太陽の「熱」で発電する太陽熱発電は有名です。しかし、同じ「熱」を利用して発電するシステムである「海洋温度差発電」というのはあまりよく知られていないと思います。いったい、「海洋温度差発電」というのはどのような仕組みで発電するものなのでしょうか。
ここでは、「海洋温度差発電」の仕組みと、メリット・デメリット、またそのシステムを利用した事例などを紹介します。

海洋温度差発電とは

海洋温度差発電というのは、海洋の温度差を利用して発電する発電システムのことです。
太陽光を浴びる海面と太陽光の届かない深海とでは水温に大きな差があります。その水温差を利用して発電するのです。

1926年にフランス人化学者のジョルジュ・クロードが発電実験に成功したことから実用化が進められました。
当時クロードがおこなった実験は以下のように行われました。

まず温水の入った容器と小型のタービンをパイプでつなぎます。タービンの後段には冷水が半分入った容器を置いておきます。これは全体が密閉された構造になっており、冷水が入った容器から真空ポンプで空気を抜くことで、温水容器の温水が沸騰してタービンを回し発電するという仕組みです。

つまり、真空状態を作り気圧を下げ温水の沸点を下げて、温度差により蒸気を発生させることができれば、発電が可能になるということです。

当時は真空ポンプを使い沸点を下げていましたが、現在ではタービンを回す作動流体に「アンモニア」や「代替フロン」(両者とも沸点が水よりも低い)を用いて発電が行われています。現在の仕組みは以下に簡単に紹介しておきます。

  1. 表層海水の熱を使って、作動流体を加熱し蒸発させる
  2. 気化した作動流体によってタービンを回転させて発電
  3. 気化した作動流体を深層海水の冷たさで液化
  4. 液体となった作動流体を再び蒸発器に送る

海洋温度差発電のメリット・デメリット

海洋温度差発電を利用することで得られるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

海洋温度差発電のメリットは、電力源が24時間365日一定しているということでしょう。海面と深海の温度差を利用しているので、夏の快晴の日などは出力が高くなることもありますが、冬の夜間や雨の日であっても、出力はだいたい一定に保たれます。
その安定した電力源のため、原子力発電や火力発電に向いている「ベース電源」としての役割を担うことができる発電システムであると言えるでしょう。

ただし、欠点もあります。それは海の温度差を利用するという特徴から「海がある」、さらに「海面と深海の温度差が15度以上ある地域」でしかおこなえないという、地域偏在型のエネルギーであると言うことです。また、遠浅の海も海面と深海の温度差がないことから利用できません。

海洋温度差発電の事例

沖縄本島西に100キロほどの位置にある久米島で、世界初になる海洋温度差発電の実用実証プラントがおこなわれました。

2013年に島の東海岸の沖縄県海洋深層水研究所に出力50キロワットの発電プラントを完成させました。そこから2キロメートル以上の取水パイプで600メートル強の深さから水温8.5度の深層水を取水して、年間平均26.5度の温度差がある海面の水を用いて発電するのです。

エビの養殖、野菜の栽培、また島全体の電力系統につなげる電力源として活用されています。

以上が海洋温度差発電の仕組みと、メリット・デメリット、そして久米島での活用事例です。この先発電システムの主流になっていくかもしれない海洋温度差発電。しっかり把握しておきましょう。