再エネ比率を上げるにも系統容量の上限があり、どんどん増やすというわけにはいきません。新規に送電設備を増設するには時間もコストもかかります。そこで既存の電力系統を効率的に利用するための運用ルールの検討が進んでいます。
その「日本版コネクト&マネージ」についてご紹介します。

コネクト&マネージとは

既存の電力系統を最大限に活用するために進められている新しい系統運用ルールです。
まず接続(コネクト)し、管理(マネージ)するという方法です。

従来の日本の系統接続のしくみ

「日本版コネクト&マネージ」のご説明の前に、現在の系統接続について簡単にご紹介します。

送電容量の半分は、故障に備えて空けられている

故障したときに別の送電線に流して停電を防ぐため、予備の容量を確保する、という国際的な原則にのっとっています。
「N−1(えぬ・まいなす・いち)基準」といいます。
送電設備の容量の50%が実際に使える容量となります。

系統の空き容量の範囲で、先着順に系統への接続を受け入れている

送電設備の容量の半分が実際に使える容量ですが、空きがあれば先着順に接続が受け入れられます。
もし空き容量がなくなったら系統を増強した上で受け入れることになっていますが、コストや時間がかかります。

空き容量は接続されている電源がすべてフル稼働している想定で算定されている

さまざまな電源がつながっていて、系統に流れ込む電力量は一定ではありません。
すべての電源がフル稼働という状況は現実にはなかなかないと思われますが、もしピークが重なっても停電しないようにと、安全側に倒して、すべてがフル稼働する想定で算定されていました。

出典:系統制約の緩和に向けた対応|資源エネルギー庁

従来の日本の系統接続のしくみに対する発電事業者の不満

系統の増強には時間もコストもかかるため、エリアによっては以下のような不満があります。

  • つなげない
  • 接続に必要な負担金額が高すぎる
  • 接続に必要な時間が長すぎる

日本版コネクト&マネージ

既存の系統を最大限に活用しようということで、先行する海外の事例を参考にし「日本版コネクト&マネージ」の検討が進められてきました。

具体的に実施されると思われる「想定潮流の合理化」「N-1電制」「ノンファーム型接続」について見ていきましょう。

想定潮流の合理化

接続されている電源がすべてフル稼働している想定で空き容量が算定されてきましたが、現実的にはなかなか起こりえないのではないでしょうか。
太陽光発電や風力発電など天候によって発電量が変動する場合は特に、両方の発電のピークが同時に来ることは考えにくい。
現在の空き容量の算定は、安全側に倒した算定ではありますが、系統の利用率も低いため、効率が悪いように感じられますね。
より精緻に算出することで空き容量が増加すると見込まれます。
この合理化は、2018年4月1日からすでに適用されています。

2018年6月13日の第34回広域系統整備委員会での発表によると、
“特別高圧系統で空き容量がないとされた30件のうち、合理化により10件は効果があり、うち9件は設備増強なしで接続可能となる見込み”
とのことです。
想定潮流の合理化により、5月末時点で合計374MWの効果が見られたとのことで、今後もさらに合理化に期待されます。

N-1(えぬ・まいなす・いち)電制

従来、送電線2回線のうち1回線が故障(N-1故障といいます)したとしても、もう1つの回線で電気を供給できるよう、1回線分(容量の50%)は予備として確保されています。

この予備の回線を開放し、緊急時には瞬時に遮断することを条件に、送電線の最大容量まで接続を認める、というのが「N-1電制」です。

東北電力は、連系出力2MW以上の特別高圧送電線に接続するメガソーラーなどを対象に「N-1電制」を適用すると発表しました。
参考:再生可能エネルギーの導入拡大に向けた既設送電線の有効活用に係る取り組みについて~送電線事故時における瞬時電源制限(N-1電制)の適用を開始~|東北電力

また関西電力も特別高圧系統に連系する全ての電源に対し、N-1電制を考慮した検討結果の回答を開始すると発表しました。
参考:既設系統設備の有効活用に向けたN-1電制を適用した受電側系統連系の開始について|関西電力

緊急時に確実に遮断できるかどうかなど、課題や検討事項があるといえ、今後検討が進むことに期待されます。

ノンファーム型接続

接続可能な容量を決めずに、系統に空きがあるときには送電することができる、という考え方で接続するのがノンファーム型接続です。

先に紹介したN-1電制は、故障時に電源を遮断するものでしたが、ノンファーム型の場合は平常時にも系統が混雑していれば出力を抑制することがありえます。

ノンファーム型電源をどのように扱うか、どの程度出力を抑制されるか予見性をどのように高めるか、など検討すべき事項はまだ多く残されていて、導入には先に紹介した2つと比較して時間がかかりそうです。

※九州や四国などで運用が始まる「出力制御」と、今回ご説明したノンファーム型接続における出力の抑制が、同じようなものと感じられますが、別の問題です。
出力制御は電力需要に対して電力供給が多すぎるときに送電できないものですが、ノンファーム型接続は系統の容量に空きがないときに送電できないものです。

出典:広域機関における「日本版コネクト&マネージ」の検討について|電力広域的運営推進機関

すでにある電力系統設備を効率的に使うことは、発電事業者にとっては、接続できる容量が増え、より多くの再エネを接続できると期待できます。
送配電事業者としても非効率な設備投資を行わずにすむというメリットがあると言えます。
まださまざまな課題が残っていると思われますが、引き続き注目していきましょう。