補助金
8月末に各省庁が令和5年度の概算要求が取りまとめられ、公表されました。
これから審議が進み、来年度どのような政策にどのくらいのお金がかけられるのかが決まっていきます。
来年度の補助金がどうやって、いつごろ決まるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
国の予算がどう決まっていくのかを大まかなスケジュールでご紹介します。

予算編成の大まかな流れ

5月ごろ〜 各省庁で次年度の予算要求の作業を始める
6月〜7月 骨太の方針 が決まる
7月中 概算要求基準 が決まる
・・・各省庁で予算編成・・・
8月末 各省庁から財務省に 概算要求書 が提出される
財務省が各省庁からの概算要求を査定、修正など
12月中旬 財務省原案 が策定される
・・・政府で最終調整・・・
12月下旬 政府案 を閣議提出、閣議決定される
1月 政府原案 が国会へ提出される
3月中 衆参両院を可決、通過すると予算が成立する
4月〜 政策実行

このフローが確実に実施されるというわけではなく、政権によって実施される項目は変わります。現政権での大まかなフローとご認識ください。
このあと各段階をもう少し詳しく説明します。

フロー詳細

予算編成の大まかな流れを用語解説を交えながらご説明します。

5月ごろ〜 各省庁で次年度の予算要求の作業を始める

どのような政策を行うのか、どのくらいの予算が必要かなどを見積もる。

6〜7月 骨太の方針 が決まる

「骨太の方針」とは、「経済財政運営と改革の基本方針」の通称。予算編成を進めるにあたり、国の政策の基本的な方針を示すもの。各省庁の利害を超えて、官邸主導で政策の方向性を示す意図があります。首相が議長を務める経済財政諮問会議で策定され、閣議決定されます。

経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)

出典:経済財政運営と改革の基本方針2022 | 内閣府

参考:経済財政運営と改革の基本方針2022 | 内閣府

7月中 概算要求基準 が決まる

財務省が各省庁に示す翌年度予算を要求する際のルール。「年金・医療等」「裁量的経費」「義務的経費」といった分野ごとに予算の上限額を設けます。骨太の方針をもとに7月に閣議了解されます。
参考:令和5年度の概算要求基準の骨子 | 財務省

8月末 各省庁から財務省に 概算要求書 提出

概算要求基準に沿って、各省庁が次年度に実行する政策にかかる費用を見積もり、財務省に概算の予算を要求(=概算要求)します。

9〜12月 財務省で査定

財務省が各省庁から提出された概算要求をヒアリングするなどして査定、必要に応じて修正を行います。

12月中旬 財務省原案 策定

各省庁から提出された概算要求をもとに財務省が査定を行い、認められたものを取りまとめたのが 財務省原案 として策定されます。 概算要求の結果、認められた内容として各省庁にも通知されます。

12月下旬 政府案 閣議提出、閣議決定

財務省原案を政府で再調整ののち、財務大臣が政府の予算案として閣議に提出します。
閣議決定されると 政府原案 として国会へ提出されます。

1月 政府原案 を国会へ提出

衆議院、参議院で審議されます。

3月 衆参両院を可決、通過すると予算成立

衆議院、参議院ともに可決されれば、次年度の予算が成立します。

4月 政策実行!

当初予算 と 補正予算

当初予算

4月1日から翌年3月31日までの会計年度の当初に成立した予算のことをいいます。
「当初予算」のほかに「本予算」とも呼ばれます。
上の項目で紹介してきた予算編成の流れは、当初予算のものです。

補正予算

年度途中で発生した自然災害やパンデミックなどの事柄に対し、当初予算では不足したり、予算の内容を変更する必要が場合、当初予算を変更する予算のことを補正予算といいます。
2022年度はロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高への対策として、2022年度はじまってすぐの5月31日に補正予算が成立しました。
時期は決まっていませんが、当初予算と同様の流れで成立します。

太陽光発電関連の概算要求。2023年度に予想される補助金

経済産業省、環境省が提出した概算要求をもとに、2023年度にどのような施策が行われると見込まれるかをご紹介します。
※概算要求の内容です。実施の有無や内容は確定しているわけではありませんので、ご承知おきください。

経産省:需要家主導による太陽光発電導入促進補助金

需要家が主体的に再エネを利用する取り組みとして、オフサイトPPAなどによる導入を補助し、このような事業モデルを確立させるための補助事業です。2022年(令和4年)度から4年間を目途に継続して実施する事業で、すでにご存知のかたも多いと思います。
2023年(令和5年)度の概算要求額は165.0億円です。(令和4年度予算は125.0億円)

需要家主導による太陽光発電導入促進補助金

出典:令和5年度 資源・エネルギー関係概算要求の概要 | 経済産業省

FIT/FIPを使わない野立ての太陽光発電向けの補助金で、新しく発電所を設置し、需要家と電気利用契約を締結して電気を供給する発電事業者(発電設備の所有者)が補助を受ける対象となります。

過去の公募情報を以下のページでご紹介しています。同じ内容で実施されるかは分かりませんが、大まかなご理解の参考になさってください。
参考:需要家主導による太陽光発電導入促進補助金 FIT/FIPを使わない野立て案件向け補助金 | エコめがねエネルギーBLOG

環境省:ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

ストレージパリティとは、太陽光発電設備と蓄電池を導入した方が経済的メリットがある状態のことです。ストレージパリティを達成するため、自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入支援を通じて、価格低減を促す施策です。
すでにストレージパリティ補助金としておなじみかと思います。
要求額は、民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業で合計200億円です。

ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業

出典:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業(一部 総務省・農林水産省・経済産業省 連携事業) | 環境省

環境省:新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業

農地の上に太陽光発電を設置するソーラーシェアリングや、ため池、廃棄物処分場など、太陽光発電を新たな設置場所を活用して設置する事業や、ソーラーカーポートなどの新たな設置手法を活用する事業を支援する事業。
こちらも継続して実施されている補助事業です。
要求額は、民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業で合計200億円です。

新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業(一部 農林水産省・経済産業省連携事業)

出典:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業(一部 総務省・農林水産省・経済産業省 連携事業) | 環境省

過去の公募情報を以下のページでご紹介しています。同じ内容で実施されるかは分かりませんが、大まかなご理解の参考になさってください。
参考:ソーラーシェアリング補助金情報 2022 | エコめがねエネルギーBLOG


これまで実施されてきた、需要家主導太陽光導入促進補助金、ストレージパリティ補助金、新たな手法による再エネ導入なども引き続き実施の予定です。
今回ご紹介した内容はあくまでも概算要求で示された内容であり、まだ確定ではありませんので注意が必要ですが、 来年度にあわてて調べなくてもよいよう、早めの情報収集をおすすめします。

参考:
令和5年度 資源・エネルギー関係概算要求の概要 | 経済産業省
令和5年度環境省重点施策集 | 環境省

※本記事の情報は投稿した時点のものであり、閲覧されている時点で変更されている場合がございます。あらかじめご承知おきください。