2020年度のFIT価格が決まりました。
太陽光発電においても、容量による区分が変更になったり、あらたな認定要件が設けられたりなど、大きな変化があります。
2020年度に太陽光発電でFIT認定を受ける際の買取価格を紹介します。
2020年度(令和2年度)の調達価格及び調達期間
電源 | 区分 | 1kWh当たり調達価格 | 調達期間 | ||
---|---|---|---|---|---|
2019年度 | 2020年度 | ||||
太陽光 | 10kW未満 | 出力制御対応機器設置義務なし | 24円 | 21円 | 10年間 |
出力制御対応機器設置義務あり | 26円 | ||||
10kW以上50kW未満 | 14円+税 | 13円+税 | 20年間 | ||
50kW以上250kW未満 | 12円+税 | 20年間 |
- 250kW以上は入札により調達価格が決定します。調達期間は20年間です。
- 10kW以上50kW未満には、2020年度から地域活用要件が設定されます。
- 2019年度以前に認定を受けた10-50kWの事業用太陽光発電が、2020年度に価格変更を伴う変更認定を受ける際には、当該案件が地域活用要件を具備しない場合は、地域活用要件の設定されない規模(50-250kW)の調達価格を適用し、当該案件が地域活用要件を具備する場合は、地域活用要件の設定される規模(10-50kW)の調達価格が適用されます。
住宅用太陽光発電(10kW未満)
〜10kW 2020年度の調達価格と調達期間
2015年度以降、電力会社によっては10kW未満の太陽光発電でも出力制御対応機器の設置が求められていますが、出力制御対応機器の設置義務のある設備はシステム費用がその分高額になります。その差を反映するため、出力制御対応機器設置義務の「あり」「なし」で調達価格にも差が付けられてきました。
2015年以降に設置された設備の定期報告データによると、出力制御対応機器設置義務の有無によるシステム費用の差が見られない結果が出ており、出力制御対応機器設置義務によって区分されなくなりました。
電源 | 規模 | (参考) 2019年度 |
2020年度 | 調達期間 |
---|---|---|---|---|
住宅用太陽光発電 (出力制御対応機器設置義務なし) |
10kW未満 | 24円 | 21円 | 10年 |
住宅用太陽光発電 (出力制御対応機器設置義務あり) |
26円 |
〜10kW 調達価格算定の前提となるコスト想定
システム費用
29.0万円/kW
システム費用とは、パネル、パワコン、架台、工事費のこと。
2019年度のシステム費用想定30.8万円/kWから1.8万円下げた29.0万円/kWで算出されました。
運転維持費
0.30万円/kW/年(2019年度の想定値を据え置き)
運転維持費とは定期点検や、パワコンなど機器の交換など、発電量維持や安全性確保に必要な費用のこと。
データ収集やヒアリングの上、2019年度の想定値とほぼ同水準とみられたため、2019年度と同じ3,000 円/kW/年が想定値に採用されました。
設備利用率
13.7%(2019年度の想定値を据え置き)
設備利用率とは、発電設備の実際の発電量が仮にフル稼働していた際の発電量の何パーセントを利用できるかを示す数値。計算式は以下の通り。
設備利用率=総発電量(kWh)÷(経過時間×設備の出力(kW))×100
2019年度の想定値とほぼ同水準とみられたため、2019年度と同じ13.7%が想定値に採用されました。
余剰売電比率
70%(2019年度の想定値を据え置き)
全発電量のうち、どれくらい売電するかの割合の想定。
2019年度の想定値とほぼ同水準とみられたため、2019年度と同じ70%が想定値に採用されました。
自家消費分の便益
26.33円/kWh
自家消費した電力分を、電力会社から購入したならいくらになるかの想定価格。
FIT 制度開始時点(2012年度)から最新(2018年度)の7年間の家庭用電気料金の平均値が採用されました。
調達期間終了後の売電価格
9.3円/kWh
調達期間(10年間)終了後の便益も見越して調達価格が算定されています。
20年間の採算性が前提となっており、11〜20年目の売電による便益の算定には、卒FITの買取を行なっている事業者による買取単価の中央値が9.3円/kWhが採用されました。
IRR(税引前)(法人税等の税引前の内部収益率)
3.2%(2019年度の想定値を据え置き)
事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満)
10〜50kW未満 2020年度の調達価格と調達期間
電源 | 規模 | (参考) 2019年度 |
2020年度 | 調達期間 |
---|---|---|---|---|
事業用太陽光発電 | 10kW以上50kW未満 | 14円 | 13円+税 | 20年 |
10〜50kW未満 調達価格算定の前提となるコスト
資本費:システム費用
21.2万円/kW
2019年度は「10kW以上500kW未満」という区切りでしたが、2020年度は「10kW以上50kW未満」で区切る変更がありました。
これまで事業用太陽光発電の中でもコスト低減が進んでいる50kW以上のトップランナー水準が想定値として採用されてきましたが、2020年度は10kW以上の事業用太陽光発電全体でトップランナー分析が行われ、1kWあたり21.2万円と想定されました。
資本費:土地造成費
0.4万円/kW(2019年度の想定値を据え置き)
2019年に設置した太陽光発電設備の定期報告データを分析した結果、昨年度と大きな変化がないことから、2019年度の想定値が据え置かれました。
資本費:接続費用
1.35万円/kW(2019年度の想定値を据え置き)
2019年に設置した太陽光発電設備の定期報告データを分析した結果、昨年度と大きな変化がないことから、2019年度の想定値が据え置かれました。
資本費:地域活用要件具備に要する費用
0.3万円/kW
2020年度は10〜50kWの規模の太陽光発電については、地域活用要件を具備する必要があります。
地域活用要件を具備するために追加で必要となる費用として、50kW規模の設備で141,000円程度かかると想定され、1kWあたり3,000円が採用されました。
地域活用要件について詳しくは以下の記事をご参照ください。
地域活用要件とは?
運転維持費
0.5万円/kW/年(2019年度の想定値を据え置き)
運転維持費とは定期点検や、パワコンなど機器の交換など、発電量維持や安全性確保に必要な費用のこと。
既設の太陽光発電設備の定期報告データを分析した結果、昨年度と大きな変化がないことから、2019年度の想定値が据え置かれました。
設備利用率
17.2%(2019年度の想定値を据え置き)
設備利用率とは、発電設備の実際の発電量が仮にフル稼働していた際の発電量の何パーセントを利用できるかを示す数値。計算式は以下の通り。
設備利用率=総発電量(kWh)÷(経過時間×設備の出力(kW))×100
過積載率の増加しているため設備利用率も上昇していますが、規模によって増加ペースが異なり、今後の傾向を注視する必要があることから、2020年度の設備利用率の想定値については、2019 年度の想定値17.2%が据え置かれることになりました。
自家消費比率
50%
自家消費電力量(kWh)÷発電電力量(kWh)×100=自家消費率
2020年度からは10〜50kW未満の太陽光発電は自家消費型のみが認定されるため(ソーラーシェアリングを除く)、自家消費比率も想定されました。
現在の住宅用太陽光発電の自家消費率は30%ほどと言われていますが、事業用は昼間も電力需要が大きいことも想定でき、70%以上の自家消費が可能と計算されましたが、自家消費率は事業形態により様々になると考えられます。認定の条件としては「30%以上の自家消費」が採用されましたが、自家消費を促進する観点から調達価格の算定には「50%」が採用されました。
自家消費分の便益
18.74円/kWh
電力10社の電気料金平均単価(2012〜2018年度)17.04円/kWhに税10%を加えて18.74円が採用されました。
IRR(税引前)(法人税等の税引前の内部収益率)
4%(2019年度の想定値を据え置き)
事業用太陽光発電(50kW以上250kW未満)
50〜250kW未満 2020年度の調達価格と調達期間
電源 | 規模 | (参考) 2019年度 |
2020年度 | 調達期間 |
---|---|---|---|---|
事業用太陽光発電 | 50kW以上250kW未満 | 14円 | 12円+税 | 20年 |
50〜250kW未満 調達価格算定の前提となるコスト
資本費:システム費用
14.2万円/kW
システム費用とは、パネル、パワコン、架台、工事費のこと。
2019年度のシステム費用想定18.2万円/kWから4万円下げた14.2万円/kWが採用されました。
資本費:土地造成費
0.4万円/kW(2019年度の想定値を据え置き)
2019年に設置した太陽光発電設備の定期報告データを分析した結果、昨年度と大きな変化がないことから、2019年度の想定値が据え置かれました。
資本費:接続費用
1.35万円/kW(2019年度の想定値を据え置き)
2019年に設置した太陽光発電設備の定期報告データを分析した結果、昨年度と大きな変化がないことから、2019年度の想定値が据え置かれました。
運転維持費
0.5万円/kW/年(2019年度の想定値を据え置き)
運転維持費とは定期点検や、パワコンなど機器の交換など、発電量維持や安全性確保に必要な費用のこと。
既設の太陽光発電設備の定期報告データを分析した結果、昨年度と大きな変化がないことから、2019年度の想定値が据え置かれました。
設備利用率
17.2%(2019年度の想定値を据え置き)
設備利用率とは、発電設備の実際の発電量が仮にフル稼働していた際の発電量の何パーセントを利用できるかを示す数値。計算式は以下の通り。
設備利用率=総発電量(kWh)÷(経過時間×設備の出力(kW))×100
過積載率の増加しているため設備利用率も上昇していますが、規模によって増加ペースが異なり、今後の傾向を注視する必要があることから、2020年度の設備利用率の想定値については、2019 年度の想定値17.2%が据え置かれることになりました。
IRR(税引前)(法人税等の税引前の内部収益率)
4%(2019年度の想定値を据え置き)
参考