発電事業者の方々にとっては、いかに発電効率を上げて発電量を増やせるかという点に興味を持たれることでしょう。太陽光の発電量を増やすために、これまでは太陽光パネルの過積載が主流でした。ですが最近では新たな技術が欧米を中心に広まっています。それがマイクロインバーターです。

通常は数枚のパネルをパワーコンディショナーでまとめて電流を直流から交流に変換し、パネルごとの系統に連係するシステムでした。マイクロインバーターは各パネルに取り付けるインバーター(直流を交流に変換する装置)です。日本では導入が進んでいない技術ですが、欧米ではパワーコンディショナーを追いやるほど導入数が増えている状況です。
マイクロインバーターとはどんな技術なのか、ご紹介します。

マイクロインバーターとは

マイクロインバーターは出力の最適化からDC-AC変換までを各パネルで実行するための機器で、既存の集中型パワーコンディショナーに代わる役割があります。
マイクロインバーターの大きさは20cm角ほどです。これをモジュールごとに取り付けます。こうして太陽電池パネルからその場で交流を取り出します。
パワーコンディショナーが各パネルのインバーターの役目を担う集中制御のシステムとすれば、マイクロインバーターは各パネルにインバーターを内蔵させた分散制御に当たります。

従来型とマイクロインバータの比較

マイクロインバーターを利用するメリット

得られる電力量が増える

パワーコンディショナー使用時は一部のパネルに影が当たったり故障したりすると全体の太陽電池パネルの発電機能に影響が及び結果、発電量が低くなっていました。
マイクロインバーターはこのような状況に陥っても該当部分のパネルだけ発電量が落ちることにとどまるので、他のパネルへの影響はなく発電効率が良くなります。トラブル時の影響が他のパネルに及ぶことがないという点で、パワーコンディショナー使用時より発電量が増えることが見込まれます。

システム構成がシンプル

モジュール1枚ごとにインバーターが取り付けてあるのでパワーコンディショナーを通すという工程がなくなり、出力された電流をそのままパネル系統につなげられます。各パネルが独立した機能になっていて太陽光発電のシステム構成がシンプルです。このため増設するときにもスムーズな作業でできます。

設置工事が簡単

マイクロインバーターの取り付けでもともと交流している宅内配線と接続しやすくなり、システムを拡張するための作業が容易です。マイクロインバーターにコンセントプラグが付いていて、これを家庭用コンセントに差し込むだけで動かせる製品もあり用途に合わせて製品を選べるのも利点です。

アメリカで急成長のマイクロインバーター

アメリカIHS社のIMS Researchのレポートによると2017年のマイクロインバーターの世界市場は2013年の約500MWの4倍となる2.1GWまで成長する見込みです。このうちアメリカでは2012年の時点で72%の世界市場のシェアを占めています。カリフォルニア州の住宅向け太陽光発電システムのうち25%がマイクロインバーターを利用しています。今後も増加が見込まれ、太陽光発電の新たな技術として導入が著しい技術です。

マイクロインバーターは安定した電力量の確保やシステム構成のシンプルさでメリットが大きい技術です。発電効率の良さがポイントで、欧米でも普及が広まっているとあって関心が今後も大きくなっていくことでしょう。
マイクロインバーターのメリットを理解した上で導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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