2050年にカーボンニュートラルを目指す上で、脱炭素化された電力を増やす必要があります。
再エネは主力電源となるべく、引き続き最大限の導入を目指して進められますが、その中で太陽光発電は、どれくらい増やす必要があると想定されているかについてご紹介します。

再エネ比率5〜6割を目安に

2050年に総発電電力量(約1.3~1.5兆kWhを想定)のうち、目安として約5〜6割を再エネで賄うとした場合、約7,000~8,000億kWhを発電することが必要となります。
そのために必要な導入容量の目安として、以下のような参考値が経産省の基本政策分科会の資料にあげられています。
1)太陽光発電 約260GW(約3,000億kWh)
2)風力発電 約90GW(約1,900億kWh)
3)水力・バイオマス・地熱発電 約60GW(約1,600億kWh)
4)1)~3)に加え、約500~1,500億kWh程度の追加導入が必要。
この導入量を目安に置いて、複数のシナリオが検討されます。

太陽光260GWの導入量とは

260GWの太陽光発電とはどういった量でしょうか。
2020年12月末時点におけるFIT認定を受けた太陽光発電の導入容量は、住宅用、非住宅用を合わせて約6,000万kW弱となりますので、この4倍以上の規模となります。
これを実現するために、屋根上設置/地上設置などの区分で具体的にどれくらい導入するかの例が以下の表です。

導入イメージ

    導入量イメージ
屋根 住宅 62GW
既存住宅への導入が進みつつ、2031年以降は新築戸建住宅・新築集合住宅への導入が飛躍的に進み、2040年以降は100%に導入。
建築物 45GW
工場・物流施設・商業施設等の大型施設の全ての追加設備費等のかからない屋根等へ導入
地上 農地等(営農型) 42GW
全ての農業経営体による100kWの営農型太陽光発電等での導入
荒廃農地等 110GW
農地転用されるものを除く荒廃農地等への導入

足りない約500~1,500億kWhをメガソーラーで賄うとしたら

さらに足りない500〜1,500億kWhを仮にメガソーラーで賄うとすると、110GWの導入が必要です。

110GWを1MWのメガソーラーで換算すると、110,000カ所となります。
110,000カ所もまだ単位が大きすぎてわかりにくいですが、例えば全国約1,700の市町村の全てに割り当てると、平均して65カ所のメガソーラーを作るイメージです。

「再エネ比率5〜6割」の課題

1. 調整力の確保

再エネは自然条件によって出力が変動するため、需給を一致させる「調整力」が必要に。現状は火力発電などで調整していますが、「調整力の脱炭素化」「必要な調整力の量を確保」することが課題となります。

2. 送電容量の確保

再エネ適地と需要地が離れているため、送電容量が不足すると再エネの活用が困難に。
非常にコストがかかる送電網の整備をいかに進めるか、評価、判断が必要となります。

3. 系統の安定性(慣性力など)の確保

突発的な事故の際に、周波数を維持しブラックアウトを避けるためには、系統全体で一定の慣性力(火力発電等のタービンが回転し続ける力)の確保が必要です。

4. 自然条件や社会制約への対応

導入できる適地が限られている中で、どのように案件形成を進めていくか、他の利用(農業・漁業)との調和や地域との調整も必要となります。

5. コストの受容性

1.〜4.の課題の克服に大規模な投資が必要。また適地不足が進むため、今後コストが上昇することが懸念されます。
コスト負担に社会が受容するか、どのように対応してくか検討が必要です。


以上、想定されうる2050年の太陽光発電の導入量についてのご紹介でした。
太陽光発電は普及が進んでいるイメージでしたが、カーボンニュートラルを達成するためには、まださらに導入を加速させることが必要だということがお分かりいただけたと思います。
これまでFITに支えられ大量に導入が進み、太陽光発電の導入コストは年々下がってきましたが、今後、適地の不足や送電容量の確保などにより、コストが上昇することが懸念されています。
こうしたコストの負担について社会へどのように対応するか検討を迫られます。
また電気を使う需要家側も、自家消費太陽光発電設備などでコスト増への自衛策の検討を進めることをおすすめします。

参考:総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第43回会合) | 経済産業省

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