電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金 から成り立っています。
電気料金の内訳

この中から今回は「基本料金」についてご説明します。

基本料金とは

基本料金とは、電力会社が契約プランごとに設定した固定料金のことです。電力をまったく使わなかったとしても基本料金は発生し、必ず支払わなければなりません。
電力会社が人件費、機材費などの諸経費をまかなう目的で設けているものです。

電力会社により「基本料金」ではなく、「最低料金」という名称になっている場合もあります。
基本的には契約電力が大きくなれば高くなり、小さくなれば安くなります。

契約電力とは、使用できる最大電力のことです。
電気を水に例えて、
契約電力(kW)は蛇口の太さ、
使用電力量(kWh)は流れ出た水の量
と考えると分かりやすいかと思います。

高圧、特別高圧の基本料金

高圧、特別高圧の基本料金は、契約電力1kWあたりの料金があり、契約電力(kW)数をかけて算出されます。
たとえば1kWあたり1,800円であれば、
契約電力が50kWなら基本料金は90,000円、
契約電力が100kWなら基本料金は180,000円
となります。

例:東京電力エナジーパートナーの高圧、特別高圧の基本料金(2023年4月時点)

  1kWあたり基本料金(税込)
業務用電力
(契約電力500kW未満)
1,814円37銭
業務用電力
(契約電力500kW以上)
1,814円37銭
特別高圧電力A
(20kV供給)
1,704円89銭
特別高圧電力A
(60kV供給)
1,649円89銭

基本料金は契約電力の大きさに比例しますが、次はこの契約電力の大きさをどのように決めるのかみていきましょう。

特別高圧または高圧・契約電力500kW以上の契約電力の決定方法

需要家と小売電気事業者との協議で決定されます。
使用する負荷設備および受電設備の内容、同一業種の負荷率等を基準として算出されます。

高圧・契約電力500kW未満の契約電力の決定方法

実量制。当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力のうち最も大きい値が契約電力となります。
最大需要電力とは、30分毎の平均使用電力(デマンド値)のうち、月間で最も大きい値のこと。直近12ヶ月のうち最も高いデマンド値をもとに契約電力(kW)が決まります。
最大需要電力

余談となりますが、30分デマンド値は自家消費太陽光発電の提案に必要なシミュレーションをする際に必要となります。必要に応じて以下の記事もご参照ください。
30分デマンド値とは?入手方法は?
自家消費太陽光のシミュレーションに1年分の30分デマンド値が必要なわけ

デマンドを下げれば基本料金も下がる

例)基本料金:契約電力1kWあたり1,800円なら…
過去1年の最大デマンドが300kWなら→1,800円 × 300kW = 540,000円
省エネ、再エネ導入で最大デマンドが280kWに減ると→1,800円 × 280kW = 504,000円(-36,000円)
年間40万円以上の基本料金削減につながります。

低圧電灯契約の基本料金

家庭向けの料金メニューや、法人向けの低圧電灯メニューの基本料金についてご説明します。
家庭向けに多彩な料金メニューがありますが、ここでは従量電灯(単相100V または 200V)の基本料金の決定方法をご紹介します。

従量電灯の基本料金の決定方法は、
・最低料金制
・契約アンペアにより決定

の2通りあります。

最低料金制

最低料金による基本料金は、関西、四国、中国電力の従量電灯A、沖縄電力の従量電灯で採用されています。
一定の使用電力量までは定額の料金が徴収されます。例えば関西電力の従量電灯Aの場合、最初の15kWhまでは433.41円です。

例:関西電力の従量電灯Aの料金単価(2023年4月時点)

  単位 料金単価(税込)
最低料金(最初の15kWhまで) 1契約 433.41円
電力量料金 15kWhをこえ120kWhまで 1kWh 20.31円
120kWhをこえ300kWhまで 25.71円
300kWh超過分 28.70円

契約アンペア

最低料金制以外の料金プランでは、契約アンペアによる基本料金が採用されています。
契約アンペアとは基本的には同時に使える電気の量のこと。使う量が多いとアンペア数が増え、基本料金もアップします。
契約アンペアは、備え付けられた分電盤のアンペアブレーカーで確認します。つまり基本的には分電盤の仕様で基本料金が決まっているということです。

例:東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bの基本料金(2023年4月時点)

  単位 料金(税込)
基本料金 10A 1契約 295円24銭
15A 442円86銭
20A 590円48銭
30A 885円72銭
40A 1,180円96銭
50A 1,476円20銭
60A 1,771円44銭

低圧電力契約の基本料金

三相200Vを利用する電気機器(=動力負荷、業務用)の負荷容量の合計(○○kW)で基本料金が決まります。
動力負荷の数に増減があると、基本料金に変更が生じるため電力会社に都度報告する必要があります。

例:東京電力エナジーパートナーの低圧電力の基本料金(2023年4月時点)

  単位 料金(税込)
基本料金 1kW 1,138円46銭
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