農地の上に太陽光発電を設置するソーラーシェアリングは、再エネ導入方法として期待が高まっており、導入を促進するための補助事業も実施されています。
FIT/FIPを活用しないソーラーシェアリング事業に対する補助事業が、令和三年度補正予算、令和四年度予算で行われますのでご紹介します。
2022年6月時点の情報です。公募実施時に内容が変更されている場合がございます。ご注意ください。
補助金概要
PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進加速化事業の中の
(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
という事業があり、その中に含まれる
②地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業
という事業に、「営農地」を活用した太陽光発電の導入支援が含まれています。
参考:PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業の事業概要(PDF、3ページ目が当該補助事業)
予算
PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進加速化事業としての予算は以下のとおり。
- 令和3年度(補正予算)113.5億円
- 令和4年度予算額 38億円
この予算額のなかから、ソーラーシェアリングへの補助にいくら使われるかは、現時点では不明です。
対象者
民間企業や個人・個人事業主など。
ただし個人・個人事業主の場合は、農林水産事業者に限る。
※詳細は 公募要領 6ページ「2.5補助金に応募できる者」でご確認ください。
対象となる発電事業の主な要件
- 営農地への太陽光発電設備の導入
- FIT、FIP制度による売電を行わない
- 自己託送による電力供給を行わない
- パワコン容量10kW以上、積載率100%以上(パネルkW/パワコンkW)
- コスト要件を満たすもの<後述>
- 発電電力の供給先の要件を満たすもの<後述>
※詳細は 公募要領 2ページ「2.1 補助対象事業の要件」でご確認ください。
営農地とは
農林水産業の生産活動に係る適切な事業計画が確保される農地等。採草放牧地も対象です。
補助率
2分の1(補助金の上限は3億円)
対象設備
補助の対象となる設備は以下のとおり。
- 太陽光発電設備(パネルやパワコン、架台など)
- 定置用蓄電池 ※条件あり
- 自営線
- エネルギーマネージメントシステム(EMS)
- 受変電設備
- その他協会が適当と認める設備
補助対象となる定置用蓄電池の条件
- 発電した電力を平時から繰り返し充放電するものに限られます。(保安防災のみを目的としたものは補助対象外)
- 据置型(定置型)であること。原則として、アンカーボルトなどで固定して設置すること。(置き基礎は認められません)
- 実証段階、中古品でないこと。
- 4800Ah・セル未満の家庭用蓄電池は、申請時点で 国の補助事業における補助対象機器として、一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)により登録されている製品 であること。
対象経費
補助対象となる経費の範囲は以下のとおりです。
- 補助事業を行うために必要な工事費(本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及試験費)
- 設備費
- 業務費及び事務費
上記に含まれないもの、例えば、土地取得費用、農地転用申請費用、系統連系申請費用などは補助対象外となります。
コスト要件
補助対象となる経費の合計が一定金額以下に抑えられている必要があります。
太陽光発電設備、蓄電池、それぞれの要件があります。
太陽光発電設備のコスト要件
補助金を受けることで、太陽光発電設備(パネルやパワコン、架台など)の導入費用(工事費、設備費など)が以下の金額を下回るものであること。
10kW以上50kW未満:30.35万円/kW
50kW以上:20.59万円/kW
計算式
[(太陽光発電設備の対象経費)× 1/2 ] ÷ PCSの最大定格出力
例えば49.5kWの設備であれば、
30.35万円 ✕ 49.5kW ✕ 2 = 3,004.65万円
まではコスト要件を満たすということです。
定置用蓄電池のコスト要件
蓄電池にかかる費用が下表の目標価格を下回ること。
区分 | 蓄電システム・機器仕様 | 目標価格(工事費込) |
---|---|---|
業務・産業用 | 4800Ah・セル以上 | 19万円/kWh |
家庭用 | 4800Ah・セル未満 | 15.5万円/kWh |
発電電力の供給先の要件
発電した電力をどこで利用するかについても要件があります。以下のいずれかに当てはまることが必要です。
発電電力の供給先
①当該発電設備と同一敷地内にある施設、または自営線供給が可能な施設
②農林漁業関連施設、または地方公共団体の施設(発電設備と同一都道府県内に限る)
自営線とは
事業者が自ら敷設した電力用電線のこと。
電力系統へ接続せずに、発電設備から需要施設まで直接送電します。
農林漁業関連施設とは
農業者、林業者、漁業者またはこれらの者の組織する団体が所有又は管理する施設のこと。
余剰電力が発生した際の供給先
もし供給先の電力使用では発電電力が余った場合も、小売電気事業者へ売電することはできません。余剰電力の使い道は、発電電力の供給先ごとに制限があります。
①同一敷地内施設 又は 自営線供給が可能な施設へ供給する場合の余剰電力の使い道
- 自営線で別施設へ供給 → 可
- それ以外 → 不可
②農林漁業関連施設、または地方公共団体の施設へ供給する場合の余剰電力の使い道
- 同一敷地内で自家消費:可
- 系統に接続し、別の農林漁業関連施設または地方公共団体の施設へ供給:可
- それ以外:不可
加点ポイント
補助金は申請すればかならず交付されるわけではありません。
応募するには要件を満たしていることが必須となりますが、それ以外にも重要視され審査で加点される項目がありますのでご紹介します。
- 地球温暖化対策推進法(=温対法)に基づき市町村が定める促進区域での事業は優先採択。
- 直接的なCO2削減効果の費用対効果等が高い。
- 蓄電池を導入する。
- RE100、再エネ100宣言RE Actionへ参加している。
などが加点されます。
※詳細は 公募要領 7ページ「3 補助対象事業の選定」でご確認ください。
公募スケジュール
令和3年度(補正予算)分 一次公募…2022年5月17日(火)~6月17日(金)(終了)
令和3年度(補正予算)分 二次公募…2022年6月27日(月)~7月27日(水)(応募状況によっては実施しない場合もあり)
令和4年度(当初予算)分…公募スケジュール未定
事業実施のスケジュール感
令和3年度補正予算一次公募を例に、公募期間を基準として、いつ頃に、何をする必要があるかをまとめました。
- 公募期間中に、応募書類 作成・提出
審査に約1〜1.5ヶ月 - 採択された場合、決定通知を受けます(公募締切から約2か月後)
- 一時転用許可を取得後、交付申請書類 作成・提出
- 交付決定通知(公募締切から約3か月後)
- (交付決定日以降)事業開始
- 工事請負契約等
- 工事
- 検収・支払 (翌年1月31日まで)
- 完了実績報告書 作成・提出
完了実績報告書の審査 (書類審査、必要に応じ現地調査があります) - 交付額が確定し、通知されます
- 精算払請求書 作成・提出
- 補助金支払い(3月31日まで)
- 事業報告書 作成・提出 (直環境大臣宛て)
以上、2022年度に使えるソーラーシェアリング補助金についてのご紹介でした。
分かりやすいよう単純化してご説明している部分がございます。ご興味をもたれた場合は、執行団体の公式ウェブサイト等で詳細をご確認ください。
参考:
(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業に係る公募のお知らせ ②地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業公募情報 | 一般社団法人 環境技術普及促進協会