農業従事者の高齢化などで使われなくなった農地が、全国各地に点在している現状があります。土地は使い方によって収益を生む性質のもので、太陽光発電への転用もそのひとつでしょう。
しかし農地を転用するといってもそれぞれに区分があり、転用可能かどうか分別されます。
ここでは農地を発電所に転用する制度や手続き、転用可能の立地区分についてご紹介します。
農地転用とは
農地転用とは、現状農地である場所を農業以外の目的のために利用する土地に転用することを指します。
日本で農地転用する場合は土地の所有者であれ、貸借で他者の農地を転用する場合であれ農林水産省(4ha以上の場合)や都道府県知事(4ha以下の場合)の許可が必要です(農地法第4条、5条)。日本の食糧自給率を維持するために農地を確保することが求められ、安易に転用できないようにそのような規制が取られています。
特に水田からの非農地への転用は規制が厳しいものです。
土地には使用目的が限定される「地目(ちもく)」という制度があり、太陽光発電は地目において田畑などの農地では設置できないことになっています。太陽光発電に使用する土地としては耕作放棄地や有休農地といったものが挙げられます。
これらの土地に太陽光発電を設置して有効活用する場合は、地目を農地から変更することが必要なのです。
農地転用するための手続き
都道府県知事の許可の場合(4ha以下の場合)
- 申請書提出(市町村の農業委員会へ)
- 申請に必要な書類(主なもの)
- 法人にあっては、定款(又は寄付行為)の写し及び法人の登記事項証明書
- 申請に係る土地の登記事項証明書
- 申請に係る土地の地番を表示する図面
(詳細は農地を管轄する自治体の農業委員会へ確認してください)
- 農業委員会が意見を付して知事へ送付
- 知事から都道府県農業委員会へ意見聴取
- 都道府県農業委員会から知事へ意見提出
(2ha超4ha以下の場合は農林水産大臣[地方農政局長等]と協議) - 知事から申請者へ許可通知
都道府県知事の許可の場合(4ha以上の場合)
- 1.申請者から知事へ申請書提出
- 知事から大臣へ意見を付して送付
- 大臣から申請者へ許可通知
申請から許可がおりるまでは
都道府県知事許可の場合:6週間(農林水産大臣への協議が必要な場合はさらに3週間)
農林水産大臣許可の場合:事前申請 6週間、許可申請 6週間
太陽光発電所への農地転用が可能な農地と許可基準
第2種農地
- 営農条件・市街地化の状況
市街地化が見込まれる(鉄道の駅が500m以内にある)農地又は生産性の低い小集団の農地 - 許可基準
周辺の他の土地に立地することができない場合等は許可
第3種農地
- 営農条件・市街地化の状況
市街地化の傾向が著しい(鉄道の駅が300m以内にある)区域にある農地 - 許可基準
原則許可
上記の2つの立地区分が対象となります。また原則不許可の立地区分は農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地です。これらの立地区分は条件により許可がおりることもあります。
農地を太陽光発電所へ転用するには許可された立地区分であることが前提で、各種申請書の提出が必要です。太陽光発電所に農地転用することで、使われていなかった土地を有効活用できることもあります。
諸条件を鑑みた上で、太陽光発電所への農地転用を考えてみてはいかがでしょうか。