脱炭素が加速する話題をこのブログでも多くご紹介してきました。
再エネをどんどん増やすと言っても、時間帯や天気、季節で変動する発電量をどうやって吸収するのか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
再エネの変動する発電電力をどう調整するかをメインに、電気の需給バランス調整方法をご紹介していきます。

【基礎知識】同時同量

電気は基本的に貯めることができません。
刻々と変動している需要(電力消費量)に合わせて供給する電力量(発電量)を常に一致させ続ける必要があります。
これを「同時同量」といいます。
予測される需要に応じて発電所の稼働や出力を調整して需給バランスを保っています。

同時同量イメージ

出典:出力制御について | 資源エネルギー庁

カーボンニュートラルの実現に向け、再エネの導入がどんどん進みますが、太陽光発電や風力発電などの再エネは天候や季節の変化により発電量が大きく変動するという課題があります。
“変動する再エネ”と“同時同量”の両立は必須で、再エネを増やすためには、調整力の強化が必要ということになるのです。

需給バランス調整方法

火力発電での調整

火力発電による調整

出典:出力制御について | 資源エネルギー庁

調整力として火力発電が上げられます。燃料を燃やして発電するため、発電量を調整しやすい特徴があります。

例えば5月の晴天日など、太陽光発電の発電量が多いときは、火力発電を抑制し、曇ったり日が暮れるなどした際に焚き増す、といった調整を行います。

発電量を調整しやすい反面、発電時にCO2を発生することや、輸入に頼る化石燃料が必要といったデメリットもあります。

揚水発電所での調整

揚水発電
揚水発電とは、水力発電方式の発電法です。
揚水発電所は、上池ダムから下池へ放水して「発電する」機能と、電気を使って下池から上池へ汲み上げ(揚水運転)、蓄電池のように「電気を貯める」機能を持っています。

電気が余る時間帯に、下池から上池ダムへ水を汲み上げる揚水運転を行います。いわば蓄電池に電気を貯めるようなもの。
電気が足りない時間帯に上池ダムから水を下池へと落とすことで発電します。こちらは蓄電池からの放電のようなもの。

発電時にCO2を発生せず、燃料を必要としないメリットがありますが、上池から下池へ放水して発電できる電力より、下池から上池へ汲みあげる電力の方が大きく、発電効率はあまりよくありません。
またダムを増やすには、大規模な工事となり自然破壊にもつながるため、どんどん増やすわけにもいきません。

参考記事:揚水発電 電力の需給バランスの調整を担う発電とは?

長周期広域周波数調整

地域間連系線
地域間連系線を使い、他の電力会社と電気をやりとりして調整することを「長周期広域周波数調整」といいます。
地域間連系線とは、電力会社(沖縄電力を除く)の供給エリアをまたいで電気を送る送電線のことで、電力会社間の電力の融通を可能にしています。

例えば、あるエリアが太陽光発電量が多く需要が少ない、電気が余る状況になった場合、電力広域的運営推進機関を通じて要請し、連系線を通じて他のエリアへ送電することで需給バランスを調整したり、災害や事故で電力が足りないときに他の電力会社から融通してもらう、などの調整に使われます。

しかし送ることができる電力量は限られているうえ、増強するには大きなコスト、時間がかかります。
すぐに調整力として大きくするのは難しいところです。

さらなる調整力を

今後脱炭素の取り組みとして期待される太陽光発電は特に天候が発電量に影響しやすく、調整力が重要になります。低廉かつ安定的に調整力を確保することが必要になってきます。

需要家側のリソースの活用

ここまでご紹介した従来の調整方法は、さまざまな事情から調整力を増やすことが難しいものでした。
そこで注目されるのが、需要家側で導入される太陽光発電などの再エネ発電や、蓄電池やEV(電気自動車)などの分散型エネルギー源です。
分散型エネルギー源は略してDERと呼ばれます。

ひとつひとつは小規模で調整力もないと見えますが、点在するDERをまとめて制御できれば、大きな発電所に匹敵する調整力を持ち、効率的に需給バランスを最適化させる技術として注目を集めています。
こうしたとりくみを、仮想発電所、バーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)と呼び、VPPと略されます。

VPP

出典:VPP・DRとは | 資源エネルギー庁

蓄電池やEVなどの設備は、需要家が使用するために普及が拡大してきましたが、IoTの進化などにより群制御や自動制御などが可能になってきました。2016年から2020年にかけVPPの実証事業が実施され、多くの企業が参加しました。VPPの実用化を引き続き注目していきましょう。

まとめ

脱炭素の取り組みにおいて、再エネ導入と並行して、作った電気を無駄にしない調整力も必須。
従来の調整力に加え、需要家側リソースも活用した新たな取り組みが進んでいます。

参考記事: