「固定価格買取制度」にもとづき、平成27年度の再生可能エネルギー買取価格が発表されました。「固定価格買取制度」のスタート以来、年々引き下げられている太陽光発電に対して、20kW未満の小型風力発電は55円/kWhと高い水準を維持しています。しかし、小型風力発電の導入は太陽光発電よりも進んでいないのが現状です。今回は、小型風力発電の買取価格が高い理由と、導入が進まない原因について紹介します。
小型風力発電とは?
小型風力発電は、20kW未満の風力発電のことをいいます。小型の風力発電システムは、風車の部分以外は太陽光発電システムとほぼ同じ構成のため、住宅や建物の屋上、庭などの空きスペースにも設置が可能です。小型風力発電は風さえあれば夜でも発電できるため、その発電時間の長さが太陽光発電との大きな違いといえます。
平成27年度の再生可能エネルギー買取価格
経済産業省は、「固定価格買取制度」における平成27年度の新規参入者向け再生可能エネルギー買取価格を決定しました。買取価格は、下記の通りです。
太陽光発電買取価格
出力制御対応機器設置義務なし | 出力制御対応機器設置義務あり | |
---|---|---|
10kW未満(住宅用) | 33円/kWh | 35円/kWh |
平成27年4月1日~6月30日 | 平成27年7月1日~ | |
---|---|---|
10kW以上(非住宅用) | 29円/kWh | 27円/kWh |
風力発電買取価格
20kW未満(小型風力発電) | 55円/kWh |
---|---|
20kW以上(大型風力発電) | 22円/kWh |
固定価格買取制度において小型風力発電は、太陽光発電と比べてかなり優遇されていることがわかります。
小型風力発電が高い理由と導入の問題点
太陽光発電と比べてマイナーなイメージの風力発電ですが、今後も開発の余地があり、とくに北海道や東北地方の海岸沿いなど、風が強い地域での普及が注目されています。しかし、現実には小型風力発電の普及が進んでいないのはどうしてでしょうか?
小型風力発電の買取価格が高い理由
風力発電の買取価格を詳しくみると、大型風力発電の22円/kWhに対して、小型風力発電は55円/kWhと2倍以上の高い価格が設定されています。これは高い価格設定により「小型風力発電を促進させたい」という国の意図がみられます。
小型風力発電の導入における問題点
NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)では、小型風力発電の導入が進まない理由を2つ挙げています。
風車本体のコストが高い
部品の形式や組み合わせが多様化しているため、量産化しにくくコストが高い。
パワーコンディショナーの認証制度がない
認証制度がないことにより、電力会社との協議に時間がかかる。
このほか風力発電そのものの問題として、風車回転による騒音、低周波超音波による人体への影響が挙げられます。風力発電による低周波超音波の身体影響は、世界保健機関(WHO)でも取り上げられています。特に小型風力発電機は住居地域内に設置されることが多いので、導入時に大きな検討課題となります。
小型風力発電のさらなる普及のために
NEDOは、小型風力発電のてこ入れに乗り出しました。企業や大学などとの連携体制のもとで約3年間(2014年度~2018年度)の研究開発を行い、現状の30%以上のコスト削減を実現するシステムの標準化を目指しています。小型風力発電は、日本のエネルギーを支える再生可能エネルギーのひとつとして、今後さらに期待されるようになるでしょう。
参考: