九州電力管内では、すでに九州電力が2016年7月に「九州本土における再生可能エネルギーの導入状況と優先給電ルールについて」というプレスリリースを出し、出力抑制の可能性と手順などについて公表していますが、四国電力管内についても、2016年12月20日に、太陽光発電設備などに対して出力抑制を実施する準備として、「優先給電ルール」と出力制御の手順などについて確認するリリースを四国電力が発表しました。
四国電力管内での出力制御がいつ実施されるかについては、需給のバランスで左右されるため未定ですが、出力制御の準備を行うことを前提に四国電力と接続契約を締結された発電事業者の方は、今後出力制御の対応を求められることは確実です。
そこで四国電力管内での出力制御の概要と、低圧太陽光発電設備の準備内容をメインにお伝えいたします。
参考:エコめがねエネルギーBLOG・出力制御関連記事
四国電力管内での太陽光発電の導入状況(平成28年10月末時点)
上のグラフは四国電力管内の太陽光発電の導入状況(平成28年10月末時点)です。
このエリアでの太陽光の接続可能量(30日等出力制御枠)は257万kWですが、四国電力の報告によると2016年10月末に196万kWに達しました。
グラフ上の推移(16ヶ月)での設置容量は48万kWですので、今後2年以内に、接続可能量(30日等出力制御枠)分の太陽光発電所が四国電力管内に設置される可能性があります。
- 接続可能量(30日等出力制御枠)については以下のページを参考にしてください。
エコめがねエネルギーブログ:太陽光発電の接続可能量「2015年度算定値」と「30日等出力制御枠」 - 四国電力管内は四国エリア以外に、淡路島南部エリア(南あわじ市、洲本市など)も含みます。詳しくは以下のHPを参考にしてください。
関西電力:淡路島南部地域における太陽光および風力発電設備の系統連系状況について
四国電力管内需給バランスのイメージ
四電管内における2017年5月(大型連休)の需給バランスのイメージ
上のグラフは四国電力管内における来年度(平成29年)ゴールデンウィーク中の晴れの日の電力需給のフォーキャストです。GWがサンプルにあげられるのは理由があります。
- 需要面・・・電力需要が最も低いシーズンである
- 【理由】
- 多くの法人事務所や工場が休日に入り電力需要が下がる
- エアコンの利用が少なくなり、日照時間が長くなるため電灯の利用がさがる
- 供給面・・・太陽光発電がもっとも発電するシーズンである
このグラフをみると、四国電力は今回のリリースで、GW中に太陽光発電の出力が、最大で需要の85%に達する可能性があるとのフォーキャストを発表していますので、接続可能量(30日等出力制御枠)に達する前でも、30日(360時間)に満たない範囲で、出力制御が始まる可能性もあることを示唆しています。
出力制御対応が必要な低圧太陽光発電所は?
今後、四国電力管内での低圧太陽光発電事業者の方には、出力制御の対応が求められらますが、接続契約申込の受付日により、無補償での出力制御の上限時間や出力制御方法が異なりますので注意が必要です。
詳しくは以下の通りです。(カッコ内は四国電力管内における接続済および契約申込済設備量の合計)
平成26年12月2日に接続契約受付済の場合(219万kWまで)
出力制御対象外
平成26年12月3日から平成28年1月22日までに接続契約受付済の場合(219万kW超、257万kW以下)
無補償での出力制御上限:年間360時間
制御方法:自動制御(出力制御機能付PCS等)
平成28年1月25日以降に接続契約受付済の場合(257万kW超)
無補償での出力制御上限:無制限
制御方法:自動制御(出力制御機能付PCS等)
出力制御の実施内容(低圧太陽光発電設備の場合)
出力制御は、上記で対象となる事業者を、抑制区分や区分内の設備量等により、複数のグループに分け、グループ単位で実施します。四国電力ウェブサイトには「複数のグループを同時に出力制御する場合があります」とあります。
グループ分けなどの詳細についてはまだ公表されていませんので、今後の発表に注意が必要となります。
出力制御実施の連絡方法
低圧太陽光発電の場合、出力制御は出力制御機能付パワーコンディショナー(以下PCS)等への制御信号による自動制御で実施されるため、特別な対応は必要がありませんが、実施連絡については以下の手順で行われる予定です。
- 【前日】
- 前日17時頃までに翌日の出力制御の実施をホームページへ掲載
- 【当日】
- 当日に出力制御を解除する場合は、1時間前を目安にホームページに掲載
出力制御対応に必要な準備
出力制御には、「出力制御対応可能なパワーコンディショナー」の準備が必要となります。ところが、「出力制御対応可能なパワーコンディショナー」の解釈に誤解が多いので注意が必要です。
「出力制御対応可能なパワーコンディショナー」とはPCS本体だけの準備ではなく、「出力制御ユニット」の設置も必要となります。この2つが揃って初めて出力制御に対応したことになり、この2つをあわせて「PCS(広義)」と呼びます。低圧太陽光発電所にて出力制御の準備を実施する場合はこの「PCS(広義)」が必ず必要となります。
また、出力制御のスケジュール情報は常に更新されるため、インターネットにて自動更新ができるよう発電設備には通信モデムの取り付けをお勧めいたします。
※出力制御対応機器について詳細は、太陽光発電の出力制御まとめ > 出力制御対応機器とは?も参考にしてください。
参考: