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7月7日、経済産業省による新エネルギー小委員会・買取制度運用ワーキンググループ(WG)が開催され、2016年4月の電力の小売り全面自由化に対応した再エネ特措法施行規程について議論がなされました。今回はなぜ固定価格買取制度運用見直しが必要なのか?について、WGの資料をもとに買取義務(特定契約)を中心に紹介します。

特定契約応諾義務の例外

現在、発電事業者(特定供給者)が電気の売買を行うには、「特定契約」・「接続契約」という二つの契約を電力会社と結ばねばなりません。この中で、発電事業者(特定供給者)が主に電力の供給先を決定する特定契約について、電力の受け手である各電力会社の応諾義務には下記の表のような例外があり、大手電力と新電力でその条件が異なっています。

現行の特定契約の応諾義務の例外
一般電気事業者 新電力

1.電気事業者の利益を不当に害する(虚偽記載、法令違反など)おそれがある場合

1.電気事業者の利益を不当に害する(虚偽記載、法令違反など)おそれがある場合

2.再生可能エネルギー電気の検針方法、代金の支払方法等に同意しない場合

2.再生可能エネルギー電気の検針方法、代金の支払方法等に同意しない場合

3.振替補給費用の負担に同意しない場合

3.振替補給費用の負担に同意しない場合

4.地理的条件(離島等)により電気の供給を受けることが不可能な場合

4.地理的条件(離島等)により電気の供給を受けることが不可能な場合

5.変動範囲内発電料金等を追加的に負担する必要が生じることが見込まれること

6.特定契約電気事業者が事業の用に供するための電気の量について、その需要に応ずる電気の供給のために必要な量を追加的に超えることが見込まれること

1.2.4については全面自由化による事情の変更はないため、見直しの必要はないとのことですが、それ以外の3.5.6.については小売全面自由化に関わる環境の変化の下、今後の応諾義務の例外をどのように設定すべきかが論点になりました。

小売全面自由化に関わる環境の変化

小売全面自由化になると特定契約の受け手である電力会社には大きく2つの変化が発生します。
①インバランス料金※脚注は市場連動になる
②大手電力会社も新電力も小売電気事業者として法律上位置づけられるようになる。
これを受けて、これらの変化に応じて、例外の必要性を検討する議論も発生しました。

①について、特定契約を許諾する電力会社は再エネで電力の売買を実施する際、回避可能費用を単価として取引を実施しています。特に新電力は電力が不足もしくは余剰がある場合、市場(JEPX)を介しての調達が必要です。現状「回避可能費用<市場価格」のため、不足がある場合、費用が掛かることがありましたが、今後「回避可能費用=市場価格」となり、需要供給における費用負担がなくなることから、特定契約の応諾義務の例外を設けなくてもよいのではないかという議論です。

②現在は送配電も受け付けている大手電力会社ですが、小売全面自由化後は法律上、現在の電力会社と新電力は同じ小売電気事業者に位置づけられるため、新電力にのみ例外を設ける必要がないのではないかという議論です。

例外を設けることは適当か?

特定契約を応諾義務に例外を設けた場合、小売電気事業者は需要を大幅に超過する電気買取を回避できますが、発電事業者の方々には選択肢が狭まってしまいます。とはいえ、例外を設けなかった場合は、発電事業者は契約を断られることがない反面、小売電気事業者にとっては電気の売買に相当な労力とコストがかかり、小規模な小売電気事業者に影響があるのではないかなどといった懸念があります。また、全事業者間のイコールフッティング※1から全事業者対象にすべきではないか、新規参入の事業者へ配慮を実施すべきではないか、などを経産省は論点にあげています。

※1 イコールフッティッング:商品・サービスの販売で、双方が対等の立場で競争が行えるように、基盤・条件を同一にすることなどをいう。

出典:資源エネルギー庁資料「小売全面自由化に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて」

出典:資源エネルギー庁資料「小売全面自由化に向けた固定価格買取制度の運用見直しについて」

参考:

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