熱エネルギーのひとつに「地中熱」というものがあります。地熱の一種ですが、一般的な地熱とは区別されており、さまざまな利用用途のあるエネルギーとして近年注目されています。
地熱とは少し違う「地中熱」についてご紹介しましょう。

地中熱とは

地中熱とは、地表から200メートルほど地下の比較的低温の熱のことです。一般的な地熱が火山活動による地球内部の熱を指すのに対し、地中熱は太陽光により発生する低温の熱のことを言います。地下10メートルを超えると地中の温度は季節を通して安定しており、夏は外気温より温度が低く、冬は外気温より温度が高いという特徴を持っています。

比較的安定している地中熱エネルギーを取り出し、冷暖房や給湯などに用いるのが「地中熱利用」です。
地中熱利用には「ヒートポンプ」「空気循環」「熱伝導」「水循環」「ヒートパイプ」という5つの方法があり、用途にあわせて選択することができます。

利用方法

地中熱の利用方法をそれぞれご紹介します。

ヒートポンプ

ヒートポンプには、クローズドループ方式とオープンループ方式の2種類があります。

クローズドループ方式
地中熱交換器を地下に埋め込み、その中に流体(不凍液、水、または冷媒)を循環させることで地中から熱を取り出し、取り出した熱を地上のヒートポンプにより必要な温度領域に変換するシステムです。
住宅・建築物・プール・融雪など、さまざまな用途に適用可能です。
オープンループ方式
井戸から揚水した地下水をヒートポンプによって熱交換させるシステムです。目詰まりの恐れがない水質の良い地下水がある場合に適用できます。

空気循環

地中に熱交換パイプを埋設し、そこへ外気を導入。通気することで熱交換した空気を室内に取り込むシステムです。住宅やビルの保温、換気などの用途に用いられます。

熱伝導

土間床を介して熱を取り込み、住宅内の保温をおこなう方法です。一般的にエアコンを併用し空調することが多くなります。

水循環

水循環にもクローズドループ方式とオープンループ方式の2種類があります。

クローズドループ方式
地中熱交換器を埋め込み、それと路面に埋設した放熱管との間で不凍液などを循環させることで路面の融雪などをおこなうシステムです。
オープンループ方式
地下水を揚水して、それを路面に埋設した放熱管の中を通すことで路面の融雪などをおこなうシステムです。

ヒートパイプ

地下15~20メートルに冷媒を封入したヒートパイプを埋設し、冷媒の蒸発、また凝縮により熱を移流させ路面の融雪などをおこなうシステムです。

地中熱のメリットと課題

地中熱エネルギーの利用には、「冷暖房時の節電効果」「節電によるCO2排出削減」「節電による電気代、燃料代の削減」「ヒートアイランド現象の緩和」など、たくさんのメリットがあります。
その反面、「支援制度が充分ではない」「外気温により効果に差が出る」「施工事例が少なく、精度の高いデータが存在しない」など、いくつかの課題も指摘されています。

これら課題の解消のため、環境省と国土交通省は、「地中熱利用にあたってのガイドライン」をホームページで公開しました。また、環境省は経済産業省と提携し地中熱の利用への補助事業を始め、地中熱を利用する設備の導入に対して補助をおこなうなど、地中熱の利用普及に向けた活動をおこなっています。

国の事業などにより、地中熱利用の普及率はより拡大していくものと思われます。未利用の熱を活用することで省エネにつながる地中熱利用。今後もしっかりその動向を確認していきましょう。