接続にまつわる事情により、通常と異なる電力会社との取り決めを行っている場合があると聞きますが、この記事では一般的な変更・対応内容についてご紹介します。
個別にご不明な点やご心配な点があれば、各電力会社様にお問い合わせをお願いいたします。
また2019年1月9日時点で判明している情報をもとにご紹介しています。必要に応じて各社・省庁のホームページより最新情報を取得の上、ご対応ください。

認定済み太陽光の買取価格が減額?!」の続報をお伝えします。

運転開始期限が設けられていない未稼働の太陽光発電の買取価格変更を変更するなどの改正について、意見募集(パブリックコメント)が2018年10月22日〜11月21日まで行われていました。
その結果が12月10日に公表され、また12月21日には運用についての詳細情報も発表されました。
パブリックコメント時から変更や追加がありましたので、あらためてこの改正についてまとめます。

改正のポイント

大きく以下の2点がポイントとなります。

  1. 運転開始の時点での事業コストを反映した買取価格を適用する。
  2. 早期の運転開始を担保するための措置を講じる。

主な変更点

1.買取価格の変更

「系統連系工事の着工申込み(以降『着工申込』と記します。詳細は後述)」の電力会社による受領が、受領期限に間に合わなければ、受領日の2年前の買取価格が適用されます。
受領期限に間に合った場合は、これまでどおりの買取価格が適用されます。
受領期限は発電設備の規模などにより異なりますので後述の表1をご覧ください。

2.買取期間の短縮

「系統連系工事の着工申込み」ののち、運転開始期限が設定され、それに間に合わない場合、月単位で買取期間が短縮されます。

表1:事業規模による着工申込の提出・受領期限と、運転開始期
  事業規模 提出期限 受領期限 運転開始期限
原則 2MW未満 2019/2/1 2019/3/31 2020/3/31
猶予措置 2MW以上 2019/8末目処 2019/9/30 2020/9/30
条例アセス対象 2020/2末目処 2020/3/31 2020/12/31

改正内容の詳細を見ていきましょう。

対象

対象となる事業

以下のいずれにもあてはまる太陽光発電事業

  • 2015年3月31日までに認定を受けた10kW以上の案件(買取価格が40円、36円、32円のもの)
  • 以下の期日までに運転を開始していない
    • 2MW未満…2019年2月1日
    • 2MW以上…2019年8月末
    • 条例アセス対象…2020年2月末
  • 2016年7月31日までに電力会社と接続契約を締結した案件

ただし、2MW以上の大規模事業は、開発の進行状況によっては対象外になります。

対象外となるケース1

  • 2MW以上
  • 2018年12月5日時点で電気事業法に基づく「工事計画届出」が受理されている

対象外となるケース2

  • 2MW以上
  • 2018年12月5日時点で電気事業法に基づく「工事計画届出」は受理されていない
  • 林地開発の許可が必要で、12月5日時点で「林地開発許可取得」「林地開発行為着手届出受理」されている
  • 2019年9月30日までに「工事計画届出」が受理され、2019年10月21日までに設置工事に着手する

対象外となるケース3

  • 2MW以上
  • 2018年12月5日時点で電気事業法に基づく「工事計画届出」は受理されていない
  • 林地開発の許可が不要
  • 2018年12月5日時点で開発工事に本格着手していることが、法令に基づく公的手続によって客観的に証明できる
  • 2019年9月30日までに「工事計画届出」が受理され、2019年10月21日までに設置工事に着手する

対象外かどうか、経産省による確認が必要

上記の対象外となるケース1〜3に該当する事業においても、自動的に適用が除外されるわけではなく、経済産業省による確認を受ける必要があります。
「適用除外確認依頼書」を記入し、管轄の各地方経済産業局へ期間内に提出します。

様式
「なっとく再生可能エネルギー」へアクセスし、指定の書類をダウンロードください。
「適用除外確認依頼書」「担当者連絡票」の2種類の書類をいずれも提出(郵送・もしくは持参)します。
事業用太陽光発電の未稼働案件の適用除外に係る詳細運用等について(お知らせ)| 資源エネルギー庁
提出期間
2019年1月15日(火)~2019年3月29日(金)
※期間内の開庁時間内に必要書類が到達していることが必要です。消印などによる判断ではないのでご注意ください。
※提出の際は、返信用封筒(切手貼付・宛先記載)を同封する必要がありますのでご注意ください。
提出先
太陽光発電設備の所在地を管轄する各地方経済産業局のFIT認定担当部署
住所や連絡先は事業用太陽光発電の未稼働案件の適用除外に係る詳細運用等について(お知らせ)に記載がありますのでご確認ください。

※ただし上記3つのケースも、以降に紹介する「パネルの変更」を行うと、対象外となりませんのでご注意ください。
※上記の対象外にあてはまる場合も、系統連系工事着工申込は必要です。
※「適用除外確認」の後に「系統連系工事着工申込」をする流れです。先に「系統連系工事着工申込」を行うと適用除外されませんのでご注意ください。

系統連系工事の着工申込

運転開始の時点の事業コストを反映した買取価格としたり、運転開始期限を設定するといっても、それぞれ事情が違うため、運転開始までにかかる日程はさまざまで、一律に○年や○ヶ月と決めるわけにはいきません。

そこで「送配電事業者への系統連系工事の着工申込」を運転開始にいたる実務上の手続きとして位置づけ、その手続きが不備なく受領された日を基準に買取価格や運転開始期限が定められることになりました。

系統連系工事の着工申込を受けて、電力会社が最短で連系開始できる予定日を決定します。
パブリックコメント時に公表されていた案では、工事の遅延などにより予定日に連系開始が間に合わなければ、再度着工申込を行う必要があるとされていましたが、寄せられた意見などを受けて再申し込みは不要となりました。

ただ着工申込の提出には以下の要件があり、要件を満たさない場合は再提出が必要となります。再提出が年度をまたぐと買取価格が変更となりますので注意が必要です。

系統連系工事着工申込の要件

  1. 提出時点で、再生可能エネルギー発電設備を設置する土地の使用の権原が現に取得できていること
  2. 提出時点で、以下の許認可等に係る手続が現に終了していること(いずれも必要な場合に限る)
    -農振除外及び農地転用の許可の取得(又は届出の受理)
    -条例に基づく環境影響評価の評価書の公告・縦覧
    -林地開発の許可の取得
  3. 提出後、運転開始までの間に、再生可能エネルギー発電事業計画の変更認定申請を行わないこと

系統連系工事着工申込の様式

様式は各電力会社にて定められます。
2019年1月7日時点で電力会社より公表されているお知らせ、書式を紹介いたします。
電力会社ごとにフォーマットや提出方法が異なりますので、ご注意ください。

東京電力

お知らせ FIT認定を受けた未稼働の太陽光発電設備の運用変更について | 東京電力エナジーパートナー株式会社
申込書・
記入例など
2012~2014 年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ | 東京電力エナジーパートナー株式会社(PDF)
提出方法 郵送
提出先 低圧と高圧で提出先が異なります。
<低圧の発電設備の場合>
東京電力パワーグリッド(株)多摩総支社内FIT受付センター
<高圧以上の発電設備の場合>
東京電力エナジーパートナー(株) 法人のお客さまサポートセンターFIT管理チーム
※住所は東京電力からのお知らせでご確認ください。

中部電力

お知らせ 2012年度~2014年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ | 中部電力
申込書 系統連系工事着工申込書(Word)
提出方法 郵送
提出先 設備の所在地、規模により担当窓口が異なります。
担当窓口一覧は中部電力のホームページでご確認ください。

関西電力

お知らせ 2012~2014年度に太陽光発電設備のFIT 認定を取得された発電事業者さまへ | 関西電力(PDF)
申込書 系統連系工事着工申込書(PDF)
記入例 申込書記入例(PDF)
提出方法 申込用紙を印刷・記入・押印の上、PDF化したファイルを電子メールに添付し、指定のメールアドレスまで送付。
提出先 送付先のメールアドレスは、設備の所在地により異なります。
※各メールアドレスは関西電力からのお知らせでご確認ください。

北海道電力

お知らせ 2012~2014 年度に太陽光発電設備の FIT 認定を取得された発電事業者さまへ(PDF)
申込書 系統連系着工申込書(Word)
提出方法 郵送
提出先 設備の所在地、規模により受付が異なります。
受付箇所一覧は北海道電力のホームページでご確認ください。

東北電力

お知らせ 2012~2014年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ
申込書 系統連系工事着工申込書(Word)/系統連系工事着工申込書(PDF)
提出方法 郵送
提出先 電力売電申込書をご提出されたお申込み窓口

北陸電力

お知らせ 2012~2014年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ | 北陸電力
申込書 系統連系着工申込書(Word)
記入例 系統連系着工申込書(記入例)(PDF)
提出方法 郵送
提出先 北陸電力株式会社 託送事務センター 再エネ担当
※住所はこちらのページでご確認ください。

中国電力

お知らせ 事業用太陽光発電の未稼働案件への新たな対応に係る詳細手続きについて | 中国電力
申込書 系統連系工事着工申込書《提出様式》(PDF)
記入例 系統連系工事着工申込書《記入例》(PDF)
提出方法 郵送
提出先 発電設備設置エリアのセールスセンター
セールスセンター一覧

四国電力

お知らせ 2012~2014年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ | 四国電力(PDF)
申込書 系統連系工事着工申込書(PDF) ※A3サイズの用紙に印刷
記入例 記入例
提出方法 郵送
後日、受領印押印・受領日記載の写しの返送があるため、必ず返信用封筒(切手貼付済、送付先住所および宛先記載済みのもの)の同封が必要。
到達確認が必要な場合は、書留などで提出のこと。
提出先 発電設備設置エリアの管轄事業場のお客さまセンター
管轄事業場情報

九州電力

お知らせ 2012~2014年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ | 九州電力(PDF)
申込書 系統連系工事着工申込書(Word)
提出方法 郵送(書留・レターパック)
後日、受領印押印・受領日記載の写しの返送があるため、必ず返信用封筒(切手貼付済、送付先住所および宛先記載済みのもの)の同封が必要
提出先 発電設備設置エリアの管轄配電事業所 託送受付係
配電事業所一覧

沖縄電力

お知らせ 2012~2014年度に太陽光発電設備のFIT認定を取得された発電事業者さまへ(PDF)
申込書 系統連系着工申込書(PDF、3ページ目)
記入例 系統連系着工申込書(記入例)(PDF、4ページ目)
提出方法 持参(窓口受付は16:00まで)または郵送
提出先 管轄支店・営業所の窓口

系統連系工事着工申込の提出期間

系統連系工事着工申込の提出期間は、規模などによって異なります。

  • 2MW未満…2019年2月1日(着工申込み受領期限:2019年3月31日)
  • 2MW以上…2019年8月末目途(着工申込み受領期限:2019年9月30日)
  • 条例アセス対象…2020年2月末目途(着工申込み受領期限:2020年3月31日)

不備がないようご注意を!

上記の提出期間内に系統連系工事着工申込書を不備なく提出し、受領期限内に受領されれば、従来の調達価格が維持されることとなります。
書類の不備がある場合や、要件を満たしていない場合などは、提出期間内に申込書を提出したとしても調達価格が維持できないことも想定されますので、十分に注意して提出されることをおすすめします。

ありがちな不備例
  • 申込日の書き忘れ
  • 押印忘れ
  • 違う書式(経産省のサンプルや違う電力会社の書式)で提出してしまった
    などなど

系統連系工事着工申込書の提出先

発電事業者から「特定契約」を締結している買取事業者へ提出し、一般送配電事業者へと送られます。
もし東京電力や関西電力といった電力会社ではなく、いわゆる新電力といわれる電力会社へ売電する予定の案件は、まずは新電力へ系統連系工事着工申込書を提出します。

太陽光パネルの変更が可能に

今回新たに運転開始期限が設けられる案件は、以下の変更認定を行っても、買取価格が変わらないこととなりました。
(これまで2016年7月31日までに電力会社と接続契約を締結した案件は、以下の変更認定を行うとその時点の買取価格に変更されることになっていました。)

  • 出力の減少(10kW以上かつ20%以上)
  • 太陽電池のメーカー変更
  • 太陽電池の種類の変更
  • 太陽電池の変換効率の低下

2012〜2014年度に認定を受けた設備ですと、当時のパネルがもう販売されていない、ということもありますので、この変更ができるようになったことでさらなるコストダウンが図れるでしょう。また変更認定の手続き中でも着工申込を行うことが可能です。

ただし前述の「系統連系工事着工申込の要件」にあるように、着工申込を行ったあとで変更認定を行った場合は、再度着工申込を行う必要があり、年度をまたぐと買取価格が変更になりますので注意が必要です。

買取価格変更についての詳細

事業の規模と、系統連系工事着工申込が最終的にいつ受領されたかにより、買取価格の変更内容が決まります。

2MW未満

着工申込受領日 買取価格
2019年3月31日まで 従来の価格
(40円・36円・32円)
2019年4月1日〜
2020年3月31日まで
21円
2020年4月1日〜
2021年3月31日まで
18円

2MW以上

着工申込受領日 買取価格
2019年9月30日まで 従来の価格
(40円・36円・32円)
2019年10月1日〜
2020年3月31日まで
21円
2020年4月1日〜
2021年3月31日まで
18円

条例に基づく環境アセスメント対象事業

着工申込受領日 買取価格
2020年3月31日まで 従来の価格
(40円・36円・32円)
2020年4月1日〜
2021年3月31日まで
18円

なぜ2年前の買取価格が適用されるのか?

2017年4月の改正FIT法施行以降は(正確には2016年8月1日以降に接続契約を締結した案件は)、すでに運転開始期限として3年が設定されています。
これは「運転開始の3年前の買取価格が適用されている」ともいえるということで、着工申込の受領日を基準点として、
基準点からの運転開始期限「1年」
+基準点から「2年」前の買取価格
=計「3年」
とすることで改正FIT法以降の案件とのバランスがとれると判断され、基準点の2年前の買取価格となりました。

2年前の買取価格が適用される理由

運転開始期限についての詳細

着工申込の受領の日付と、設備の規模により運転開始期限が違います。

2MW未満

着工申込受領日 運転開始期限
2019年3月31日まで 2020年3月31日まで
2019年4月1日以降 最初の着工申込受領の日から1年

2MW以上

着工申込受領日 運転開始期限
2019年9月30日まで 2020年9月30日まで
2020年10月1日以降 最初の着工申込受領の日から1年

条例に基づく環境アセスメント対象事業

着工申込受領日 運転開始期限
2020年3月31日まで 2020年12月31日まで
2020年10月1日以降 最初の着工申込受領の日から1年

なぜ運転開始期限は1年なのか?

2016年8月1日以降に接続契約を締結した案件は、すでに運転開始期限として3年が設定されています。
仮にある低圧の案件が2017年8月1日に接続契約を締結したとすると、運転開始期限は「新認定制度の下で認定を受けたものとみなされた日から1年」と設定されているため、2020年3月31日が期日となります。
一方、2016年7月1日に接続申込をしたある未稼働・低圧案件が、今回の改正で2019年3月31日までに着工申込を受領されたとすると、その運転開始期限は2020年の3月31日となり、既に運転開始期限が設定されている案件と同時期に運転開始期日を迎えることとなります。

改正FIT法施行後の2017年度に認定を受けた21円案件も例を上げてみます。
これらは認定を受けてから3年以内ということで運転開始期限が設定されていますので、2020年度内に期限を迎えます。
一方、40円、36円、32円の買取価格で未稼働かつ運転開始期限が設けられていない案件が、2019年度内に着工申込を受領されたとすると、買取価格が21円となり、運転開始期限は2020年度内となります。

同価格が適用される案件の運転開始期限が同時期となり、バランスがとれると判断されました。

運転開始期限

“最初の”系統連系着工申込受領日から1年

“最初の”系統連系着工申込受領日から起算して、原則として1年間が運転開始期限となります。
“最初の”とあるのは、何度か着工申込を行うケースが存在するためです。
たとえば、着工申込には必要な条件がありますが、これらを満たしていないことが明らかになった場合は再申し込みが必要となります。
複数回の着工申込・受領が行われたとしても、最初の受領日が起算日となり、運転開始期限は延びないため、注意が必要です。

運転開始期限を超過したら

工事が間に合わないなどの理由で、期日までに運転を開始できなかい場合は、買取期間が超過期間分だけ月単位で短縮されます。
買取期間の短縮

参考