電気代は皆が払っているものですが、その内容や仕組みは意外と知られていないのではないでしょうか。
太陽光発電に関係する事業は「売電」から「自家消費」へ移っており、電気代の知識をきちんと押さえておく必要があります。
今さら聞けない電気料金シリーズとして5回に分けてご紹介します。
第1回目の今回は「電気料金の区分」についてご説明します。
受電電圧による区分
電気は発電所で作り出され、27万5,000V~50万Vという超高電圧で送り出されます。
その後いくつも変電所を経て降圧され、電線には6,000Vくらいの電圧で電気が流れています。
発電所側を上流とすると、上流側の高圧で受電する場合もあれば、下流側の低圧で受電する場合もあります。
受電電圧による「低圧」「高圧」「特別高圧」区分をご説明します。
低圧受電
対象:個人の住宅、小規模な店舗・事業所など電線に流れる高圧の電気が、電柱の上の「柱上変圧器」で100Vまたは200Vに変圧されて家庭や事業所に届きます。届いた電気はそのまま使えます。
電力会社側から見ると、電気をすぐに使えるよう加工した上で届ける手間がかかるため、電気代単価は高くなります。
使用する機器により
・単相100V/200V
・三相200V
と電気の送り方が異なります。またこの違いにより利用する電気料金プランも異なります。
単相100V/200V
照明、テレビ、家庭用エアコン、パソコン、ドライヤーなど用。
これらの機器を総称して「電灯負荷」といいます。
家庭向けで示されている料金プランはすべて単相100V/200Vとなります。
法人向けのメニューでは 低圧電灯 と示されている料金プランを利用します。
三相200V
エレベーター、工作機器、大型冷蔵庫や大型エアコン等の業務用の機器用。
これらの機器を総称して「動力負荷」といいます。
法人向けの 低圧電力 という料金プランを利用します。「低圧電力」は動力負荷用であることから 動力契約 とも呼ばれます。
低圧受電で、電灯負荷(照明など)と動力負荷(業務用エアコンなど)を両方使う店舗の場合は、
・低圧電灯
・低圧電力
のいずれも契約する必要があります。
単相線、三相線それぞれの電線を引き込み、メーターも2つになります。
高圧受電
対象:中規模工場、学校、ビルなど6,000V以上の高圧で受電します。
高圧で供給される電気を変圧して使える電気に加工するため「キュービクル」という受電設備を、敷地内に自前で設けることが必要です。
利用する電気機器に合わせて、キュービクルで単相100/200V、三相200Vに加工して利用します。
電力会社側から見ると加工の手間を省けるため、低圧と比べて安価になります。
特別高圧
対象:大規模工場など
20,000V以上の高圧で受電します。
高圧で供給される電気を変圧して使える電気に加工するため「キュービクル」という受電設備を、敷地内に自前で設けることが必要です。
利用する電気機器に合わせて、キュービクルで単相100/200V、三相200Vに加工して利用します。
電力会社側から見ると加工の手間を省けるため、電気代単価がもっとも安くなります。
特別高圧、高圧、低圧、どう選択するか
使用できる最大電力(kW)を 契約電力 と言います。契約電力が大きいほど一度に使える電気の量が大きいということになります。
基本的には契約電力の大きさにより、どの受電契約を選ぶかの目安があります。
契約電力2,000kW以上→特別高圧
契約電力50〜2,000kW→高圧
契約電力50kW未満→低圧
低圧より高圧のほうが電力量料金単価が安くなるため、
一度に使う電気の量が50kWより少なくとも、使用する電力量(kWh)が大きい場合、高圧受電を選択する場合もあります。
たとえばコンビニやファミリーレストランなど、営業時間が長く、休日が少ない事業所の場合、負荷の容量が50kWに達しないとしても、電気使用量が多くなりがちなため、高圧受電を選択するケースもある、ということです。
- 受電契約については以下の記事で詳しく説明していますのでご参照ください。
今さら聞けない「高圧」「低圧」受電契約の違い - 受電契約、エリアによる電気代の違いをまとめました。以下の記事をご参照ください。
受電契約やエリアで電気代はどれだけ違うか
低圧受電には自由料金/規制料金の2種類がある
高圧、特別高圧での受電契約は 自由料金 のみですが、低圧には自由料金のほかに 規制料金 があります。
自由料金とは
電力小売自由化以降の料金プラン。電力会社が料金を決められます。
東京電力エナジーパートナーの自由料金の料金プラン例
・プレミアムS/L
・夜トクプラン
・スマートライフS/L など
規制料金とは
小売自由化前からの料金体系。
「総括原価方式」という法律で定められた方法で料金が設定されており、値上げするには国の認可が必要です。
燃料費調整単価(燃料費の変動を電気代に反映する、電気代とともに払う料金の単価)に上限があります。
※規制料金はいずれなくなる予定です。電力小売自由化後の経過措置として継続して提供されています。(2023年4月時点)
東京電力エナジーパートナーの規制料金の料金プラン例
・従量電灯B
・従量電灯C など
まとめ
各電力会社ごとに多彩な電気料金プランが存在しますが、どの電力会社のメニューもどれくらいの電力量を使用するかや、どんな機器で電気を使用するかによって区分されています。一度電力会社のウェブサイトで確認してみましょう。
今さら聞けない電気料金
今さら聞けない電気料金(1)電気料金の区分(←当記事)
今さら聞けない電気料金(2)基本料金
今さら聞けない電気料金(3)燃料費調整額
今さら聞けない電気料金(4)再エネ賦課金
今さら聞けない電気料金(5)託送料金