2022年はさまざまなものが値上がりしましたが、燃料費高騰の影響を受け電気料金も上昇しています。
国が負担緩和策として電気代を補助する取り組みの実施が予定されていますが、一方で電力会社の値上げも予定されています。
2023年の電気代はどうなるでしょうか。国の補助による「値下げ」と、電気料金「値上げ」から、具体的な影響金額を見ていきましょう。

国による激変緩和対策事業による電気料金値引き

家庭や企業の負担軽減のため、2023年1⽉から激変緩和対策が実施され、電気料⾦が値引きされます。
電気・ガス価格激変緩和対策事業 | 経済産業省 資源エネルギー庁

支援額

低圧受電契約

使用量1kWhあたりの単価から、2023年1⽉〜8⽉使⽤分は7.0円2023年9⽉使⽤分は3.5円を差し引く。
260kWh/月の電力を使用した場合の例:1,820円/月の値引き(2023年1⽉〜8⽉使⽤分)

高圧受電契約

使用量1kWhあたりの単価から、2023年1⽉〜8⽉使⽤分は3.5円2023年9⽉使⽤分は1.8円を差し引く。
10,000kWh/月の電力を使用した場合の例:35,000円/月の値引き(2023年1⽉〜8⽉使⽤分)

※特別高圧契約は今回の値引きの対象外です。

低圧・規制料金は値上げへ

⼀⽅、東北、北陸、中国、四国、沖縄電⼒の5社が、2023年4⽉からの低圧・規制料⾦の電気料⾦値上げを経産省に申請しています。

規制料金は、燃料価格を電気料金に転嫁する「燃料費調整額」の上限があるため、近年の燃料費高騰を電気料金に転嫁できない状況が続いていました。そのため現在の燃料価格水準に合わせた料金設定に値上げするというわけです。引き続き燃料価格が電気代に転嫁できないレベルにあるため、この5社以外にも値上げが広がることも想定されます。

規制料金とは
低圧の電気料⾦には「規制料⾦」「⾃由料⾦」の2種類があり、⼩売⾃由化前からあるのが「規制料⾦」で、自由化以降のプランが「自由料金」です。
電⼒⼩売は全⾯⾃由化されていますが、⼀般家庭も含まれる低圧の契約では、⾃由化前の規制料⾦も経過措置として引き続き提供されています。⾃由料⾦は電⼒会社判断で料⾦を決められますが、規制料⾦の値上げには経産省の認可が必要となります。

電気料金の推移シミュレーション

2023年1月から国の補助による値下げ、2023年4月からは一部の電力会社・契約プランで電気料金の値上げとなれば、該当する需要家にとって結局電気代は下がるのか、上がるのか、どうなるでしょうか。
主に商店や事務所で電気を使⽤する需要家向けプランを、契約容量15kVA、1ヶ⽉の使⽤電⼒量が1,000kWhの場合で試算してみました。

  東北電⼒
(従量電灯C)
北陸電⼒
(従量電灯C)
中国電⼒
(従量電灯B)
四国電⼒
(従量電灯B)
沖縄電⼒
(従量電灯)
①2022年12⽉
現⾏料⾦※1
補助なし
39,155 31,255 37,428 35,435 36,814
②2023年1⽉〜
現⾏料⾦※1
-7円/kWh
32,155 24,255 30,428 28,435 29,814
③2023年4⽉〜
値上げ後※2
-7円/kWh
43,025 37,694 41,312 36,915 43,174
④2023年9⽉
値上げ後※2
-3.5円/kWh
46,525 41,194 44,812 40,415 46,674
⑤2023年10⽉〜
値上げ後※2
補助なし
50,025 44,694 48,312 43,915 50,174
補助なしの場合の値上げ率(⑤-①)÷① 27.8% 43.0% 29.1% 23.9% 36.3%

※各社の申請内容をもとに弊社で算出
※1 燃料調整費は2022年12⽉分を使⽤
※2 再エネ賦課⾦は2022年度分を使⽤。燃料費が現在と同等と想定し燃料費調整単価は0円/kWhを使⽤。

まとめ

激変緩和対策により、2023年1⽉以降⼀時的に電気料⾦は下がりますが、値上げをする電力会社の場合、4⽉以降は政府補助による値引き額を上回る値上げとなり、12⽉の電気代よりも⾼くなるでしょう。
10⽉使⽤分以降は補助も終了する見込みで、もし燃料価格が⾼⽌まるようであれば、23.9%〜43.0%という⼤きな値上げ率となります。
この試算では、燃料費は現在と同程度を想定しているため、燃料価格が下がれば電気代も下がりますし、燃料価格が上がればさらに大きな値上げ率となります。

また2023年4月に予定されている託送料金値上げは今回の改定内容に含まれておらず、今後託送料金の確定後に反映されますので、さらなる単価アップも予想されます。

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