本記事では、各電力会社により算出された再エネ出力制御の2025年度の短期見通しを受け、エリアごとの出力制御率や、オンラインとオフラインでどれほど違いが出るのかについて、詳しく解説していきます。

【2025年度】各エリアの再エネ出力制御見通し(太陽光・風力)

2025年度の再エネの出力制御の見通しをみてみましょう。出力制御率は変動再エネ(太陽光・風力)の数値です。

出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ「再生可能エネルギーの出力制御に関する短期見通し等について」

九州の制御率が突出して高く、制御量で見ると九州に次いで東北、中国、四国の順で多い

東北 中国 四国 九州
出力制御率見通し
出力制御率%
[制御電力量kWh]
25年度見通し 2.2%
[3.8億kWh]
2.8%
[2.8億 kWh]
2.4%
[1.3億 kWh]
6.1%
[10.4億kWh]
24年度見通し 2.5%
[4.0億 kWh]
5.8%
[5.7億 kWh]
4.5%
[2.4億 kWh]
6.1%
[10億 kWh]
23年度見通し 0.93%
[1.47億 kWh]
3.8%
[3.50億 kWh]
3.1%
[1.63億 kWh]
6.7%
[10.3億 kWh]
変動再エネ導入量
[万kW]
25年度見通し 881 712 344 1,224
24年度見通し 1,030 699 361 1,216
23年度見通し 914 652 340 1,154
最低需要
[万kW]
25年度見通し 657 452 226 734
24年度見通し 719 475 226 718
23年度見通し 724 495 229 688
変動再エネ導入量/
最低需要[%]
25年度見通し 134% 158% 152% 167%
24年度見通し 143% 147% 160% 169%
23年度見通し 126% 132% 148% 168%

出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ「再生可能エネルギーの出力制御に関する短期見通し等について」

2024年度までの再エネ出力制御の実施状況等

出典:第3回 総合資源エネルギー調査会 資料1「再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について」

【2025年度】電力会社ごとの太陽光発電出力制御見通し

北海道電力ネットワーク

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 0.48% 0.45% 0.45%
2024年度見込み(参考) 0.79% 0.07% 0.07%
2023年度見込み(参考) 0.05% 0.00% 0.00%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-1 2025年度出力制御見通しについて【北海道電力ネットワーク】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

東北電力ネットワーク

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 7.63% 0.50% 0.74%
2024年度見込み(参考) 7.71% 0.31% 0.31%
2023年度見込み(参考) 2.06% 0.33% 0.59%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-2 2025年度出力制御見通しについて【東北電力ネットワーク】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

中部電力パワーグリッド

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 0.93% 0.15% 0.32%
2024年度見込み(参考) 1.40% 0.34% 0.57%
2023年度見込み(参考) 0.67% 0.18% 0.30%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-3 2025年度出力制御見通しについて【中部電力パワーグリッド】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

北陸電⼒送配電

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 5.77% 1.13% 1.13%
2024年度見込み(参考) 1.69% 1.38% 1.38%
2023年度見込み(参考) 2.43% 0.33% 0.24%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-4 2025年度出力制御見通しについて【北陸電力送配電】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

関西電力送配

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 1.34% 0.15% 0.15%
2024年度見込み(参考) 2.14% 0.34% 0.34%
2023年度見込み(参考) 0.46% 0.08% N/A

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-5 2025年度出力制御見通しについて【関西電力送配電】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

中国電力ネットワーク

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 6.35% 3.16% 3.16%
2024年度見込み(参考) 10.71% 6.00% 6.34%
2023年度見込み(参考) 7.52% 4.07% 4.07%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-6 2025年度出力制御見通しについて【中国電力ネットワーク】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

四国電力送配電

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 5.61% 2.88% 2.88%
2024年度見込み(参考) 9.25% 5.32% 5.32%
2023年度見込み(参考) 6.43% 3.50% 3.50%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-7 2025年度出力制御見通しについて【四国電力送配電】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

九州電力送配電

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 11.70% 7.00% 8.90%
2024年度見込み(参考) 11.40% 7.20% 9.00%
2023年度見込み(参考) 11.80% 7.40% 10.10%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-8 2025年度出力制御見通しについて【九州電力送配電】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

沖縄電力

2025年度出力制御見通し(出力制御率)
旧ルール
無制限・無補償ルール
オフライン オンライン
2025年度見込み 0.61% 0.07% 0.31%
2024年度見込み(参考) 0.83% 0.05% 0.99%
2023年度見込み(参考) 0.65% 0.07% 0.11%

・出典:第1回 次世代電力系統ワーキンググループ 参考資料1-9 2025年度出力制御見通しについて【沖縄電力】
・23/24年度分は過去エコめがねブログから引用

太陽光発電の出力制御オンライン化はどれくらい進んでいるのか

前項で同じ旧ルールでも「オフライン」より「オンライン」の方が出力制御率が低い(出力制御される量が少ない)ことを見てきました。
旧ルールが適用されている場合、出力制御ユニットや通信機器・回線を導入してのオンライン化は義務ではありませんが、オンライン化した方が売電金額的には有利と言えます。
下記エリアのオンライン化率を見ていきましょう。

太陽光発電の出力制御オンライン化の状況(2025年)

出典:再生可能エネルギーの接続・申込状況【東北電力】・再生可能エネルギーの申込状況【中国電力】・再生可能エネルギーの接続・申込状況【四国電力】・九州本土の再生可能エネルギーの接続状況 他【九州電力】

オンライン化したらいくらくらいの影響があるか

出力制御をオンライン化することにより、出力制御率を下げられるとお伝えしてきました。
また今後出力制御が増えることが想定されているエリアも多数の設備がオンライン化されていないことも分かりました。
では、現在オフラインである設備をオンライン化したとしたら、どのくらい売電金額への影響があるか、簡単な試算をしてみます。

旧ルールオフラインをオンライン化した際の影響試算について

旧ルールはオンライン化が義務付けられていませんが、オンライン化した方が出力制御の売電量への影響を下げることができます。
各電力会社が明示したオフライン制御、オンライン制御の出力制御率から、以下の条件の発電設備が「オフライン制御」を「オンライン制御」に切り替えた場合の売電金額への影響を試算しています。

  • 設備容量:49.5kW
  • 設備利用率:14%
  • 年間の想定発電可能量:49.5kW×24×365×0.14=60,707kWh
  • 売電単価:40円+税

公表された出力制御率をもとにした単純な試算です。効果をお約束するものではありません。ご注意ください。また廃棄費用積立額は考慮しておりません。

東北電力ネットワーク

2025年度の旧ルールの出力制御率見通し
オフライン:7.63%
オンライン:0.50%
旧ルールオフラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×7.63%=4,632kWh
旧ルールオンラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×0.50%=304kWh
旧ルールオフラインとオンラインの差
出力制御量想定の差:4,632kWhー304kWh=4,328 kWh
金額換算:4,328 kWh×44円=190,432円
→オンライン化の効果 +190,432円/年 (税込)

中国電力ネットワーク

2025年度の旧ルールの出力制御率見通し
オフライン:6.35%
オンライン:3.16%
旧ルールオフラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×6.35%=3,855kWh
旧ルールオンラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×3.16%=1,918kWh
旧ルールオフラインとオンラインの差
出力制御量想定の差:3,855kWhー1,918kWh = 1,937kWh
金額換算:1,937kWh × 44円 = 85,228円
→オンライン化の効果 +85,228円/年 (税込)

四国電力送配電

2025年度の旧ルールの出力制御率見通し
オフライン:5.61%
オンライン:2.88%
旧ルールオフラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×5.61%=3,406kWh
旧ルールオンラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×2.88%=1,748kWh
旧ルールオフラインとオンラインの差
出力制御量想定の差:3,406kWhー1,748kWh = 1,658kWh
金額換算:1,658kWh × 44円 = 72,952円
→オンライン化の効果 +72,952円/年 (税込)

九州電力送配電

2025年度の旧ルールの出力制御率見通し
オフライン:11.70%
オンライン:7.00%
旧ルールオフラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×11.70%=7,103kWh
旧ルールオンラインの想定される年間出力制御量
出力制御量:60,707kWh×7.00%=4,249kWh
旧ルールオフラインとオンラインの差
出力制御量想定の差:7,103kWhー4,249kWh = 2,854kWh
金額換算:2,854kWh × 44円 = 125,576円
→オンライン化の効果 + 125,576円/年 (税込)

まとめ

2025年度の出力制御見通しをご紹介しました。
東北・九州エリアの旧ルールにおけるオフラインとオンラインの制御量の差が大きく、
オンライン化によって売電額の減少を抑える事ができます。

<参考サイト>

第1回 次世代電力系統ワーキンググループ開催資料
資料2-1 再生可能エネルギーの出力制御に関する短期見通し等について
参考資料1-1 2025年度出力制御見通しについて【北海道電力ネットワーク】
参考資料1-2 2025年度出力制御見通しについて【東北電力ネットワーク】
参考資料1-3 2025年度出力制御見通しについて【中部電力パワーグリッド】
参考資料1-4 2025年度出力制御見通しについて【北陸電力送配電】
参考資料1-5 2025年度出力制御見通しについて【関西電力送配電】
参考資料1-6 2025年度出力制御見通しについて【中国電力ネットワーク】
参考資料1-7 2025年度出力制御見通しについて【四国電力送配電】
参考資料1-8 2025年度出力制御見通しについて【九州電力送配電】
参考資料1-9 2025年度出力制御見通しについて【沖縄電力】

第3回 総合資源エネルギー調査会資料
第3回 総合資源エネルギー調査会 資料1「再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について」

再生可能エネルギーの接続・申込状況【東北電力】
再生可能エネルギーの申込状況【中国電力】
再生可能エネルギーの接続・申込状況【四国電力】
九州本土の再生可能エネルギーの接続状況 他【九州電力】

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