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太陽光発電を含む再生可能エネルギーの取引は、発電事業者と小売電気事業者の両者が電力消費量に合わせて供給する電力量を常に一致させ続ける計画値同時同量を求められる上、小売電気事業者は発電事業者が発電した電力全てを買い取ることが義務付けられています。
今回は、需給バランスを求められ、他方では全ての発電を買い取るといった双方の整合性を保つために措置されたFITインバランス特例について説明します。

インバランスリスクと固定価格買取費用の乖離

電気は電力消費量に合わせて供給する電力量を常に一致させ続ける必要があることから、実需給の1時間前までに、発電事業者と小売電気事業者に対し、発電計画と需要計画を確定させ、計画通りの発電・需要を求める制度「計画値同時同量制度」があります。

参考:同時同量については以下のページでも解説しています。
今さら聞けない「出力制御」〜なぜ出力制御が必要なのか?〜

発電事業者は計画値同時同量制度において、発電と需要による差(発電インバランス)が発生しないことが求められ、原則として発電計画作成コストと発電インバランスリスクにかかわるコストを負担しなければなりません。しかし、太陽光や風力による発電事業者(特に家庭)は天候に発電量が左右されるため発電予測が困難です。

一方固定価格買取制度では、全ての発電電力をFIT価格にて買い取ってもらえるため、発電事業者にインバランスリスクは発生しません。

この乖離を解消するため、発電事業者に代わって、一般送配電事業者、もしくは小売電気事業者が発電計画とインバランスのコストを担う制度、FITインバランス特例が措置されました。

FITインバランス特例は①一般送配電事業者が、②小売電気事業者が、計画発電量の設定通知を実施し、インバランスリスクを負担する制度の二通りあります。選択権は小売電気事業者にありますが、更新は年1回になります。

FITインバランス特例制度とは

【FITインバランス特例制度①】

FITインバランス特例1

出典:資源エネルギー庁「小売全面自由化に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて」

(1)特定契約を締結した小売電気事業者は、特定契約を締結するFIT電源全体をインバランスの精算単位とする特別なバランシンググループ(以下BG)を設定。
(2)BGに組み込まれた特定供給者(再エネ発電事業者)の計画発電量は、一般送配電事業者が設定。
(3)計画発電量と実発電量の差分は、インバランスの対象とするものの、特定供給者は実発電量を小売事業者にFIT価格で引き渡し、インバランスは小売電気事業者が精算。

【FITインバランス特例制度②】

FITインバランス特例2

出典:資源エネルギー庁「小売全面自由化に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて」

(1)特定契約を締結した小売電気事業者は、特定契約を締結する特例制度②のFIT電源全体をインバランスの精算単位とする特別なBGを設定。
(2)BGに組み込まれた特定供給者の計画発電量は、小売電気事業者が設定。
(3)計画発電量と実発電量の差分は、インバランスの対象とするものの、特定供給者は実発電量を小売事業者にFIT価格で引き渡し、インバランスは小売電気事業者が精算。

参考:電気事業類型

電気事業類型

出典:経済産業省「電力システム改革の概要」

交付金にインバランス料金を加味

FITインバランス特例において、本来負担する必要のなかった発電計画とインバランスのコストを賄うために、小売電気事業者や一般送配電事業者にはインバランスリスク等に相当する費用が交付金に加味されます。具体的に配布される交付金は以下の式で表されます。

交付金=X-Y+Z円
(平均的なインバランスリスクを含む)

※X:FIT買取費用
  Y:回避可能費用(注1)
  Z:インバランスリスク(発電計画作成コスト含む)

この交付金は一旦小売電気事業者に交付され、
特例2においては小売電気事業者がそのまま受領し、
特例1においては小売電気事業者が一般送配電事業者に対し、託送料金支払の際、インバランスリスクなどに相当する額を併せて精算を行うスキームになります。

FITインバランス特例1、2におけるインバランスリスク等の精算方法(イメージ)

出典:資源エネルギー庁「小売全面自由化に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて」

インバランスリスクについての考え方

交付金に加味されるインバランスリスクの単価については以下のように計算されます。

インバランスリスク単価=
(小売全面自由化後のインバランス料金単価※1-小売全面自由化後の回避可能費用単価)×全国大のインバランス発生率※2

※1 ここでいうインバランス料金は、通常のインバランス算定式(スポット市場価格と一時間前市場価格の30分毎の加重平均値×α×β)で算出されたインバランス料金を指しており、インバランス特例①におけるインバランス料金ではありません。
※2 全国大インバランス発生率=全国大FIT発電インバランス/全国大FIT発電実発電量

実際に平成26年度の実績から計算すると 1.13円×12.5%=14銭/kwh
になります。

特定契約の応諾義務の例外の見直し

FITインバランス特例①を選択した場合、負担のないインバランス料金で精算が可能になるため、特定契約の応諾義務の例がであったインバランスの発生を考慮する必要がなくなります。ですので、再エネを受け入れる小売事業者が拡大することが期待されます。

参考:
資源エネルギー庁 新エネルギー対策課「小売全面自由化に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて」