず、発電量を調整する際に火力発電を稼働します。つまり全電源平均可変費単価では回避可能費用の適切な計算が難しいため、いままでの算出方法が見直されました。現在、太陽光発電・風力発電などは「変動制再生可能エネルギー」と分類し、火力発電にかかるコストをもとに回避可能費用を算出しています。

回避可能費用は上昇していく傾向にある

火力発電は石油、天然ガスを使用しており、発電単価が高い状況にあります。そのため、太陽光発電の回避可能費用は2014年から高くなりました。また、2016年の電力全面自由化を見据えて回避可能費用のベースを市場価格にして算出するという動きがあり、回避可能費用はさらに上昇すると予想されます。
回避可能費用が上昇することは、分配される再エネ発電賦課金が減るため、電力の仕入れ値が上がるということになります。特に新電力会社にとっては利益の増減に直接影響する大きな要因となるため、今後回避可能費用の算出方法がどう変わっていくか、ますます目が離せないでしょう。

参考:

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