自然エネルギーや再生エネルギーを利用した発電技術は、効率化が大きな課題として考えられています。その中のひとつ、「ごみ発電」は、技術開発次第では生活ごみ電力や開発資源にリサイクルできる夢の発電技術です。
今回は生活ごみから電気を発電する「ごみ発電」「廃棄物発電」についてご紹介します。
“ごみ発電”はどうやって電気をつくるのか
「廃棄物発電」とは、別名「ごみ発電」と呼ばれ、廃棄物からエネルギーを得る発電方法です。可燃ごみをボイラーで燃焼して得られる高熱・高圧の蒸気でタービンを回す火力発電の一種です。生活インフラを支える上で欠かせない発電と廃棄物処理を同時に解決できる一石二鳥の技術として、かねてから技術開発が進められてきました。
廃棄物発電のメリット
化石燃料の使用を減らせる
廃棄物発電では燃料として可燃ごみを利用するため、通常の火力発電のように化石燃料を必要としません。廃棄物からエネルギーを創出することができるため、廃棄コストを半分以上回収できるキックバックを得ることも可能です。
原料を国内で調達できる
生活ごみを燃料に替えられるということは、発電燃料を国内調達できるということです。
現在、火力発電に使われている燃料は、そのほとんどを輸入で賄っています。原油・石炭の半数以上をサウジアラビアやオーストラリアから、天然ガス(LNG)はアジア・オセアニア地域・ロシアなど諸外国から概ね5~20%ずつ輸入している状況です。
電力需要地に近い場所で発電できる(地産地消)
廃棄物発電は、地域で発生したごみを燃料資源として利用することができます。ごみを回収したエリアに電力を還元できる、“地産地消”の発電技術なのです。
現時点の課題
燃焼の際にダイオキシンなどの有毒ガスが発生する恐れがある
まとまった電力を確保するためには、可燃ごみのみを燃焼するよりプラスチックごみを含む多くのごみを燃料として使うことが効率的と考えられています。ダイオキシン等の有毒ガス分解のために、廃棄物発電所では800度以上の燃焼が義務付けられていますが、ガスが冷却される際に再合成してしまう「デノボ合成」対策も検討されています。
発電効率が悪い
廃棄物発電の発電効率や総発電電力量は上がり続けているものの、将来的な発展性から考えると現在の数値から見た実力は、およそ6割程度しか発揮されていません。ごみ発電はまだまだ開発の余地がある技術と考えられています。
課題克服に向けた新しい技術
ガス化溶融炉
ガス化溶融炉は、その名の通りガス化炉と溶融炉の技術を組み込んだ廃棄物発電法のひとつです。低酸素状態かつ1300度以上の高熱を与えることで、発電効率が16%ほど改善されます。さらに灰や不燃物を追加することで、燃え残りを路盤材などにリサイクルすることも可能です。
スーパーごみ発電
スーパーごみ発電方式は、従来の5~15%程度の発電効率をおよそ25%まで引き上げることができる夢の発電技術として開発が進められています。
これまで廃棄物燃焼で得られる蒸気をそのまま発電に利用していました。スーパーごみ発電ではその蒸気をボイラーでさらに過熱、そして都市ガスを燃料とするガスタービンからの蒸気を合流させて発電用タービンを回します。
現状での廃棄物発電はまだまだ効率的な発電技術とはいえません。一石二鳥のメリットを持ち、何よりも環境や都市生活にやさしい発電技術に今後も注目しておきましょう。