世界有数の経済大国になった中国。その著しい発展とともに、エネルギー需要は急激に増大し続けています。なかでも電力需要をまかなうための火力発電による石炭消費量は膨大の量におよんでいます。火力発電はCo2を多く排出し、地球温暖化への影響が問題になっています。
増加を続ける中国のCo2排出量
世界中で発電に利用されるエネルギー資源は、“石油や天然ガス”というイメージがあるかもしれませんが、実は石炭火力が一番多くて約41%も担っています。日本では約27%、アメリカでは約43%、中国ではなんと約79%※が、火力発電に石炭が利用されています(※IEA World Energy Outlook 2013)。
1997年「京都議定書」採択時は、全世界で227億トンのCo2排出量があり、中国はそのうちの14%を占めていました。2010年になると、全世界で300億トンに増加し、中国は24%へと急激に増加しています(IEA Co2 emissions from fuel combustion 2012 )。2030年の見通しでは、中国はさらに1.4倍も増加すると予測されています(IEA WEO 2012(New Policy Scenario) 。中国におけるCo2排出削減への取り組みは、国をあげての急務となっています。
石炭火力発電から再生可能エネルギーへ
中国では、環境政策として「エネルギー効率の向上」と「石炭依存低減によるエネルギー構成の最適化」を打ち出しています。「エネルギー効率の向上」では、さまざまな省エネ技術の導入により、2015年までに国内総生産(GDP)当たりのエネルギー消費を2010年比で約16%削減する目標を立てています。
エネルギー構成最適化へのキーワード「再生可能エネルギー」
中国におけるCo2排出量削減への取り組みは、国をあげての急務となっています。原子力発電やCo2の排出が少ない天然ガスの開発もありますが、中国は「再エネ法」を制定して太陽光や風力、水力などの「再生可能エネルギー」の利用にも積極的です。再生可能エネルギー(風力・水力・太陽光)は、2020年までに発電設備容量を160ギガワットを追加し、一次エネルギー需要に占める割合を9.5%以上にするという目標を掲げています。
太陽光発電(20ギガワット)
2012年末の累積設置容量は8.3ギガワットと世界第3位の「太陽光発電」ですが、さらなる拡充を目指しています。
風力発電(70ギガワット)
送配電会社に対して全量買取が義務化されています。また発電会社にも、一定比率の再エネ発電設備が義務化されたことにより、開発が急激に進んでいます。
水力発電(60ギガワット)
大規模水力発電所10カ所を建設する計画があります。
日本全体の発電電力量は約100ギガワットですので、その設備拡充の規模は膨大な大きさといえるでしょう。
再生可能エネルギーにシフト
石炭消費によるCo2の排出削減のためには、省エネルギー技術の推進や、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギー需要を高めることが大きな課題となっています。
参考: