固定価格買取制度(FIT)での買取価格が低下したり、電力会社との連系の際に必要な工事費負担が増加したり、平坦な用地が少なくなり太陽光発電のための造成費の高額化が進むなど、太陽光発電事業で収益を上げていくためには一層の工夫が必要となってきています。
そこで必要になってくるのが太陽光発電で利用する太陽光パネルなどの高効率化です。
高効率化に役立つものとして、ハーフカットセルというのがあります。ここでは、太陽光発電の高効率化を図れるハーフカットセルについてご紹介します。

ハーフカットセルとは

太陽光パネル(太陽光モジュール)は、セル(発電素子)と呼ばれるもので構成されています。そのセルのサイズを従来のものの半分にしたものが、ハーフカットセルです。
ハーフカットセルでは、セルが通常のものの半分ほどの大きさで、電気抵抗を低減することで発電効率が向上すると言われています。夏場の暑い時期でも高温による変換効率の低下も抑えることでき、より効率的に発電することが期待できます。

ハーフカットセルのメリット

では、ハーフカットセルの太陽光パネルを利用することにどのようなメリットがあるのか紹介しましょう。

パネルの温度上昇を抑えられる

パネルの温度が上がることは発電効率が悪くなるため、温度上昇を抑えられることで効率アップが見込めます。
また落ち葉や鳥のフンなどによる局所的な影の影響で起こる温度上昇「ホットスポット」も、従来のセルに比べて温度が上がりにくいことで起こりにくいと言われています。

バイパスダイオードの温度上昇を抑えられる

バイパスダイオードとは、発電できていないセルを回避するために太陽光パネルと組み合わせて使用する素子のことです。バイパスダイオードが熱を持つと、きちんと回避できなくなり、効率的な発電をおこなうことができなくなります。ハーフカットセルではバイパスダイオードの温度上昇も抑えることが可能です。

ハーフカットセルのパネル

ハーフカットセルの太陽光パネルにはどのようなものがあるのでしょうか。各メーカーの製品を一部紹介します。

カナディアンソーラー Kuシリーズ

カナディアンソーラーから販売されている「Kuシリーズ」は「p型半導体セル」を用いたハーフカットセル型の太陽光パネルです。
従来であれば60セルで構成されていた太陽光パネルは120セル、72セルで構成されていたものは144セルで構成するなど、セルのサイズが半分になっています。
「Kuシリーズ」には「KuPower」「KuMax」など、最大出力や変換効率の異なるタイプがあります。

XSOL XLMA-271VK

XSOLから販売されている「XLMA-271VK」も、ハーフカットセルで構成された太陽光パネルです。効率的セルを作るために最適な本数である4本バスパー(電極の通り道)を採用し、セル変換効率が2.5パーセント向上しているなどが特徴です。また、3層構造バックフィルムや耐食性コーティングなどが施されているなど、耐久性の高さも高くなっています。

効率的な発電をするために最適なハーフカットセルを利用した太陽光パネル。より効率的な太陽光発電をする必要が出てくることが予想される今後の太陽光発電システムにおいて、注目されるセルになっていくものと考えられます。

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