固定価格買取制度が開始されて以降、太陽光発電の導入が急激に進みましたが、小型風力発電は売電価格も高いため注目する人も増えています。
しかし、風力発電は設置すればどこでも効率よく発電するわけではありません。
ここでは、小型風力発電を設置する際に押さえておきたい風況や適している環境についてご紹介します。
小型風力発電の魅力
風力発電は風のエネルギーを電気に変換します。この再生可能エネルギーは発電コストが低いという特徴があり、電気事業者以外の企業も売電の目的で導入するケースが増えています。
売電価格も1kWあたり55円(平成29年度・20kW未満の場合)と高いだけでなく、太陽光発電と違い夜間でも発電できるため、小面積でも高い収益を見込めるのが魅力です。
風力発電に適した土地の条件
風力発電に向いている土地を理解して、適した土地に設置しないと狙った通りの発電はされません。
以下のポイントを押さえた場所に設置するようにしましょう
年間平均風速6m以上であること
風力発電で発電するためには風が必要です。当然ながら、風がよく吹く地域でなければいけません。
一般的に、年間風速6m以上の地域が風力発電に向いていると言われています。
NEDO(技術開発気候)の「局所風況マップ」を参考にしたり、シミュレーションを行ってくれる業者に依頼したりすることで調べられます。
近隣に住宅がないこと
風力発電は風車を回して発電をしますが、風車が回る際に風切り音が発生します。このため近隣に住宅があると騒音問題に発展する恐れがあります。一般的には100〜150m以上住宅と離れた土地が選ばれるようですが、自治体によっては距離の指針を設けているところがありますので、確認が必要です。
連系する電柱が近いこと
発電した電力を電気会社に売るには送電設備が必要です。
このため近くに電柱がない場合は、新たに電柱を設置しなければならず、その際の費用は設置者(風力発電を行う企業)が負担することが多いです。
風力発電の適地は?
局所風況マップをみると、年間風速が6m以上ある場所は、主に以下のような地域であることが分かります。
- 北海道北部沿岸、また日本海側沿岸
- 東北地方沿岸、奥羽山脈の尾根沿い
- 岩手県北上高地
- 千葉県房総半島の太平洋側沿岸
- 石川県西側沿岸
- 愛知県渥美半島沿岸
- 高知県南部の岬
- 愛媛県佐多岬半島
- 鹿児島県佐多岬
- 鹿児島県野間半島
- 長崎県北松浦半島北部
- 山口県向津具半島川尻岬周辺
- 沖縄県沿岸部
以上に紹介した地域は、年間風速が6m以上ある地域というだけで、必ずしも風力発電を設置できるというわけではありません。設置しようと考えている場所が適しているかどうかは専門家と相談することが大切です。
さらに、風力発電を行うには小型風力発電(20kW未満)の場合およそ130㎡の面積が必要だと言われています。しかし、近隣に住宅がある場合はさらに広く土地を取る必要があるため注意が必要です。
日本では、周辺環境との調和だけでなく、台風などの気象条件に対応できるようにすることが課題とされています。小型の風力発電の導入を検討するときは、設置面積や近隣の住宅との位置関係、自然環境、風況などをふまえることが大切です。