“再エネ100宣言 RE Action”とは
“再エネ100宣言 RE Action”(以下RE Action)とは、企業、自治体、教育機関、医療機関等の団体が使用電力を100%再生可能エネルギーに転換する意思と行動を示し、再エネ100%利用を促進する新たな枠組みです。
引用元: 再エネ100宣言 RE Action>再エネ100宣言とは
2019年10月に発足した、日本独自の枠組みです。
RE100との違い
使用電力を再エネ100%にと聞くと、アップルなどが加盟する「RE100」を思い浮かべる方も多いでしょう。
RE100も「使用する電力を100%再生可能エネルギー」にするものですが、こちらは世界で影響力のある多国籍企業が対象であり、加盟企業もAppleやMicrosoft、ソニーやイケア、ナイキなど世界中に知られた企業が名を連ねています。事業で使用する消費電力量も年間100GWh以上(現在、日本企業は50GWh以上)という条件もあり、対象は限られた企業ということになるでしょう。
それほど大規模ではないが、自分たちも再エネ100%を目指し、それを宣言して内外にアピールしたい、という団体が取り組めるのがRE Actionです。
RE Actionの対象となる団体
日本国内の企業、自治体、教育機関、医療機関等の団体が対象です。
ただし以下1〜3に示すとおり、会社の規模や使用電力量で参加条件が定められています。
1.RE100の対象となる企業は参加できない
・グローバル又は国内で認知度・信頼度が高い
・主要な多国籍企業(フォーチュン1000※又はそれに相当)
・年間消費電力量が50GWh以上
2.再エネ設備事業の売上高が全体の50%以上の団体は参加できない
3.主な収入源が、発電及び発電関連事業である団体は参加できない
※フォーチュン1000:アメリカのビジネス誌Fortuneがまとめた、収益でランク付けされた最大の1,000社。(Wikipediaより)
RE Actionの参加要件
RE Actionへ参加するということは、具体的にどのようなことをするのか見ていきましょう。
- 2050年までに使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること。
(自身のウェブサイトへの掲載やプレスリリースの実施) - 再エネ推進に関する政策エンゲージメントの実施
(再エネの普及に関する政策提言への賛同など) - 消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告すること
また団体の分類(企業/行政・公共機関/非営利団体)と、従業員数によって金額が異なりますがが、25,000円〜200,000円の年会費がかかります。
どういった団体がRE Actionに参加しているのか?
2020年12月時点で94団体が参加しています。
5つの自治体に加え非営利団体が10団体ほど、残りは企業という割合です。
企業は建築関係の企業や工場のある企業が目に付きます。
参考:再エネ100宣言 RE Action > 参加団体 / Members
参加企業が再エネ100%を達成する目標はいつくらい?
現在公表されている再エネ100%達成の目標年をもとに集計してみました。
目標年 | 団体数 | |
---|---|---|
2015年 | 1 | 達成済 |
2017年 | 1 | |
2018年 | 3 | 達成済み |
2019年 | 5 | うち3団体は達成済み |
2020年 | 11 | |
2021年 | 5 | |
2022年 | 2 | |
2025年 | 5 | |
2030年 | 13 | |
2035年 | 2 | |
2040年 | 6 | |
2045年 | 3 | |
2050年 | 36 |
再エネ100宣言 RE Action > 各団体の目標 より編集
再エネ100%にするのは簡単ではなく、約4割にあたる団体は2050年を目標におき、30年ほどかけて再エネ化を進めていくものとみられます。
一方少数ながらすでに再エネ100%を達成している団体もあります。
自ら発電設備を持つ、電力会社の再エネ電力を購入する、再エネクレジットを購入するなどで再エネ化が進められているようです。
RE Actionで「再エネを使用している」とカウントできるケースは?
太陽光発電設備を所有していても、自らで使用せずFIT売電している場合は「再エネを使用している」とは言えません。
主に以下の3つの方法が再エネを使用しているとカウントされます。
- 敷地内などに設置した再エネ発電設備による電力を自らで使う「自家消費」
- 電力会社の「再エネ電力」を購入
- クレジット・証書などを購入
「自家消費」についてどういった場合に再エネ利用と認められるか、もう少し詳しくご紹介します。
- 敷地内・自社発電にて自家消費(自己所有、リース)
- 再エネ発電設備を自己資金で設置またはリースで設置して自家消費する場合は、再エネ電力の使用としてカウントされます。
売電した場合はカウントされません。 - 敷地内・他社発電にて自家消費(PPA)
- 敷地内に第三者の所有する再エネ発電設備を設置し、使用した電力を電気代として支払う場合(PPA)は、再エネ電力の使用としてカウントされます。
発電した電力を売電する、屋根貸し、敷地貸しの場合はカウントされません。 - 敷地外・自社他社発電にて自家消費(自営線、自己託送)
- 遠隔地にある発電設備から、自営線もしくは自己託送を利用して自ら使用する場合は、再エネ電力の使用としてカウントされます。
参考:再エネ100宣言 RE Actionの再エネとしてカウントできる取組
RE Actionに参加するメリットは?
環境貢献をアピールできる
再エネ100宣言 RE Actionロゴが利用でき、CO2削減の具体的な取り組みを行っていることをアピールできます。
これにより企業のイメージアップを図るとともに、企業の持続性の観点から投資家へのアピールにもつながり、資金確保が有利になります。
またRE100加盟企業などは、自社だけでなく取引企業にも再エネ化を求める動きがありますので、そうした企業へのアピールにもつながります。
脱炭素コンソーシアムへの参加
脱炭素コンソーシアムとは、
脱炭素化、再生可能エネルギー100%の実現に向けて、課題の共有、ソリューションの提供、協働の提案、イベントのお知らせなど、さまざまな情報を一元管理し、バーチャルにつながることにより、解決への道を促進させるツールです。
引用元: 脱炭素コンソーシアム>脱炭素コンソーシアムとは何ですか?
再エネ化を推進するには自分たちだけで検討を進めるのはハードルが高いですが、コンソーシアムに参加することで課題解決につながる仲間やパートナーを見つけやすくなります。
また再エネ化を進める企業は、取引先にも再エネ化を求めるケースも見られることから、コンソーシアムでの交流から新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
参考:脱炭素コンソーシアム
太陽光発電の普及拡大で設置コストも下がってきており、自らで使用するために設置する「自家消費型」の太陽光発電設備も増えています。再エネ化を進める環境が整ってきて、気候変動対策への具体的なアクションとして取り組みやすいと言えるのではないでしょうか。
また気候変動へのアクションを自ら起こさないと資金を集められない、ビジネスチャンスを逃すという時代が来つつあります。
使用電力の再エネ化を目指す際は、RE Actionなどの枠組みへの参加も検討されてはいかがでしょうか。