全面自由化まであと1年!今さら聞けない電力自由化

2016年4月に「電力全面自由化」がはじまります。これによって具体的に社会がどう変わるのか? 電力自由化がもたらす消費者へのメリットや、電力自由化が進められてきた経緯について解説します。

電力自由化とは何か?

2014年に国会で「改正電気事業法」が成立し、2016年4月以降は一般家庭でも電力会社を自由に選べるようになります。これが「電力自由化」です。
これまで日本では各地域に設けられた電力会社10社が電力供給をしており、消費者は自ら電力会社を選ぶことはできませんでした。
日本の電力市場は独占状態が続いていましたが、電力自由化によって、電力事業者は独自で料金やサービスを設定し、消費者へ販売することができるようになります。また、消費者は利用する電力会社を自分の意志で決められるようになるのです。

電力自由化による消費者の利益は?

消費者が電力会社を自分で選べることで、消費者には電気料金が安くなるという可能性が出てきます。「できるだけ安く提供することで自社と契約してもらおう」という競争の原理によって、電気料金が現状よりも下がることが期待できます。独占状態だった既存の電力会社ではなく、新しい参入業者が低コストで電力を供給できるようになるかもしれません。既に電力自由化が進んでいる海外において、実際に電気料金の値下がりがみられます。

電力自由化は少しずつ進められてきた

電力自由化は15年以上前から段階的に進んできました。契約電力が大きいビルや工場、施設などでは既に始まっており、既存の電力会社ではない事業者から電力を購入している契約者もいます。
50kw以上の契約電力が自由化されたのは2005年のことでしたが、2016年の一般家庭まで含めた全面自由化が決まるまでには10年以上もの期間がありました。3.11の原発事故によって電力供給が不足したことは、改めて電力自由化を促進する契機になったといえるかもしれません。

電力市場に参入するハードルが下がった

電力自由化が実現できる大きな理由として、電力市場への参入ハードルが下がったことが挙げられます。既存の電力会社は大規模な発電設備を持っていますが、新規参入事業者がそのような施設を造るには莫大な投資が必要です。ほかにも発電技術やノウハウなど、参入するためにはハードルの高い状況が続きました。現在では、再生可能エネルギーの技術進歩など小規模な発電が低コストで行えるようになり、大規模な経営でなくても事業に参入しやすくなっています。
一般家庭での電力自由化が始まれば、自らの意志で電力会社を選ぶことができるようになります。国際的にみてもかなり後れを取っていた日本の電力自由化が、ようやく動き始めるのです。

参考:

※本記事の情報は投稿した時点のものであり、閲覧されている時点で変更されている場合がございます。あらかじめご承知おきください。