10kW未満の太陽光発電の固定買取単価は「余剰買取」と「ダブル発電・余剰買取」の2つの種類があり、「ダブル発電・余剰買取」の方が買取単価が低く設定されています。

固定価格買取制度における太陽光発電電力の平成28年度の価格表(調達価格1kWh当たり)
太陽光 10kW未満
余剰買取 ダブル発電・余剰買取
出力制御対応機器
設置義務なし
出力制御対応機器
設置義務あり
出力制御対応機器
設置義務なし
出力制御対応機器
設置義務あり
買取価格 31円 33円 25円 27円

なぜダブル発電だと買取価格が安くなるのか、どういった機器を設置すると「ダブル発電」とみなされるのか等をまとめます。

ダブル発電とは?

住宅用太陽光発電に加えて自家発電設備等、例えば家庭用燃料電池「エネファーム」や家庭用ガスコジェネ「エコウィル」などを併設することを「ダブル発電」といいます。

ダブル発電はなぜ買取単価が低いのか?

「エネファーム」や「エコウィル」などの自家発電設備で発電した電力そのものは、現在売電できないようになっていますが、優先的に自家消費される結果、太陽光で発電した電気を売る量が増加します。これを「押上げ効果」といいます。

押上げ効果
押上げ効果分は、実質的には自家発電設備等による電力と言え、太陽光発電による買取価格と同じ価格で買い取られるべきものではありません。
しかし「太陽光発電による発電した電気」と「押上げ効果の電気」とを厳密に区別することは、現在は不可能な状況です。

自家発電設備などを併設している家庭からの電力の買取について議論の結果、

  • 買取制度は燃料電池などの普及拡大を目的としたものではなく、太陽光発電以外の電気の買取義務はない。
  • しかし燃料電池等の導入・普及拡大も大切であり、ダブル発電を導入している家庭を買取対象から一切排除すると、それらの普及の阻害要因となりえる。

という観点から、太陽光発電のみの場合より減額した単価で買い取ることになったのです。

押上げ効果は平均して20%程度と言われており、20%分を安い価格で買い取る想定の買取価格が設定されています。

どういった機器を設置するとダブル発電とみなされるのか?

太陽光発電に加えて以下の機器を導入しているとダブル発電に該当します。

  • エネファーム
  • エコウィル
  • 蓄電池
  • 電気自動車を蓄電池として利用

※ダブル発電に該当しない場合もあります。くわしくは後述します。

エネファーム

太陽光発電に加えてエネファームを導入している場合は、ダブル発電に該当します。

エネファームは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムのことで、天然ガスから水素を取り出して、空気中の酸素と反応させて発電します。
発電時の排熱は給湯に利用できます。

エコウィル

太陽光発電に加えてエコウィルを導入している場合は、ダブル発電に該当します。

エコウィルは、都市ガスを燃料とするガスエンジンで発電を行います。
発電の際に発生する排熱を給湯などに利用する家庭用コージェネレーションシステムです。

蓄電池・電気自動車を蓄電池として利用

蓄電池は発電するわけではないので、ダブル発電に該当するというのはおかしな感じがしますが、ポイントは「押上げ効果」です。
現在は、「押上げ効果がある蓄電池」「押上げ効果がない蓄電池」があります。
押上げ効果があるものはダブル発電となり、押上げ効果がないものはダブル発電になりません。

押上げ効果がある蓄電池

蓄電池にためた電気を、太陽光発電が発電している時間帯に放電(蓄電池から電気を使うこと)することによって、自家発電設備を使うのと同様に押上げ効果があります。
よってダブル発電に該当します。

押上げ効果がない蓄電池

太陽光発電での売電がはじまると、蓄電池からの放電をしない機能を持つ蓄電池が増えています。
こちらですと押し上げ効果がないため、ダブル発電に該当しません。

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ダブル発電ならではのメリットも

エネファームやエコウィルといったコージェネレーションシステムでは、発電の際に出る熱を給湯に利用できるほか、電気を使う場所で発電するため送電ロスもなく、家庭からのCO2排出量削減に期待されています。

エネルギーを無駄なく使えるシステムだからこそ、家庭用燃料電池の補助金制度などが整えられ、普及が進められているのです。

自立運転が可能なタイプも多く、停電時の備えとして役立ちます。
補助金が適用されたり、ガス料金がお得になったりしますので、電気の利用状況によっては、給湯も含めた光熱費が大きく下がる可能性もあります。

売電単価が下がるから経済効果が低いとは限らないですので、各設備の特性などを比較して、生活スタイルにあった設備の導入をご検討ください。

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