「地産地消型再エネ増強プロジェクト」とは、再エネの導入拡大をはかるために、地産地消型の再生可能エネルギー発電等設備および熱利用設備の導入に対して東京都が助成を行うというものです。

東京都内に設置するもののみとなりますが、発電した電力の全量を自家消費する太陽光発電などを導入される際には大きな助成がありますので、ぜひチェックいただきたい助成事業です。

具体的に対象となる設備や事業者などについてご紹介していきます。

地産地消型再エネ増強プロジェクト概要

助成事業の実施期間

令和2(2020)年度〜令和5(2023)年度
※助成金の交付は令和6(2024)年度まで
※公募は毎年度行われます。

令和3(2021)年度の申請受付期間

令和3年4月1日から令和4年3月31日まで

令和3年度の予算

4億円(予算額に達し次第終了)

助成対象となる事業

再エネ設備を都内に設置し、設備から得られたエネルギーを都内の施設で消費する事業。

助成対象となる設備

(1)再エネ発電等設備(太陽光発電、発電設備と併せて導入する蓄電池等)
(2)再エネ熱利用設備(太陽熱利用、地中熱利用、バイオマス熱利用等)
※設備の種類や条件は後ほど詳しくご紹介します。

助成金額

(1)中小企業等:助成対象経費の3分の2以内(助成上限額:1億円)
(2)その他:助成対象経費の2分の1以内(助成上限額:7,500万円)
※事業者の種別により助成率、上限額が異なります。くわしくは後述

助成例

中小企業が自家消費型太陽光発電設備と蓄電池を新設する場合を例としてご紹介します。
助成例

助成対象となる具体的な経費

以下の設備導入にかかる設計費、設備費、工事費が助成対象となります。

地産地消を目的とする再生可能エネルギー発電等設備

  • 太陽光発電(出力5kW以上)
  • 風力発電(単機出力1kW以上)
  • 小水力発電(単機出力1~1,000kW以下)
  • 地熱発電
  • バイオマス発電(出力10kW以上)

地産地消を目的とする再生可能エネルギー熱利用設備

  • 太陽熱利用(集熱面積10m²以上)
  • 温度差熱(熱供給能力10kW以上)
  • 地中熱利用(熱供給能力10kW以上)
  • バイオマス熱利用(バイオマス依存率60%以上)

その他設備

  • 蓄電池(再エネ発電設備と同時導入する場合に限る)
  • バイオマス燃料製造(バイオマス依存率が 60%以上。バイオマス発電または熱利用設備と同時導入する場合に限る)

条件

地産地消とみなされる条件

再生可能エネルギー設備であっても、地産地消でなければ助成対象となりません。
具体的な条件は以下のとおり。

  • 敷地内に再エネ発電設備等を設置し消費する場合。
  • 敷地外に再エネ発電設備等を設置し、電力会社の送電網を経由して消費(いわゆる自己託送)、または自営線を経由して消費する場合。
  • 再エネ発電設備等を設置し、電力会社を介して需要家に提供して消費する場合(オフサイトPPAなど)。
  • 第三者所有モデルによる設置(オンサイトPPAなど)

その他条件

再エネ設備の設置場所、消費場所はともに東京都内であることが条件です。
また固定価格買取制度(FIT制度)の認定を受けないこと、
住居で電気や熱を使用するものでないこと、も条件となっていますのでご注意ください。

助成対象となる具体的な対象者

対象は民間事業者です。
国及び地方公共団体は、助成金交付の対象とはなりません。

民間事業者とは

  1. 民間企業
  2. 個人事業主
  3. 独立行政法人通則法(平成 11 年法律第 103 号)第2条第1項に規定する独立行政法人
  4. 国立大学法人、公立大学法人及び学校法人
  5. 一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
  6. 医療法(昭和 23 年法律第 205 号)第 39 条に規定する医療法人
  7. 社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第 22 条に規定する社会福祉法人
  8. 特別法の規定に基づき設立された法人又は協同組合等
  9. 法律により直接設立された法人
  10. 上記アからケまでに準ずる者として公社が適当と認める者

対象設備・対象者の例

具体的な案件が発生したときには、対象になるかどうか微妙なケースが出てくると思います。少しですが例として紹介します。

マンションは不可?

住居用に電気や熱を供給する設備は除外されますが、
住居的な建物に設置したとしても、住居で電気や熱を使わなければ対象となりえます。
たとえば、マンションの屋上に太陽光を設置し、1階のコンビニでその電力を使う、といったケースです。

国及び地方公共団体の建物は不可?

国及び地方公共団体は、助成金交付の対象外ですが、国及び地方公共団体の建物で消費するケースは対象となりえます。
たとえば、民間事業者が国や地方公共団体の建物に第三者所有モデルで太陽光発電を設置し、発電電力を建物で消費するケースなどです(諸条件あり)。この場合は、助成対象者は国や地方公共団体ではなく、発電事業者である民間事業者となります。

東京都内にない企業は不可?

再エネ設備の設置場所、消費場所は東京都内が必須条件とご紹介しましたが、助成対象事業者の所在地は東京都内に限定されません。
設置場所、消費場所が東京都内であれば、企業所在地はどこでもOKということです。
たとえば、東京都以外に所在地がある会社が設置費用を負担して、東京都内にある建物にPPAモデルで太陽光発電を設置し、その建物で発電電力を消費するケースでは、PPA事業者は助成対象となりえます。(諸条件あり)

詳細は公式サイトでご確認を

対象になるかどうかはっきり分からない、といった案件が出てくることも考えられます。
助成率の大きい事業ですので、助成事業のWEBサイトや申請受付窓口で一度お調べになることをおすすめします。

助成率・助成上限額

助成率、上限額は、対象事業者の種別により異なります。

助成対象事業者の種別 助成率 上限額
1. 中小企業の要件を満たす民間企業
※中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項で規定される企業
2/3以内
※国等の助成金等と併給する場合であっても、合計2/3以内
1億円
2. 個人事業主
3. 独立行政法人
※独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項で規定される法人
4. 国立大学法人、公立大学法人及び学校法人
5. 一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人及び公益財団法人
6. 医療法人
※医療法(昭和23年法律第205号)第39条で規定される法人/td>
7. 社会福祉法人
※社会福祉法(昭和26年法律第45号)第22条で規定される法人
8. 事業ごとの特別法の規定に基づき設立された協同組合等
9. 法律により直接設立された法人
10. 上記1.から9.までに準ずる者として公社が適当と認める者
11. 1.から10.以外の民間事業者 1/2以内
※国等の助成金等と併給する場合であっても、合計1/2以内
7,500
万円

出典:地産地消型再エネ増強プロジェクト 助成金申請の手引(Ver.2.0)

助成金のもらい方 大まかな流れ

助成金のもらい方 大まかな流れ

助成金を受けるまでの大まかな流れは上図のようになります。
給付金などと違い、申請すれば必ず受けられるわけではないのでご留意ください。
交付申請を行ってから、審査があり、審査に通ると交付決定、となります。
その後申請した内容で設計や工事などを行い、工事が完了したら完了報告を行います。
実施内容を審査され、問題がなければ助成金の支払いとなります。

交付申請書類提出から交付決定までの期間は1.5~2 カ月ほどかかる見込みです。書類に不備があり修正・再提出となるとさらに長引きます。交付決定後に工事することになるため、余裕を持って準備しはじめる必要があります。

また年度ごとに予算があり、予算額に達し次第、その年度は終了になりますのでご注意ください。
大まかな流れをご説明しました。詳細な申請フローや申請書類などは公式ページでご確認ください。

参考:地産地消型再エネ増強プロジェクト | クール・ネット東京

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