「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」が公表されました。
例年このまま価格が決まりますので、来年度(2021年度)のFIT買取価格が決まったといっていいでしょう。
2022年度からはFIP制度が始まりますが、太陽光では1,000kW以上が2022年度からFIP対象となることが決まっていますが、それ以外は審議中のことが多いようです。
そんなこともあって、今回の調達価格案は新たなキーワードも登場し、少し分かりにくいと感じました。キーワードの意味なども交えて、2021年度の規模別太陽光発電のFIT買取価格をご紹介していきます。
10kW未満
(参考)2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
調達価格 | 21円/kWh(税込) | 19円/kWh(税込) | 17円/kWh(税込) |
調達期間 | 10年間 | 10年間 | 10年間 |
※ 太陽光発電(10kW未満)に限り、当該調達価格に消費税相当額を含むものとする。
※ 2022年度は、特定調達対象区分等のみの対象とし、交付対象区分等の対象としない。
2020年度からkWhあたり2円下がり19円/kWh(税込)となりました。
2022年度の調達価格も発表されており、さらに2円下がって17円/kWh(税込)となります。
また2022年度はFITのみで、FIPの対象ではないことが明記されています。
10kW以上50kW未満
(参考)2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
調達価格 | 13円/kWh+消費税 | 12円/kWh+消費税 | 11円/kWh+消費税 |
調達期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
※2021年度・2022年度について、2020年度の自家消費型の地域活用要件を据え置き。
※2022年度は、特定調達対象区分等のみの対象とし、交付対象区分等の対象としない。
2020年度からkWhあたり1円下がり12円/kWh(税抜)となりました。
2022年度の調達価格も発表されており、さらに1円下がって11円/kWh(税抜)となります。
2020年度から適用されている自家消費型の地域活用要件が据え置きとなります。
また2022年度はFITのみで、FIPの対象ではないことが明記されています。
参考)自家消費型の地域活用要件
- 余剰売電を行う設備構造・事業計画
発電した電力を消費した後に余った電気を売電する構造とするとともに、売電する割合は70%未満であること。
※ただし、農地一時転用許可期間が10年間となり得る営農型太陽光は、自家消費等を行わないものであっても、災害時活用を条件に、FIT制度の対象となる。 - 災害時に活用可能な設備構造・事業計画
災害時に自立運転機能を利用できること。非常時のコンセントBOXを有し、災害時の利活用が可能な計画であること。
50kW以上250kW未満
(参考)2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
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調達価格 | 12円/kWh+消費税 | 11円/kWh+消費税 | 10円/kWh+消費税※1 |
基準価格 | 10円/kWh | ||
調達期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
※1 2022年度は入札制の対象の事業が何kW以上となるか未定であるため、入札制の対象とならなかった規模の事業のみが10円/kWh(税抜)が適用されます。入札制となった規模には、次の「250kW以上1,000kW未満」と同じ内容が適用されます。
2020年度からkWhあたり1円下がり11円/kWh(税抜)となりました。
2022年度の調達価格も発表されており、さらに1円下がって10円/kWh(税抜)となります。
10〜50kWの事業で適用されているような「地域活用要件」を設定するのか検討されましたが、地域活用要件は適用せず、早期のFIP移行を目指す方向で進むこととなりました。
2022年度は、事業者が希望する場合はFIP制度の新規認定を選択可能とする方向で審議されています。
250kW以上1,000kW未満
(参考)2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
---|---|---|---|---|
調達価格 | 入札制 | 入札制 | 入札制 | |
供給価格上限額 | 第6回12円 (事前非公表) |
第7回11.5円 (事前非公表) |
11円〜10.25円 (事前公表) |
ー |
基準価格 | 10円/kWh | |||
調達期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
2021年度も2020年度に引き続き250kW以上が入札対象となりました。
入札は年4回実施されることとなり、現行の年2回から倍増しました。
またこれまで非公開であった上限額が公表されました。各回の上限額は「太陽光発電2021年度入札制の供給価格上限額」の表をご確認ください。
2022年度は、事業者が希望する場合はFIP制度の新規認定を選択可能とする方向で審議されています。
太陽光発電(1,000kW以上)
(参考)2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | ||
---|---|---|---|---|
調達価格 | 入札制 | 入札制 | ||
供給価格上限額 | 第6回12円 (事前非公表) |
第7回11.5円 (事前非公表) |
11円〜10.25円 (事前公表) |
|
基準価格 | 10円/kWh | |||
調達期間 | 20年間 | 20年間 | 20年間 |
※2022年度について、沖縄地域・離島等供給エリアは特定調達対象区分等にも該当する(調達価格は入札制)とする。
またこれまで非公開であった上限額が公表されました。各回の上限額は「太陽光発電2021年度入札制の供給価格上限額」の表をご確認ください。
1,000kW以上については、2022年度からはFIPのみとなります。
ただし、沖縄地域・離島等供給エリアは2022年度もFIT制度(調達価格は入札制)となります。
太陽光発電2021年度入札制の供給価格上限額
第8回 | 第9回 | 第10回 | 第11回 | |
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供給価格上限額 | 11.00円 | 10.75円 | 10.50円 | 10.25円 |
「特定調達対象区分等」「交付対象区分等」とは?
太陽光発電(10kW未満)と太陽光発電(10kW以上50kW未満)には、注意書きとして「2022年度は、特定調達対象区分等のみの対象とし、交付対象区分等の対象としない。」と書かれています。
「特定調達対象区分等」「交付対象区分等」という新しい言葉が出てきましたが、この意味は以下のとおり。
「特定調達対象区分等」=FIT制度の対象区分等
「交付対象区分等」=FIP制度の対象区分等
よって「2022年度は、特定調達対象区分等のみの対象とし、交付対象区分等の対象としない。」は、平たく書くと「2022年度はFITのみ。FIP対象とはしない」ということになります。
2022年度からFIP制度が始まるため、比較的小規模な太陽光発電については2022年度はFIPの対象とはならないと明示したということでしょう。
「基準価格」とは?
2022年度から始まるFIP制度で、発電事業者の収入の基準となる価格で「FIP価格」とも呼ばれています。
FIT価格と同程度の金額が設定され、交付期間にわたり固定されます。
「参照価格」とは?
参照期間ごとの市場価格の平均をベースに、諸々の事情を勘案して、季節または時間帯ごとに算定された額のこと。
「基準価格」から「参照価格」を控除した「プレミアム単価」を市場価格に上乗せした金額が発電事業者の収入となります。
参考:令和3年度以降の調達価格等に関する意見(PDF)