イギリスはウェールズの南海岸にあるSwansea Bay(スウォンジー湾)に、干満の差を利用した大規模な潮汐力発電計画が進んでいます。
湾内に約9.6kmに渡る壁を建設、11.5平方kmの人工の潟湖(ラグーン)を作り、タービンを備えたゲート部分でのみ水が流入出するようにすることで、潮位差を利用して発電するというものです。
このように潮位差を利用した発電は「潮力発電」や「潮汐発電」と呼ばれます。
スウォンジー湾は8.5mほどの干満差があることから、潮力発電に適したところと言えます。
発電のためにこうした潟湖をつくるのは世界で初めてのケースだそうです。
発電のしくみ
ゲートを閉じておくと、潮が満ちてくる時にはラグーンの外側の潮位が内側より高くなります。
十分に潮位差ができたところでゲートを開き、ラグーンの内側へ水が流れ込む力でタービンを回して発電します。
また潮が引く時も同様に、ラグーンの内側に水を溜めておき、外側の潮位が下がった時にゲートを開けて外側へ流れ出す力を利用して発電します。
ゲート部分には、直径6m、長さ18mほどのタービンが26個並びます。
Swansea Bay Tidal Lagoonの場合、タービンを通過する水の量は1日あたりオリンピックプール10万個分にもなるとのことで、自然のエネルギーの大きさが感じられる発電ですね。
発電だけじゃない、地域活性をはかる総合施設に
完成予想CGからも分かるように、人々の憩いの場になるようなデザインで計画が進められています。
サイクリング、ウォーキング、釣り、シーカヤックやヨットが楽しめるレジャー施設として、またトライアスロン大会も開催できるスポーツ施設として、そして潟湖ではカキや昆布の養殖も行う等と、多角的に活用されるようです。
また沿岸の洪水を防止する効果もあるそうです。
電気を生み出すのはもちろん、建設などの事業や、運用・観光・レジャーについての雇用が発生することなど、地域の経済にもいい影響を与えるとアピールしています。
完成予想CG(Tidal Lagoon Swansea Bay ウェブサイトより)
15.5万世帯の電力をまかなう
設備の容量は32万kWの規模となり、120年間、毎日14時間発電できるとのことです。
潮力発電としてはフランスの「ランス潮力発電所」が世界的に有名ですが、その24万kWを超える規模となり、15.5万世帯の電力をまかなう発電量となると見込まれています。
早ければ2016年の秋に運用を開始するそうです。
参考記事:
Tidal Lagoon Swansea Bay
Ocean Tides to Power More Than 150,000 Homes(EcoWatch)