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池やダムに設置される「水上メガソーラー」のニュースをよく見かけるようになりました。
地上に設置されるのと比較して、設置工事やメンテナンスの手間やコストが多くかかることが予想されますが、なぜ水上に設置されるケースが増えているのでしょうか。
その背景やメリットなどをみていきましょう。

水上メガソーラーが増えてきた背景

日本は年間降水量は多いものの、急な地形と短い川により水はすぐに海へ流れ出てしまいます。そのため、水田の灌漑を目的として多くのため池が作られてきました。その数は日本全国で19万カ所以上に上ります。
Wikipediaより

また台風、集中豪雨の襲来もあり、河川の流下能力を超えないよう一時的に雨水を貯める「調整池」も多く存在しています。調整池は、普段は使わなくとも無くすことはできない防災設備です。

ため池や調整池といった池沼が国内に大量に存在していますが、こうした池やダムは、地方自治体が所有・管理していて、維持管理のコストがかかっています。もちろんそのコストは税金によって賄われています。

一方、固定価格買い取り制度(FIT)が始まってから、急激に太陽光発電の導入が進んできましたが、適した土地の確保が難しくなってきました。

賃借料を得られ、維持管理のコストを抑えたい地方自治体と、メガソーラー用地を安く借りたい発電事業者の双方にとって好都合ということで、ため池や調整池の水面を活用して行う発電事業が活発になってきたのです。

なぜ水上に設置するのか?

ため池、調整池がたくさんあるといっても、なぜ水上にメガソーラーを作るのでしょうか。
意外と発電に適している、水上ならではのメリットがあるのです。

1. 影ができにくく、太陽光発電パネルを並べるのに向いている

地上に設置する場合は、周囲に樹木や建物が少なからず存在し、その影のことを考慮して建設しなくてはなりません。
広い池では周りに日射を遮るものもなく、影を避けられるメリットがあります。

2. 太陽光パネルの冷却効果が得られる

ご存知の通り、太陽光発電パネルは暑いほど発電効率が下がります。水上ならパネルが冷やされ、10%ほど発電効率がアップするそうです。

3. 造成、整地工事が不要

もともと山が多く平らな土地が少ない国土ということもあり、メガソーラーの建設には整地や造成に多額のコストがかかりました。水面であればそもそも水平で、除草の手間も必要ありません。

水上メガソーラー事例

埼玉県桶川市 日本初のフロート式メガソーラー「ソーラーオンザウォーター桶川」

2013年に埼玉県桶川市に完成した日本初の水上式メガソーラー。
4,500枚の太陽光パネルを設置し、容量は1.18MW。

千葉県市原市 完成すれば世界最大規模の水上メガソーラー「山倉ダム」

2015年12月に工事が始まり、2017年には運転を開始する予定。
発電能力は13.4MWで、年間の発電量は1600万kWh、約4,500世帯をまかなう電力を発電する見込みです。

水上に浮かべる仕組み

高密度ポリエチレンで作られた「フロート」と呼ばれる水上架台に太陽光発電パネルを取り付けるのが一般的となっています。フロート1つにつき1枚の太陽光パネルを取り付け、フロート同士を連結して浮かべます。
フランスのシエル・テール社が開発した「ハイドレリオ」や、三井住友建設のフロートシステムが有名です。

水上メガソーラーと言っても浮かせるのはモジュールだけで、パワーコンディショナーや集電箱などは地上への設置となります。

デメリットや不安要素は?

水上に設置するため、太陽光パネルや配線など全てのパーツに対し、防水、絶縁、耐食処理が必要となります。
地上に設置するメガソーラーと比較して工期も長くなりがちです。

また季節によって降水量も異なり、池の水位がまちまちとなることが想定されますが、増水/渇水時はどうなるか、台風時などの強風にも耐えられるかなど、地上設置とは違ったノウハウが必要になるでしょう。

池沼に希少な生物が生息していないかなど、周辺環境を十分把握しておくことも必要です。
しかも20年といった長期に渡り運用される設備となるため、フロートの風化などによって水質を汚染させないなど、環境への影響を配慮して取り組む必要があります。

環境への影響が心配される一方、パネルが日射を遮ることによりアオコの異常発生を防止する効果があるとも言われています。

まとめ

メガソーラーに適した土地には限りがある上、景観悪化による反対運動も目立ってきており、水上メガソーラーが現実的な選択肢のひとつとして浮上してきました。
技術的な進歩やノウハウの蓄積も進み、今後しばらく水上の太陽光発電設備の導入が進むことが予想されます。

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