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来年2016年より、回避可能費用の算定方法が見直される予定です。
(回避可能費用については、こちらをご覧ください。)

今回は、なぜ回避可能費用が見直されるのか? また、回避可能費用が見直されることによる影響について説明します。

固定買取制度の内訳

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。

こちらの内訳は大きく二つの費用(回避可能費用・再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下再エネ賦課金)に分かれます。このうち再エネ賦課金とは、電力会社が買い取る費用を電気をご利用の皆様から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えています。
この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より普及が進みます。

増え続ける再生可能エネルギー

近年、特に固定買取制度実施以降、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入が顕著に進んでいます。このまま増え続けると電気の利用者、つまり日本国民一人ひとりの再エネ賦課金負担が増えることになります。(平成27年度の賦課金単価は、1kWh当たり1.58円(標準家庭〔一ヶ月の電力使用量が300kWh〕で月額474円)

この負担を削減するためにも、もう一つの費用である「回避可能費用」の見直しの検討が開始されました。

製造コストから市場連動へ

現在、回避可能費用は『電力会社が再生可能エネルギーを買い取ることにより、本来予定していた発電を取りやめ、支出を免れることができた費用をいう。』という経済産業省の説明どおり、電力の、いわば、「製造コスト」ベースで算出されています。
しかし、見直しが実施されると、費用計算方法は需要に応じて価格が変動する市場連動型に変わり、JEPXの相場で電力の取引が実施されるようになります。実際、これまでの「製造コスト」ベースでの費用は約8円~12円ですが、市場連動型になると、スポット価格が高めに推移している現状から、回避可能費用は上昇する可能性が高く、したがって、再エネ賦課金の費用が抑えることができる仕組みになります。

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回避可能費用見直しによる影響

新電力会社(PPS)による太陽光発電の電力買取が行われていますが、現状の回避可能費用(市場価格より安い調達)を前提に買い取っているため、供給力に占めるFIT電源の割合が高い企業が多いのが現状です。
仮に、来年度から一切の経過措置なしで市場価格連動に移行すると、急激なコストアップにより経営に影響が出ることが想定されます。
それに対して経済産業省では、5年間程度現行の回避可能費用で再生可能エネルギーを購入できる「激変緩和措置」を講じるなど対策をたてる検討がなされています。

参考
再生可能エネルギーの平成27年度の買取価格・賦課金を決定しました | 経済産業省
回避可能費用の算定方法の見直しについて | 資源エネルギー庁(PDF)
JEPXホームページ
低炭素投資促進機構ホームページ

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