パブリックコメント「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等に対する意見募集」が2017年8月4日まで受付中です。
太陽光発電事業者さんにとって影響の大きな「事後の過積載」の扱いの変更についてご紹介します。
2017年8月15日に資源エネルギー庁より、「新制度への移行手続完了前の事業計画の変更認定申請及び変更届出について(補足)」というお知らせがありました。
太陽電池の合計出力変更の届出は、省令案等の施行日の前営業日の営業時間内に、紙媒体で到達したものまで変更届出として受け付けるとしています。施行されたあとに到達した変更届出は、改めて変更認定申請が必要になるため、注意を呼びかけています。
いつ施行されるかについては「パブリックコメント期間終了後、少なくとも14日の検討期間を経た後に、可能な限り速やかに公布する予定」とのことで、8月21日以降すみやかに、ということのようです。
2017年7月時点では、以下の変更認定を行うと、変更認定時の買取価格が適用されます。
- 発電出力を増加させる変更
(発電出力=太陽光パネルの合計出力とパワーコンディショナーの出力のいずれか小さい方の値) - 太陽電池のメーカーの変更 ※1
- 太陽電池の種類の変更 ※1
- 太陽電池の変換効率の低下 ※1
- 発電出力の10kW以上かつ20%以上の減少 ※1
上記以外の変更では買取価格は据え置かれていましたが、今回意見を募っている改正は、変更時点の買取価格に変更される項目に、「太陽光発電パネルの出力」も追加される※2、という内容です。
- 合計出力の20%未満の減少
- 合計出力の3kW未満の増加もしくは合計出力の3%未満の増加
- 送配電事業者都合
パブリックコメントを経て改正がなされれば、パネルを増設した場合、その時点の買取価格に変わるということです。
増加した容量分だけではなく、はじめから設置していたパネルの容量分もまるごと変更されるようです。
なぜパネルの増設が問題視されるのか?
年々太陽光発電パネルの価格も下落しますので、運転開始後に安くなったパネルを増設することで収益アップが見込めます。
高い買取価格のまま増設を許可することは、国民負担のFIT制度において受け入れ難い、ということで事後の過積載が問題視されていました。
総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 新エネルギー小委員会(第17回)‐配布資料
「太陽光発電パネルの過積載とは?」で紹介したように、パワーコンディショナーの容量より多くのパネルを設置する過積載は、パネル価格の低下にともない人気となっていますが、過積載そのものが問題となっているわけではないのでご留意ください。
みなし認定手続きが終わらないので変更認定申請もできない!
2017年度に入ってからパネルを増設しようとしていた人には、新制度への移行手続き(=みなし認定手続き)が終わらないので変更認定申請もできない、という問題が発生します。
本来であれば、みなし認定手続きが完了しないと変更認定申請ができません。
しかし現在みなし認定の審査期間は2ヶ月以上とかなり時間がかかっています。
みなし認定手続きがスムーズに進まない状況下での改正には、納得がいかない人も多いでしょう。
そこで、みなし認定手続中の方は、みなし認定手続の完了より前に、太陽電池の合計出力の変更届を提出できるようになりました。
参考リンク:
新制度への移行手続完了前の事業計画の変更認定申請及び変更届出について | 資源エネルギー庁
50kW 未満の太陽光発電設備に係る新制度への移行手続完了前の事業計画の変更認定申請及び変更届出について | 資源エネルギー庁
あくまでも「みなし認定手続中」のケースが対象です。
事業計画をまだ提出していないのに、太陽光パネル出力変更の申請が先にできるわけではありませんのでご注意ください。
こんな場合も買取価格変更?
増設して過積載をするほど土地が広くないから関係ない、というわけではありません。
例えば、
天災で太陽光パネルが何枚か故障してしまった。
太陽光パネルの交換が必要だが、建設当時より性能が向上しており、壊れたパネルを交換することで出力が3%以上増えてしまう、
といったケースも考えられます。
全体の買取単価が下がるのを受け入れるのは難しいと思われ、太陽光パネルの出力が増えすぎないようにするためにはパネルの枚数を減らさないといけない、ということもありえます。
天災に対して保証や保険で備えておられる方も多いですが、天災による買取価格の下落を想定されているかたは少ないのではないでしょうか。
まだパブリックコメント受付中で変更内容が確定したわけではありませんが、すべての発電事業者の方に影響のあることですので、引き続き見守りましょう。