運転開始期限が設けられていない太陽光発電案件の運転開始を促すことなどの目的で、再エネ特措法の一部改正が進められており、2018年11月21日まで意見募集(パブリックコメント)が実施中です。
認定を受け、電力会社との接続契約をすでに締結している太陽光発電設備も、運転を開始していなければ、場合によっては買取単価が減額となる内容です。
パブリックコメントで示されている改正の概要と、資源エネルギー庁の資料から、発表されている内容を分かりやすくまとめたいと思います。
上記の表を見ていただくとわかるように、2016年7月31日までに接続契約をした認定は、運転開始期限が定められていません。このことが未稼働の認定案件が多く存在する原因の一つとして課題視されています。
2017年8月1日以降に接続契約した認定案件は3年を期限として運転開始することが求められているため、認定を受けた案件は3年以内に運転開始するのが相当と考えられますが、より以前に認定を取得している案件で運転開始に至っていないものも残されています。
これらに対し、運転開始までの期限を設けるとともに、運転開始できる時期によって買取価格を変更しようというのが大まかな改正内容です。
1.運転開始までの期限を新たに設ける
対象:以下のいずれにもあてはまる太陽光発電設備
- 2015年3月31日までに認定を受けた10kW以上の案件(買取価格が40円、36円、32円のもの)
- 運転を開始していない
- 2016年7月31日までに電力会社と接続契約を締結した案件
運転開始期限:
- 2019年3月31日までに系統連系着工申込を受領した案件→2020年3月31日までに運転開始
- 2019年4月1日以降に系統連系着工申込を受領した案件→系統連系着工申込の受領日から1年以内
2.買取価格の変更
上述の運転開始までの期限が新たに設けられる対象となる案件について、系統連系着工申込の受領日に応じて、買取価格が変更されます。
- 2019年3月31日までに系統連系着工申込を受領した案件→現在の買取価格が維持されます
- 2019年4月1日〜2020年3月31日に系統連系着工申込を受領した案件→21円に
(系統連系着工申込を受領から2年前の年度の買取価格)
※すでに運転を開始している案件に買取価格の変更はありません。
27円、24円案件は?
運転開始期限が設けられていない27円、24円案件は変更がないのか?と、疑問に思われるのではないでしょうか?
今回の改正では対象となっていませんが、次以降の改正で対象となる見込みです。
既に運転開始までの目安となる3年を大きく超過している40円、36円、32円をひとまずは対象とし、来年に27円を、再来年に24円を、と変更の対象が拡大される見込みです。
系統連系着工申込って何?
電力会社(送配電事業者)に、発電設備を系統に接続する工事を申し込み、電力会社側で不備なく受領した日を指しています。
接続契約とまぎらわしいですが別のもので、発電設備が整い、あとは通電の工事をするだけの状態にあることが前提のものです。
もし発電設備の工事が完了していないのに系統連系着工申し込みが受領され、実際の系統連系工事の際に間に合わなかった場合は、再度連系工事着工申し込みが必要となり、その受領日を基準として運転開始期限や買取り価格が決まるようです。
具体的な書面や手続き方法は現時点では不明です。
いつまでに系統連系着工申込をすれば買取価格が維持できる?
系統連系着工申込を2019年の3月31日までに電力会社に受領されることが必要です。
電力会社での確認手続きなどの時間を考慮して、2019年1月下旬が系統連系着工申込の提出期限となる見込みです。正式な提出期限はパブリックコメント終了後に発表されます。
参考
パブリックコメント:意見募集中案件詳細:電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等に関する意見公募について