電気を貯められる、使用用途の多い蓄電池。再生可能エネルギーの需要が増えるにつれて、その存在が注目されつつあります。いったい、蓄電池にはどのような種類のものがあるのでしょうか。
ここでは蓄電池の種類と用途について紹介します。

鉛蓄電池

最も古い歴史を持つものが、「鉛蓄電池」です。主に自動車のバッテリー、非常時バックアップ電源などに用いられています。
マイナス極に鉛、プラス極に二酸化鉛、電解液に希硫酸を用いた電池です。
1kWhごとに5万円と比較的コストも安価で、広い温度範囲で動きます。過充電にも強いとされ、使用実績が多い電池です。また、充電から放電を1サイクルとした場合の鉛蓄電池の利用可能サイクル数が3000回を超えるとされ、年数にして約17年と、蓄電池の中でも長寿命のものであると言えるでしょう。
ただし、充放電のエネルギー効率がほかの電池よりも低くなるなどの課題があります。

鉛電池

鉛電池 出典:資源エネルギー庁「蓄電池技術の現状と取組について」

NAS電池

日本ガイシ株式会社だけが製造している電池です。大規模電力貯蔵施設、電力負荷平準化、再生可能エネルギーの出力安定化対策などに用いられることが期待されています。コストは1kWHごとに4万円となっていますが、構成する材料の資源が豊富にあり、量産してコストダウンすることが可能です。充放電時の自己放電などがなく、充放電のエネルギー効率が高いとされ、また長サイクルに制限がないなど、長寿命であることが特徴であると言えます。
作動温度が300度程度と常温では動作しないため、ヒーター等による加温が必要となるなどの課題があります。

NAS電池

NAS電池 出典:資源エネルギー庁「蓄電池技術の現状と取組について」

リチウムイオン電池

ノートパソコンや携帯電話など、現代人の生活に欠かせないモバイル機器のバッテリーに用いられる電池です。家庭やオフィスで用いられるほか、大規模施設のための大容量化の開発などが進められています。

マイナス極に炭素素材、プラス極にリチウム含有金属酸化物、電解液に有機電解液を用いており、エネルギー密度が高く急速充放電が可能です。ただ、有機電解液を用いていることから、高い安全性確保策が必要になります。またサイクル数3,5000回、年数で6~10年と比較的長寿命であることもあることも特徴です。ただ、コストが1kWhごとに20万円と少し高くなります。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池 出典:資源エネルギー庁「蓄電池技術の現状と取組について」

ニッケル水素電池

マイナス極に水素吸蔵合金、プラス極にオキシ水酸化ニッケル、電解液に水酸化カリウムをはじめとするアルカリ水溶液を利用した電池です。
リチウムイオン電池の登場まで、多くのモバイル機器のバッテリーとして用いられていました。現在ではハイブリッドカーのバッテリー、鉄道用の地上蓄電設備などに使われています。
過充電や過放電に強く、急速充放電が可能であるという特徴がある一方で、寿命が5~7年と短い、コストが1kWhごとに10万円と比較的高い、自己放電が大きいなどの課題があります。

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池 出典:資源エネルギー庁「蓄電池技術の現状と取組について」

レドックスフロー電池

太陽光や風力など、再生可能エネルギーの利用拡大のために必要な系統の安定化技術として期待されている新技術として、レドックスフロー電池があります。イオンの酸化還元反応を用いて充放電をおこなう電池です
電極や電解液がほとんど劣化せず長寿命、また材料に発火性のものがないので常温運転ができ、安全性が高いことが特徴です。20年のシステム耐久性を持っており、サイクル数は無限で長寿命。
電力会社や風力・太陽光発電事業者、電力小売事業者や電力需要家など、多くの人々から需要があります。


これからの時代、再生可能エネルギーの利用拡大は必要不可欠です。2019年に多くの太陽光発電設備の高価買取期間が終了するので、安価で売るよりも蓄電池にためて自分で利用するという選択も増えることでしょう。
コスト、コンパクトさ(エネルギー密度)、エネルギー効率、寿命、安全性など、蓄電池の種類によって特徴がありますが、用途により優先事項が異なるので、それぞれの特徴を把握し、用途に合った蓄電池を検討してみてください。

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