現在、住宅用太陽光発電を導入する際に設けられていた10年間の買取期間が終了するという2019年問題を前に、電気を売るのではなく自家消費することに注目する方が増えています。
2016年度では住宅用、業務用、公共産業用の3つを含めて653億円だった市場が、2024年度では5.6倍の3684億円に上ると言われています。そこで現在注目されているのがハイブリッド蓄電システムです。
ここではハイブリッド蓄電システムとそのメリットについてご紹介します。
ハイブリッド蓄電システムとは
住宅用太陽光発電では、発電した電気をリアルタイムで家庭用電気として使用したり、蓄電池に充電したりすることができます。そして、従来の一般的なシステムの場合、太陽光発電と蓄電池のそれぞれにパワーコンディショナー(パワコン)が必要です。
パワコンとは太陽光パネルで発生させた電気エネルギーを、家庭で使える電気に変換する装置です。通常、太陽光パネルで発電された電気は直流のため、家庭で使えるように交流に変換しています。
太陽光発電で蓄電を行う場合、太陽光パネルで発電された電気は一度家庭用電源として交流に変換されているため、さらに直流に変換しなおして充電することになります。このため、2台のパワコンが必要になっていたのです。
電気は変換するたびに、電力ロスが生じてしまうため、パワコンを2台使用するシステムは効率が良くありません。そこで、太陽光パネルと蓄電池のパワコンを一台にまとめたのがハイブリッド蓄電システムです。
ハイブリッド蓄電システムのメリット
蓄電効率がよい
電力は直流と交流を変換するたびにロスが生じてしまいます。ハイブリッド蓄電システムは太陽光パネルが発電した直流の電気を直接貯めることができるまで無駄が生じず、安定した供給が可能です。
出力制御時の発電分を充電し、無駄にしない。
地域の電力事情によっては出力制御対応が必要となり、余剰電力を売電できない時が今後出てきます。
※出力制御について詳しくは「今さら聞けない「出力制御」〜なぜ出力制御が必要なのか?〜」をご覧ください。
例えば5kW発電中に自家消費を0.5kWしているとすると、出力制御がなければ4.5kWが売電できますが、出力制御されることによって、売電の量が少なくなったり売電ができなくなるのです。
メーカーによっては出力制御分の電気を蓄電池に貯めて、無駄にせずにすむハイブリッド蓄電システムもあります。
停電時でも電気を使いながら充電することができる
太陽光パネルで発電した電気を家庭用電気に変換して消費する一方で、同時に蓄電することも可能です。
停電時でも使用する家電や機器に対して発電した電気の一部を供給し、残りの電力を蓄電池に充電します。
ニーズに合わせて様々な蓄電モードが選べる
なるべく電気を買わずに自宅で発電した電気を使いたい方や、停電時に備えて蓄電池の残量を十分に保ちたい方、できるだけ売電を多くしたい方など、蓄電池をどう使いたいかはご利用者によって様々でしょう。
最近のハイブリッド蓄電システムでは、複数のモードが用意されていて、自動的にニーズにあった運転が行われます。
2019年から太陽光発電システムの買取期間が終了する家庭は40~50万戸ともいわれ、2020年以降も同じように買取期間が終了する家庭は多くなるといわれています。
そこでいま、いかに効率良く電気を変換し充電するかが重要視されているのです。
ハイブリッド蓄電システムは今後も導入されるケースが増えていき、省エネ性能を上げたZEH(ゼッチ)の約4割の住宅に導入されると言われています。