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2017年2月15日 「改正FIT法に関する直前説明会」の内容を受けて追記を行いました。

以前から当ブログでもお伝えしていた改正FIT法施行規則(省令)等が7月29日に公布されました。
2016年8月1日から既に施行されているものと、2017年4月1日より施行されるものがあります。詳しい内容については以下のURLよりご覧いただけますが、ここでは特に太陽光発電に関する注目すべきポイントをいくつか紹介いたします。

2016年8月1日より変更

①認定ルールが変更、運転開始は全量3年・余剰は1年以内に

10kW(キロワット)以上の産業用では、認定を受けてから3年以内に運転を開始することが条件になりました。
この期限を超過して運転を開始した場合、毎年5%程度買取価格の低減か買取期間の短縮を実施するとし、これらは専門家による委員会で議論して2016年度内に決定されます。
(2017/2/15)運転開始期限を超過した期間分、買取期間が短縮されます。

10kW未満の住宅用に対しては認定から1年以内に運転開始が義務づけられます。
期限を超過した場合には認定そのものが失効になります。

産業用・住宅用ともに太陽光発電設備の導入コストが低下するのに伴って、買取(FIT)価格を引き下げてきましたが、高い買取価格で認定を受けたまま着手しないケースが数多く発生しており、新ルールではこのようなケースを防止するのが狙い。
(参考:エコめがねエネルギーブログ「2017年4月から設備認定制度が変わります」)

適用される案件

①新制度(2017年4月1日より施行開始)で認定を受ける案件
②既に現行制度で認定を受けた案件のうち平成28年8月1日以降に接続契約(連系承諾及び工事費負担金契約を含む。)を締結する案件に適用します(なお、②既認定案件については、運転開始の期限(3年以内)の起算日は新認定制度の下で認定を受けたものとみなされた日とします)。

②運転開始に期限設定が設けられた案件はパネルの変更が可能に

現在、太陽光発電において、運転開始前に以下の変更認定を行う場合、調達価格を変更認定時の価格に変更することになっていました。

  • 太陽電池のメーカーの変更
  • 種類の変更/変換効率の低下
  • 出力の10kW以上かつ20%以上の減少

しかし運転開始に期限が設定される2016年8月1日以降、送配電事業者と接続契約を締結する場合は、上記の変更認定を行っても調達価格を変更させないこととします。ただし、出力の増加については、引き続き変更認定時の調達価格に変更になりますのでご注意ください。

変更認定に伴う価格変更

旧ルール 新ルール
(H28.8.1 以降に接続契約したもの)
運開前 運開後 運開前 運開後
太陽電池の
メーカーの変更
変更あり※1 変更なし 変更なし 変更なし
太陽電池の
種類の変更
変更あり※1 変更なし 変更なし 変更なし
太陽電池の
変換効率の低下
変更あり※1 変更なし 変更なし 変更なし
出力の増加 変更あり※2 変更あり※3 変更あり※2 変更あり※3
10kWかつ20%以上
の出力の減少
変更あり※2 変更なし 変更なし 変更なし

出展:経産省「平成28年8月1日以降に接続契約を締結する太陽光発電設備の運用変更について」

(注)「変更あり」については、接続契約(変更契約も含む。)の締結日又は変更認定時のいずれか遅い日が属する年度における調達価格が適用。「変更なし」については、変更認定に伴って調達価格は変更されない。なお、新ルールでの変更認定申請は、接続契約書の写しが必要。

※1 メーカーが当該種類の太陽電池の製造を行わなくなった場合又は10kW未満の発電設備の変更の場合は、調達価格の変更なし。
※2 電力会社の接続検討の結果を受けて出力を変更する場合又は10kW未満の発電設備の出力増加であって、変更後も10kW未満の設備である場合は、調達価格の変更なし。
※3 10kW未満の発電設備の出力増加であって、変更後も10kW未満の設備である場合は、調達価格の変更なし。

変更認定の方法(50kW以下)

JPEA代行申請センターの申請サイトで変更認定申請を行った後、電子メールで jp-acpdf@jpea.gr.jp 宛てに接続契約を証する書類をPDF等の画像データを添付し、送信してください。

【メール送付時の留意事項】

  • 件名に「接続契約書(申請ID:○○)」と記載すること。
  • メール本文には、設備ID、設備設置者名及び出力を必ず記載すること。

2017年4月1日より施行されるルールの主な内容

7/29に発表された電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(以下改正FIT法)はいろいろな変更点がありますが、ここでは当社で気になる変更点に要点をつけて一部紹介いたします。

再生可能エネルギー発電事業計画が明確に定められていること(【新規則第5条第1項】)

要点:事業計画段階で20年間にわたる事業計画を明確にする

再生可能エネルギー発電事業は、国が定める調達期間(20年間等)にわたり、長期間の事業実施が求められます。このため、事業計画段階から、長期間にわたる事業の実施計画が明確に定められていることを求めます。

発電設備を適切に保守点検及び維持管理するための体制を整備し、実施するものであること(【新規則第5条第1項】)

要点:発電設備の安定した発電と発電設備の安全性の確保が求められるようになりました

改正FIT法の目的は、エネルギーの安定的かつ適切な供給及び環境への負荷の低減を実現する観点から、再生可能エネルギー電気の利用を促進することです。
認定を受けた場合には、再生可能エネルギー電気を適切な方法で発電し、供給する責務が生じます。このため、発電を行う設備を適切に保守点検し、及び維持管理することで、発電を一定期間継続して行うことが可能となるよう、適切な取組を求めます。また、この一環として、事業に関係ない者が設備に近づくことにより感電などの被害が発生することがないよう、一定の取組を求めます。認定に当たっては、以上の取組が事業計画に織り込まれていることを確認することとします。

外部から見やすいように、事業者情報について記載した標識を掲示すること(20kW未満の太陽光発電を除く)

要点:発電設備に事業者名などの掲示が必要に。

固定価格買取制度が導入されて以降、再生可能エネルギー電気の発電を行う発電所が増加しています。こうした中、発電所の周辺地域にお住まいの方々や、立地自治体が発電事業者に連絡を取りたいと思っても、事業者についての情報が分からず、事業者と連絡が取れないことにより、 地域における安全の確保などにおいて、問題が生じるケースが報告されています。このため、事業を実施する事業者名などを、再生可能エネルギー発電を行う発電所の周辺に見やすいように掲示を行うことを求め、周辺地域の関係者に、当該再生可能エネルギー電気の発電を行う発電所の管理責任の所在を明確化します。 ただし、20kW未満の太陽光発電設備については例外的な取扱いを行います。

再生可能エネルギー発電事業を廃止する際の発電設備の取扱いに関する計画が適切であること

要点:発電事業終了の際、設備のPCSやパネルの廃棄を実施する計画が必要

再生可能エネルギー発電を行う発電所が増加する中で、発電事業が終了した後の発電設備の取扱いについての懸念(設備が放置されたままになるのではないか等)が高まっています。このため、事業計画段階から、事業期間終了後において、発電事業に用いた設備を適切に処分する計画になっているかを確認することとします。事業終了後における適切な対応が想定されていない計画については、認定を行わないこととします。

発電設備が決定していること

要点:発電事業が決定したら、すぐに設備部材の確保をおこなうこと。場合によっては認定取消も。

事業の実施の基礎となる発電設備が決定していることを確認した上で、一定期間内に発電設備を確保することを求め、当該期間内に確保されなかった場合には、認定の取消し等を行うこととします。ただし、運用に際しては、各電源の特性・設備コストの状況や、一部の発電設備については認定取得後に設備の発注を行わざるを得ないこと等を踏まえて対応することとします。

認定情報の公表【新規則第7条】

要点:20kW以上の案件は認定情報の検索が可能になります。

新認定制度では、経済産業大臣は、認定を受けた再生可能エネルギー発電事業計画の記載事項について、経済産業省令で定めるところにより、経済産業省令で定める事項を公表することとされています。このため、以下の方針で、認定情報を公表することとしました。
(1)公表事項原則、認定計画に記載した事項のうち、下記の事項を公表することにします。
 ⅰ)設備ID ⅱ)認定事業者名 ⅲ)発電設備の区分
 ⅳ)発電設備の認定出力 ⅴ)発電設備の所在地

ただし、20kW未満の太陽光発電設備については、住宅などに設置される小規模な発電設備であることが多いことを考慮し、個々の案件ごとに認定計画の内容を公表することはせず、認定容量を市町村別に集計し、公表することにします。
(2)公表方法認定後、資源エネルギー庁HPにおいて、検索可能な形で(1)の事項を公表することとします。

みなし認定事業者の書類の提出について【改正省令附則第6条】

要点:既に稼働中の発電設備も書類提出が必要。詳しくはコチラをご覧ください。

みなし認定事業者については、原則、改正法の施行後、経済産業省令で定める期間内に、一定の書類を提出しなければならないこととされています。この書類提出に関して、提出が必要な書類や提出方法について定めました。なお、この書類は運用に際して、認定を受けた再生可能エネルギー発電事業計画として取り扱うこととなります。また、書類提出の期限としては、新認定制度の下で認定を受けたものとみなされた日から6ヶ月間とすることとしました。原則として、みなし認定事業者には、一定の書類の提出を求めることになりますが、10kW未満の太陽光発電設備を用いて発電する事業者については、書類の提出を求めないこととしました。
(2017/2/15追記)10kW未満の太陽光発電についても事業計画の提出が求められることとなりました。

参考資料 (出展:経済産業省)

※本記事の情報は投稿した時点のものであり、閲覧されている時点で変更されている場合がございます。あらかじめご承知おきください。