再生可能エネルギー固定価格買取制度の創設により、太陽光パネルの導入が大幅に拡大しています。太陽光パネルの寿命は20~30年と言われており、2030年代半ばごろには使用済み太陽光パネルの排出量が急増する見込みです。
太陽光パネルには鉛やセレンといった有害物質が使用されていることもあり、関係法令に従った適切な廃棄処理が必要です。将来中古パネルの大量廃棄に関する問題が増えるものと予想されています。
そんな中、いろいろな企業が中古パネルの再利用(リユース)に力を入れ始めています。

大量の中古パネルの排出量が急増の見込み

太陽光発電設備を導入する法人・個人が増え、そこで使用されている太陽光パネルが2030年以降、大量排出されることが予想されています。2015年における使用済み太陽光パネルの排出量は約2400トンでしたが、2040年には約80万トン、300倍以上の排出量となる見込みです。
現在でも地震や台風などによる太陽光パネルの損壊、それにともなう感電や土壌汚染の問題や、事業間の競争激化にともなう経営難による倒産事業の増加など、太陽光パネルの処分についての問題は少なくありません。
太陽光パネルは古くなってきたからと言って簡単に処分できるものではありません。冒頭で紹介したとおり、太陽光パネルには鉛やセレンという有害物質が含まれており、廃棄は法令に則った適正な処理をおこなう必要があります。

このような状況を鑑み、環境省は平成28年3月、太陽光設備のリユース・リサイクル・適正処分のための既存法制度や留意事項などを整理した「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を策定しました。

いろいろな事業がリユースを始めている

太陽光パネルに関するガイドラインが策定される中、国内のさまざまな企業が使用済み太陽光パネルのリユース事業を始めています。
中古パネルの中には、20年以上経過したものであってもまだ利用できるものも多くあり、そのようなパネルを処分するのは社会的な損失であると考える企業があるのです。

そのひとつが長野県に拠点を置く、ネクストエナジー・アンド・リソース社(以下、ネクストエナジー)です。
ネクストエナジーは、住宅や工場、公共施設などで使用され、撤去されることになった太陽パネルを回収し、製品性能の検査・測定をして再販可能と判断できるものをリユース品として販売しています。

また、ネクストエナジーをはじめとした企業の出資で、使用済み太陽光発電をリユース・リサイクルする企業「アールツーソリューション」が2016年3月に設立されました。
アールツーソリューションでは、老朽化や災害で破損した太陽光パネルを全国から受け入れて、性能について検査し、リユース可能なものを販売。リユースが不可能であれば、太陽光パネル専用の設備で分解し、アルミや銀など、素材を取り出してリサイクルします。

使用済みの太陽光パネルに対する需要はオフグリッドソーラー(独立型の太陽光パネル)などに限られており、中古パネルリユース事業の市場はまだまだ大きくありません。
とはいえ使用済みパネルの排出量の増加や廃棄処理問題は存在します。できるだけ無駄な廃棄をなくすには、中古パネルの再利用が必要です。各企業が製品品質の保証などに力を入れていくことで消費者も安心して中古パネルを利用できようになり、需要も伸びていくものと考えられます。

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