2019年3月22日にFIT制度における2019年度の買取価格が決定しました。
1月に調達価格等算定委員会より出された「平成31年度以降の調達価格等に関する意見」のとおりとなっています。
太陽光発電の買取価格を紹介します。
10kW〜500kW未満
電源・規模 |
(参考)2018年度 | 2019年度 |
---|---|---|
事業用太陽光発電 10kW以上500kW未満 |
18円+税→ | 14円+税 |
2018年度からの変更点(事業用太陽光発電)
- 4円/kWhダウン
- 入札対象の拡大。これまで2,000kW以上だったところ、500kW以上が入札制となった。
4円ダウンの背景
第5次エネルギー基本計画において再エネ主力電源化が掲げられたことをうけ、コスト低減と固定価格買取制度からの自立が求められています。
特に太陽光発電は普及も進み、コストダウンが見込めることから、さらにチャレンジングな水準の目標が設定されました。
これまで「2030年に発電コスト7円/kWh」という価格目標が設定されていましたが、5年前倒しし「2025年に発電コスト7円/kWh」を目指すことが明確にされました。発電コスト7円/kWhは、買取価格8.5円/kWhに相当します。
入札対象の拡大の背景
2018年度には上期に2回、下期に1回入札が実施されました。
上期の2回は入札容量が募集容量を下回り、“競争によってコスト低減を促すことが見込める入札制度”としてはうまくいかなかったようです。
今後も競争性が確保されるまで対象を拡大していく方向で進む見込みです。
日本のFIT太陽光案件では250kW以上の規模帯がコストが低いため、250kW以上を入札対象とすると価格低減が進むのでは、という議論もありました。
いずれは100kW以上が入札対象となるかもしれませんが、段階的な拡大とするため2019年度は500kW以上と決まりました。
10kW未満(住宅用太陽光発電)
電源 | (参考)2018年度 | 2019年度 |
---|---|---|
出力制御対応機器設置義務なし | 26円→ | 24円 |
出力制御対応機器設置義務あり | 28円→ | 26円 |
出力制御対応機器設置義務なし、ダブル発電 | 25円→ | 24円 |
出力制御対応機器設置義務あり、ダブル発電 | 27円→ | 26円 |
2018年度からの変更点(住宅用太陽光発電)
2017年に2017年度の買取価格とともに、2018年度、2019年度の買取価格も提示され、そのままの金額が適用されます。
出力制御対応機器設置義務がない場合は24円となり、家庭用の電気料金並みとなりました。
参考 家庭用の電気料金単価一例
- 東京電力エナジーパートナー
- スタンダードS 第2段階の電力量料金単価 25.98円/kWh(2019年3月26日時点)
- 中部電力
- 従量電灯B 第2段階の電力量料金単価 25.08円/kWh(2019年3月26日時点)
- 関西電力
- 従量電灯A 第2段階の電力量料金単価 25.33円/kWh(2019年3月26日時点)
ダブル発電も同じ買取金額に
2019年度から“ダブル発電”かどうかで金額の差異がなくなりました。
ダブル発電(太陽光発電設備と自家発電設備池などとの併用)の場合、太陽光発電による売電量を増やせる(押し上げ効果といいます)ため、買取単価が少し低めになっていました。
しかし住宅用太陽光発電の売電単価と家庭用電気料金がほぼ同じ水準となったことで、押上効果による収益差はほぼありません。そのため2019年度以降は同じ買取価格になります。
今後の買取価格の動向(住宅用太陽光発電)
2017年度に2019年度までの3年分が一気に提示されましたが、2020年以降はまだ決まっていません。
これまでは「2019年度に売電価格が家庭用電気料金並み」を目標にしてきましたが、達成は目前です。
次は「2025年に売電価格が卸電力市場価格並み」という価格目標があります。
そこに向けて低減するよう目指されます。
※卸電力市場価格並みとは?…2017年度の卸電力市場価格の各月加重平均値が10.3円/kWhであることから、10.3円/kWhが目標として設定されています。
参考:
FIT制度における2019年度以降の買取価格・賦課金単価等を決定しました | 経済産業省
調達価格等算定委員会「平成31年度以降の調達価格等に関する意見」について | 経済産業省