再生可能エネルギーの利用は、国が制定した固定価格買取制度をはじめ、全国の自治体でもさまざまな施策によって促進されています。再生可能エネルギーの普及は当然のように進められていますが、その意義は具体的にどのようなところにあるのでしょうか。以下の3つの点に注目します。
1:地球環境への配慮
大量の二酸化炭素(CO2)が排出されることによる地球温暖化は、解決しなくてはならない重要な問題です。地球温暖化による影響は、北極や南極の氷が溶けるなどの極地の変化、海水温度上昇による海面の上昇や海岸線の浸食、これまでは想像もできなかった異常気象、生態系の変化などが指摘されています。CO2排出の大きな要因となっているのが、火力発電による石油や石炭、天然ガスなど化石燃料の燃焼です。化石燃料エネルギーから脱却し、CO2を排出しない再生可能エネルギーを推進することが国際的にも求められています。
2:エネルギー自給率の向上
日本は、電気やガス、水道などのインフラが整備され、交通手段が充実している豊かな社会です。これらのインフラを維持するために欠かせないエネルギー、電力は、そのほとんどを輸入の化石燃料に依存しています。現在は十分な化石燃料を輸入することができていますが、その価格は高額です。また、今後世界人口の増加や新興国の発展により、世界中でエネルギーの需要が増えていくことが予想されます。2011年までは、CO2の排出量の少ない原子力発電が日本のエネルギー自給率を上げていましたが、3.11の原発事故をきっかけに、その是非について世界中で議論が繰り広げられるようになりました。安全かつ持続的に自給できるエネルギーとして、再生可能エネルギーに注目が集まっています。
3:地域経済の活性化
都心から離れた地方では、少子高齢化による人口の減少や不況などにより、多くの市町村が財政難の状況にあります。このような地方に再生可能エネルギーが普及することで、地域経済の活性化が期待できます。地方には木材を利用したバイオマス燃料、太陽光発電や風力発電施設を建設するのに有利な条件が揃っています。再生可能エネルギー資源を活用し、エネルギーを自らでまかなえば、地域のなかで経済活動が活発になり、雇用も生まれるでしょう。また、再生可能エネルギー資源を利用する地方が増えることで、再生可能エネルギーが日本全体に普及し、その経済効果は大きいと考えられます。
今後の普及に向けて
再生可能エネルギーは、「持続可能な豊かな社会」を実現するために大きな期待が持てるエネルギーです。
環境配慮と経済活性化を含めた総合的な観点から検討したうえで、再生可能エネルギーが普及されることが望まれます。
参考:
- 日本のエネルギーの現状|資源エネルギー庁
- エネルギーの地産地消による地域内経済効果|nerc.co.jp
- 「平成25年度 再生可能エネルギーの活用による地域活性化に関する調査 事例集」(PDF)
- エネルギー需要は2100年に倍増へ=世界的・長期的視野の検討|gepr.org
- 2015年、原発「再稼働」と「廃炉」はどうなる?|東洋経済オンライン
- エネルギーの自給率は550%!再生可能エネルギーが地域を潤すドイツの事例|R Energy SWITCH
- 再生可能エネルギーと地域活性化|経済界