2019年7月22日に北海道電力より「北海道エリアにおける再生可能エネルギー導入量拡大に伴う発電事業者さまへの出力制御に向けた準備のお知らせについて」というお知らせが出ました。
これは具体的に出力制御対応を進める時期が近付いていることを意味します。
今回の出力制御対応の対象や、北海道の出力制御にまつわる背景を太陽光発電部分を中心にご紹介します。

2019年10月9日追記
2019年9月末から、2019年の9月末から、今回出力制御対応が必要な発電事業者に向けて北海道電力からダイレクトメールが送付されはじめました。
参考:北海道電力の「出力制御機能付PCS」切替手続き

対象となる太陽光発電設備

契約申込の受付日により、出力制御対象として適用されるかどうか、また適用される場合の出力制御のルールが異なります。

北海道電力の出力制御区分
出力制御のルール 旧ルール 指定ルール
契約申込の受付日 〜2015年1月25日※1 2015年1月26日〜
無補償での出力制御上限 500kW以上 年間30日※2 無制限
10kW以上500kW未満 当面の間出力制御対象外
10kW未満 無制限の対象となるが10kW制御後に行う※3
制御方法 現地操作または自動制御 自動制御

※1 FIT法施行規則が一部改正された日
※2 接続可能量を超過する案件は無制限
※3 2015年1月26日より施行されたFIT法施行規則の一部を改正する省令における10kW未満の経過措置については、同年4月1日にて終了

今後のスケジュール

2019年7月22日
出力制御に向けた準備のお知らせ ←今ココ
2019年9月末まで(未確定)
北海道電力から対象となる発電事業者へ、具体的な対応について書かれたダイレクトメールを送付

このあとのスケジュールはまだ不明ですが、大まかな流れは以下のようになります。

  1. 発電事業者さんと販売店さんにて、機器選定や見積もりなどを行う。
  2. 機器選定内容に問題がないか、確認依頼書を北海道電力へ提出する。
  3. 確認依頼書の内容に問題なければ北海道電力からその旨の回答と、工事・設定に必要な情報が送付される。
  4. 工事・設定を行う。
  5. 完了届を北海道電力へ提出する。

北海道の接続可能量と導入状況

北海道の接続可能量(30日等出力制御枠)は117万kWです。

接続可能量(30日等出力制御枠)とは「FIT制度において、電力会社が30日、360時間(太陽光)、720時間(風力)の出力制御の上限を超えて出力制御を行わなければ追加的に受入不可能となる時の接続量」と定義されていて、系統に接続される電源の容量の合計が接続可能量(30日等出力制御枠)を超えた場合、以降は無補償での出力制御時間が無制限となることを承認した上で接続することとなります。

北海道電力の接続状況

北海道電力 | 北海道エリアにおける再生可能エネルギーの導入状況と需給状況について

北海道における出力制御にいたるまでの経緯

2014年9月30日
北海道電力が「当社への再生可能エネルギー発電設備の系統連系申込みに対する回答保留について」を発表しました。

再エネ発電設備が急激に増えたことにより、このまま系統連系を続ければ需要が供給を上回る恐れがあるということで、2014年10月1日から系統連系申込みに対する回答を保留する、という内容です。
この回答保留は2015年1月25日まで続きます。

※なぜ需要が供給を上回ると問題があるのかについて詳しくは、『今さら聞けない「出力制御」〜なぜ出力制御が必要なのか?〜』をご覧ください。

2014年12月16日
経産省の審議・研究会である系統ワーキンググループ第3回が開催され、北海道電力より接続可能量の算定が117万kWと報告されました。
参考:北海道電力 | 再生可能エネルギー発電設備の系統連系申込みに対する回答保留に係る検討状況(太陽光発電の接続可能量算定値の系統WGへの報告について)

※接続可能量について詳しくは『太陽光発電の接続可能量「2015年度算定値」と「30日等出力制御枠」』をご覧ください。

2014年12月18日
経産省の審議・研究会である新エネルギー小委員会第8回が開催され、北海道電力の接続可能量が117万kWで確定します。
2015年1月22日
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(以下、省令)が公布されました。(2015年1月26日施行)
この中で出力制御ルールの見直しがあり、

  • 出力制御の対象となる太陽光発電の規模が、500kW以上だったところを、500kW未満にも拡大。
  • 「30日ルール」を時間単位での制御を前提として、「360時間」とすることに。
  • 遠隔出力制御システムの導入が義務付け。
  • 指定電気事業者制度(30日等出力制御枠を超過する電力会社は、無補償・時間無制限の出力制御を前提に接続可能になる)

といった変更がありました。

参考:e-Gov | 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等に対する意見募集の結果について

2015年1月23日
北海道電力が「再生可能エネルギー発電設備の出力制御ルール等の変更を踏まえた接続申込みに係る今後の対応について」を発表。

2015年1月22日の省令公布を受けて、年間360時間以上の出力制御も無補償であることを承認することで、接続の協議に入る、という内容です。
1月26日より接続契約に対する回答が再開されました。
※ただし経過措置として、10kW未満の太陽光発電は、2015年3月31日までは出力制御の対象外となります。

2019年7月22日
北海道電力より「北海道エリアにおける再生可能エネルギー導入量拡大に伴う発電事業者さまへの出力制御に向けた準備のお知らせについて」が発表。
太陽光発電も具体的な出力制御対応の準備が必要になりました。

参考:北海道電力 | 北海道エリアにおける再生可能エネルギー導入量拡大に伴う発電事業者さまへの出力制御に向けた準備のお知らせについて

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