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日本卸電力取引所(JEPX)注1)を利用した取引は、新電力会社が電気を売買する方法の1つです。JEPXを利用した電気取引は、高値での売電を可能にすることもあれば、設備トラブルなどで電気が不足した際の調達先としても有効です。JEPXの役割や機能を紹介します。

注1):Japan Electric Power eXchange

JEPX設立の経緯

JEPXは電力自由化の流れを受けて設立した日本で唯一の電力取引市場です。2003年に経済産業省電気事業分科会の答申を受け、電力会社や新電力会社の出資により設立し、2005年から取引を開始しています。会員(会社)のみが市場での取引が可能な卸市場ですので、消費者や需要者が直接電気を買うことは出来ません。市場が開設した当初の会員数は27社でしたが、2015年現在は100社を超え、新規に加入した事業者のほとんどは新電力会社です。

JEPXが取り扱う市場

JEPXでは現物の電気(kWh)のみを取り扱っています、主な市場は以下の通りです。

スポット市場

翌日に受け渡す電気を売りもしくは買いで、量と価格の組み合わせを入札します。単位は30分単位の1日48コマで、最低取引単位は1000kWh(1コマあたり500kWh)です。JEPXの取引の内、ほとんどがスポット取引です。ブラインド・シングルプライスオークション方式注2)で約定するため、入札金額に関わらず、売り札と買い札の交点が取引価格となります。

注2):ブラインドとは、入札する会員には他の参加者の入札量や価格が見えないという状況を指します。1コマにつき1つの約定価格が決定され、全員がこの約定価格で取引をします。

先渡市場

将来の特定期間に受け渡す電気の取引を行います。月間もしくは週間の、24時間もしくは昼間で組み合わせた商品があり、いつでも売り札や買い札を出すことができ、価格と量が折り合えば取引が成立します(ザラ場方式)。売り手と買い手が契約する先渡定型取引と、匿名で行う先渡市場取引の2つの方法があります。

時間前市場

スポット市場での取引後に、発電不備や需要が急増するなど不足の事態が起こった場合に取引が出来る市場です。スポット市場と同様に30分単位で取引が可能で、1日3場(1場:13時~17時、2場:17時~21時、3場:21時~翌13時)に分けて市場が開いています。

分散型・グリーン売電市場

2012年に新設された市場で、会員ではなくても太陽光発電や緊急電源、コジェネレーション設備(熱電併給)など、小型の発電設備による余剰発電を販売することができます。スポット市場の最低取引単位である1000kWh以下の電気も取引することができます。買い手は会員に限定されています。

JEPXに求められる役割

JEPXに求められる役割は、電力の有効活用と透明性のある価格指標の形成です。新電力会社には30分単位の需要量と供給量の差が±3%以内のバランスを保つことが求められています。そのためには、たくさん発電をした場合や電力が足りない場合にJEPXを利用した電気取引が有効です。しかし、全体の電力販売量のうちJEPXで扱われている電力量のシェアはごく僅かで、2013年時点では1.2%ほどしかありません。電力の自由化を推し進めるためには、市場の活性化が必要です。大手電力会社による売電量を増やすことや、リアルタイムでの売買を可能にするなど、JEPXでの取引量が増えることが求められています。

参考:

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