アメリカの企業アップル社が加盟を発表したことで注目を浴びた「RE100」。ヨーロッパの企業が多く加盟し、事業運営に必要な電力を再生エネルギーの利用で賄うことを目標としているプロジェクトです。
ここでは、RE100の概要や加盟条件、またその取り組みによって生まれるメリットなどを紹介します。

RE100とは

「RE100」とは「Renewable Energy 100%」の頭文字をとったもので、「再生可能エネルギーを利用した電力」だけで事業をおこなう企業が加盟する取り組みのことです。国際環境NGOの「The Climate Group」が2014年に開始し、欧米を中心に87の企業が加盟しています。
気候変動に対してグローバルに取り組んでいるRE100は、2017年1月にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会で、「RE100 Annual Report」という年次報告書を発表しました。
報告書によると、加盟企業の多くが2024年までに電力の100パーセントを再生可能エネルギーで賄うことを目標に掲げているとなっています。加盟企業のうち11社は2015年時点で再生エネルギー100パーセントを達成し、その他の企業がクリーンなエネルギーに転換するスピードを強調している模様です。

RE100加盟企業の活動規模は大きく、2015年に風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーにより調達した電力量は107テラワット(=1070億キロワット)。これはオランダの年間消費量とほぼ同じです。

加盟している有名企業は、スウェーデンの家具メーカー「イケア」、アパレルメイカーの「ナイキ」などがあげられます。

RE100に加盟するには

RE100に加盟するには、以下のような条件があります。

参加条件

参加対象企業は以下条件のいずれか1つ以上にあてはまることが必要です。

  1. グローバル又は国内で認知度・信頼度が高い企業
  2. 主要な多国籍企業(フォーチュン1000またはそれに相当)
  3. 消費電力量が100GWh以上(※2020年9月〜日本企業は50GWh以上に変更)
  4. RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有すること

上記4つの条件のうち、特に消費電力量が50GWh以上あるかが参加要件として重視されています。
※フォーチュン1000:アメリカのビジネス誌Fortuneがまとめた、収益でランク付けされた最大の1,000社。(Wikipediaより)

再生可能エネルギー100パーセントに向けた宣言をする

RE100に加盟するには事業を運営する際に利用する電力を100パーセント再生エネルギーにより調達する旨を宣言しなければなりません。多くの企業がその宣言と合わせて100パーセントに達成する年も発表しています。また、100パーセント達成は企業単位でおこなわなければならず、その達成に向けては、再生可能エネルギーを使い企業自ら発電をおこなう、発電事業者もしくは仲介供給者から再生可能エネルギーを購入する、などの方法があります。

報告書を毎年提出する

RE100加盟企業は、毎年進捗状況についての報告書を提出する必要があります。「CDP気候変動」の質問票のフォーマットを使って報告書を作成し、事務局に提出しなければならず、そこに記載する再生エネルギー発電や消費情報については第三者による監査を受けなければいけません。報告された情報はRE100のホームページなどで公開されます。

RE100に加盟するメリット

RE100に加盟し、再生可能エネルギー100パーセント利用を目指すことには、次のようなメリットがあると考えられています。

  • 長期的にコスト効果が高く、電力コストを低減できる。
  • 燃料費高騰による電気料金高騰リスクを低減できる。
  • 企業価値の向上
    持続可能性目標を達成することで、企業の名声が高まります。

使用電力を再エネでまかなうというと、社会貢献の一環で利益に直接つながるものではないというイメージが強いかもしれませんが、ビジネスを持続可能とするためには自然環境との長期にわたる共存も必要です。
単なる慈善事業という位置づけではなく、財務的なメリットがあるからこそ、世界の名だたる企業がRE100へ参加しているのではないでしょうか。

2023年11月時点で84社の日本企業がRE100に参加しており、今後も加盟する企業が増えることが予想されます。

参考
リコー、経営戦略に基づき重要社会課題と新たな環境目標を設定 | リコー
RE100・EP100・EV100国際企業イニシアチブについて | JCLP

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