現在の太陽光発電は、再生可能エネルギーの「固定価格買取制度(FIT)」により、電力価格よりも高い価格で電力会社が買い取ることが義務づけられています。しかし、太陽光発電が今後拡大し、国内電力供給の一端を担うためには、さらに発電コストを低減した「グリッドパリティ」の実現が必要不可欠だといわれています。今回は、太陽光発電が発展するためのキーワードとなる「グリッドパリティ」について紹介します。
グリッドパリティとは
グリッドパリティ(Grid parity)とは、「グリッド=送電網」が「パリティ=同等」という意味です。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの発電コストが、既存の電力コストと同等であるか、それよりも安価になることを指します。
グリッドパリティの算出方法
太陽光発電のグリッドパリティは、下記の計算式によって求められます。
グリッドパリティ=(「キロワットあたりのシステム価格」+「メンテナンス費用」)÷「耐用年数(寿命)」÷「年間発電量」
- キロワットあたりのシステム価格:キロワットあたりの発電コスト:¥/kW
- メンテナンス費用:パワーコンディショナの交換費用、修繕費用、廃棄費用など:¥
- 耐用年数(寿命):太陽光発電の耐用年数は20~30年といわれています:年(y)
- 年間発電量:1年間の総発電量:kWh
世界で異なるグリッドパリティ
電力料金は、国や地域や時間帯、契約方法によって異なります。また、太陽光発電のメーカー価格や地域日照量などにも大きな差があります。したがって、グリッドパリティの値はそれらの要因によって大きく変わります。
日本におけるグリッドパリティの定義
日本におけるグリッドパリティは、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が3段階に分けて定義しています(2014年9月)。
- 第一段階グリッドパリティ:家庭用電力(従量電灯)価格並み(23円/kWh)/2013年達成済み
- 第二段階グリッドパリティ:業務用電力(高圧以上)価格並み(14円/kWh)/2020年目標値
- 第三段階グリッドパリティ:汎用電源(基幹電源)価格並み(7円/kWh)/2030年目標値
グリッドパリティの進展
NEDOの計算では、第一段階グリッドパリティは2013年の時点で家庭用電力価格と同等の23円/kWhを達成しています。また、2014年7月の日刊工業新聞による独自調査では、家庭用太陽光発電のコストが21円/kWhとなり、家庭用電力価格を下回ったと発表しています。
さらなるグリッドパリティの実現へ
太陽光発電は、「発電するための燃料コストがかからない」という大きなメリットがあります。ほかにも20~30年という耐用年数の長さも魅力のひとつです。その反面、設備機器のイニシャルコストの高さが問題でしたが、製造メーカーやサポート企業の努力による「機器の低コスト化」「システム効率の向上」「運用・保守技術の効率化と低コスト化」など、日々進歩を続けています。近い将来には、住宅用だけでなく、メガソーラーなど非住宅用においても「グリッドパリティ」を達成することでしょう。
参考: