【法人向けPPA】スマイルそらえるでんき 低圧・蓄電池付プランも
環境価値に関するホームページを見てると、「RE100」などと一緒に「CDP」という言葉をよく見かけます。
大企業だけではなく中小の規模の企業にも関係しうるものですので、詳しくご紹介していきます。
CDPとは
CDPとは、2000年にイギリスで設立された非営利団体です。
投資家、企業、自治体に働きかけ、それぞれの環境に関する情報開示を促す活動を行っています。
CDPの情報開示システムは、環境に関する世界最大のデータを保有していて、世界的な共通の基準となっています。
CDPの情報開示システム
投資家や大規模な購買を行う企業が、投資対象となる企業や購買を行おうとする企業(サプライヤー)の環境情報の開示をCDPを通じて要請します。
CDPは機関投資家や購買企業の代表して、情報開示を求められた企業へ「質問書」を送ります。
回答要請を受けた企業はCDP質問書へ回答し、環境に関する取組の情報を開示します。
質問書への回答を元にスコアリングが実施されます。
2つの回答要請
CDPに署名した機関投資家と、大規模な購買企業(顧客企業)がCDPを通じて環境情報の開示を要請します。
企業は
・投資家から
・顧客企業から
・投資家および顧客企業の両方から
のいずれかにより環境情報を開示するよう依頼されます。
2021年は世界で7,369社もの企業が開示要請を受けています。
参考:Investor requested companies 2021 | CDP
機関投資家から
CDPに署名した投資家が企業に対して回答を要請するもの。投資家は、CDPのデータを投資判断の一つとして使います。
全世界で590以上の機関投資家が署名していて、その運用資産総額は110兆米ドルにも上ります。
日本の署名投資家は18機関となっています。(2021年9月時点)
参考:CDPジャパン > プログラム > 署名投資家一覧
投資家から回答要請されるのはどんな企業か
日本企業を対象とした調査は、FTSEジャパンインデックスに該当する企業を基本として選定された500社(以下ジャパン500といいます)を中心に質問状が送付されています。
顧客企業から
CDPサプライチェーンプログラムへ加盟している企業が、仕入先、供給元、納品業者などのサプライヤーに対して回答を要請するもの。CDPのデータはサプライヤー選定基準の一つとして利用されます。
サプライチェーン全体における環境負荷は、自社が引き起こす環境負荷の何倍にもなるものですので、サプライヤーに環境情報の開示を要請することで、環境リスクを明確にしたり、温室効果ガス排出のさらなる削減につなげられます。
CDPサプライチェーンプログラムへ加盟している企業は全世界で200組織を超えており、その調達総額は5.5兆ドルを超えています。
日本のCDPサプライチェーンメンバーは12組織です。(2021年3月時点)
- 味の素
- 富士通
- 本田技研工業
- 花王
- 日産自動車
- TOYOTA
- JTインターナショナル
- 環境省
- 日本電気
- NTTデータ
- 積水化学工業
- 横浜タイヤ
顧客企業から回答要請されるのはどんな企業か
CDPサプライチェーンメンバーの企業が要望した企業へ質問状が送付されますので、非上場企業や中小企業でも回答要請の対象となる場合があります。
自治体の環境情報の開示も
この記事では環境情報の開示要請を受けた企業向けの情報を中心にご紹介しますが、自治体がCDPのプラットフォームを通じて環境情報を自発的に開示する場合もあります。
グローバルスタンダードといえるCDPシティの質問書への回答を通じて、環境計画の策定において重点項目を特定したり、進捗の指標として活用することができます。
参考:CDPジャパン > プログラム > CDPシティ
CDP質問書
企業向けの質問書は、
・気候変動
・水セキュリティ
・フォレスト
の3種類の質問書があります。
企業はステークホルダーが投資や購買の判断に必要な環境情報に関連する質問書への回答が求められます。1つの場合もあれば、3つすべての場合もあります。
気候変動
気候変動リスクに対する取り組みについての質問。
質問書に回答することで、気候変動に伴うリスクと機会についての理解を促進することが可能です。
ガバナンスやリスクと機会、GHG排出量及び削減目標などの質問があります。
水セキュリティ
水需要の増加、気候変動による干ばつの影響等で水の供給量が減少すると言われており、水リスクは財務に大きな影響があります。
CDP水セキュリティ質問書に回答することで、水リスクとその影響を認識することができます。
水リスクに関する現状や事業への影響、リスクと機会、水関連目標と達成に向けた進捗などの質問があります。
フォレスト
世界の温室効果ガス排出量の15%が森林減少からもたらされるなど、森林減少は温暖化に大きな影響があります。
CDPフォレスト質問書に回答することで、森林減少に関するリスクの理解を促進し、活動の確認とより優れた実践を可能にします。
森林リスクに関する現状や、リスク評価の実施有無、リスクと機会、トレーサビリティシステムの有無、などの質問があります。
評価の内容(スコア)
情報開示と取り組みの状況に応じてA、A-、B、B-、C、C-、D、D-の8段階のスコアとして示されます。
未回答や情報の提供が足りない場合はスコアにFと表示されます。
各企業のスコアは投資家や購買企業に開示されるとともに、CDPのWEBサイトでも公開され、誰もが見ることができます。
参考:CDP Scores | CDP
CDP質問書への回答率
質問書の内容については、実際のところ簡単に回答できる内容ではありません。回答は義務ではなく、回答しない企業もあります。
2020年度の実績を見てみると、ジャパン500の回答率は65%(500社のうち327社が回答)となっています。
またサプライヤーチェーンプログラムによる購買企業からの要請による回答は、51.8%(15,637社のうち8,098社)となっています。
CDP質問書へ回答するメリット
質問書に回答するには時間と労力が必要です。それにも関わらず多くの会社が回答しているのはなぜでしょうか。
自社の取り組みを進め、見返す機会になる
世界的な共通の基準となっているCDPの質問書への参加を通じて、リスクと機会を把握することができます。
また世界標準となっている評価、スコアを受けることで、目標・取組の進捗状況を客観的に把握できます。
投資家や購買企業へアピール
投資家や購買企業の投資判断、購買判断にも財務情報だけでなく非財務情報が用いられるようになり、その要請に応えることで自社をアピールすることができます。
「2つの回答要請」の項目で「投資家」「顧客企業」から要請があった企業へ質問書が送られると紹介しましたが、要請がなくとも自主的に質問書へ回答することが可能です。自主回答企業が年々増加しているようで、2020年も日本だけでも数十社が自主回答したようです。
世界最大級のデータが集積されていて、多くの投資家や購買企業が利用するデータということから、いいスコアを示せばビジネスのチャンスが拡大するといえるでしょう。
開示サポート
質問書に回答するのは時間と労力が必要だが、メリットがある、と紹介してきました。
多くの資料や動画で回答をサポートする「オンライン回答支援プログラム」(無償)や、個別企業に応じたオーダーメイドのサポートが受けられる「レポーターサービス」(有償)があります。
参考:開示サポート | CDP
太陽光発電による電力はCDP質問書に報告できるか
太陽光発電を導入したら、必ずCDPに活用できるかというとそうではないため、注意が必要です。
太陽光発電による電力のうち自家消費した電力には、電気としての価値のほか、環境価値があります。
環境価値を自社で持っているかどうかにより活用可否が異なります。
自社が保有する太陽光発電設備による発電
自己所有する設備の発電電力をFITで売電する場合
FIT売電した電力の環境価値はありません。買い取り価格に環境価値も含まれていて、環境価値ごと売ってしまっているためです。ただし非化石価値証書を買い戻すことにより計上することも可能ですが、別途費用がかかることにご留意ください。
自己所有する設備の発電電力を自家消費する場合
自家消費した電力の環境価値をJクレジットなどで売却する場合は、CDP質問書への回答に再エネ調達量として報告できません。
環境価値を売却しなければCDP質問書への回答に再エネ調達量として報告できます。
他社が保有する太陽光発電設備からの電⼒購入(PPAモデル)の場合
太陽光発電による電力のうち自家消費した電力の環境価値は誰にあるのか、によりCDPへの活用可否が異なります。
環境価値は需要家が保有する場合は、需要家はCDP質問書への回答に再エネ調達量として報告できます。
環境価値はPPA事業者が保有する場合は、需要家はCDP質問書への回答に再エネ調達量として報告できません。
環境価値を誰に帰属するかは、PPA契約を結ぶ際に取り決められるものですので、環境価値を念頭においてご検討ください。
環境価値の帰属先が選択可能・途中で切替可能なPPAも
NTTスマイルエナジーが提供するPPA「スマイルそらえるでんき」では、環境価値の帰属先を「電力需要家」にするのか、もしくは「NTTスマイルエナジー」にするのか、需要家が選択することができます。
「環境価値を電力需要家へ帰属」を選択した場合、CDP質問書へ再エネ調達量として報告ができます。
反対に「環境価値をNTTスマイルエナジーに帰属」を選択した場合、CDP質問書へ再エネ調達量として報告はできませんが、電力量単価を引き下げることが可能です。環境価値を取得するか、安価な電力量単価を取るか、選ぶことができるということです。
「今はまだ環境価値は必要ない」という場合も後から環境価値ありの電気へ切り替えができるため、当初は環境価値を取得せずに安価な電力を確保、その後環境価値が必要となったら環境価値の帰属先を自社へ切り替えて環境価値のある電気を調達するといったことも可能です。
参考:スマイルそらえるでんき