一口に「太陽電池」といっても、素材や製造方法によって種類が異なります。コストや発電効率など異なるメリットとデメリットを持ち合わせているため、それぞれの特性をしっかり比較して購入してください。
今回はソーラーパネルを構成する太陽電池(セル)の種類についてご紹介します。国内外のメーカーが取り扱うシリコン系と化合物系それぞれの太陽電池についてチェックしましょう。

国内外で販売されている4種類のシリコン系太陽電池

単結晶シリコン太陽電池

現在の太陽電池技術の中でもっとも古くから存在する技術が、「単結晶シリコン」を利用したものです。
単結晶シリコンインゴット(塊)をスライスし、四方をカットした八角形状の「ウェハー」を敷き詰めてモジュールを構成します。長年技術開発が進められてきた単結晶シリコンは、他種に比べて故障が少なく、産業用太陽光発電システムに利用された実績も多い発電技術です。
開発当初(1960年代)の発電効率は6%程度でしたが、現在販売されている製品では13%を超えるものも多く、高性能単結晶シリコンを用いたものではおよそ20%程度に上るものも存在します。開発歴の長い技術であるだけに流通している製品も多く、東芝やパナソニックなど、国内外問わず数多くのメーカーから販売されている点が魅力です。
限られた面積で高効率な発電をすることができますが、高純度の単結晶シリコンを製造するためにはコストがかかるため、比較的高価な製品が多いということに留意しておきましょう。

単結晶シリコンの太陽電池

単結晶シリコンの太陽電池

多結晶シリコン太陽電池

現在もっとも広く流通している「多結晶シリコン太陽電池」を利用した太陽電池です。
単結晶シリコンを製造した時に残る端材やコンピュータ用ICの端材など、数mm程度の細かいシリコンを集めてウェハーを構成したもので、大理石のような見た目が特徴的です。
単結晶シリコンに比べてウェハー単位での純度が低いため、変換効率は15~18%程度に留まりますが、単体の製造単価が安価に抑えられるため、現在の住宅用太陽光発電システムの9割を多結晶シリコンが占めています。
円柱状のインゴット(塊)から切り出される単結晶シリコンは製品化に際して八角形に加工されるのですが、セル同士の間に隙間ができやすくパネル上に無駄なスペースが生まれてしまう場合があります。シリコンの粒から成る多結晶シリコンは方形に加工することが容易であるため、パネル上の隙間を少なくすることが可能です。ただし単結晶シリコンに比べると面積当たりの発電効率は劣るため、初期費用の回収期間や売電に至るまでに時間がかかることを留意しておきましょう。
多結晶シリコンに関しては、シャープや京セラが大きなシェアを獲得しており、独自の品質管理試験を導入するなど、製品としての信頼性にも定評があります。

多結晶シリコンの太陽電池

多結晶シリコンの太陽電池

薄膜シリコン太陽電池(アモルファスシリコン、もしくは微結晶シリコン)

「薄膜シリコン太陽電池」は、単結晶シリコン、多結晶シリコンと比較して“薄さ”という点で大きな特徴を持ち合わせます。厚さ1μm以下のシリコン膜を用いたセルを製造することができ、シート状のフレキシブルソーラーパネルや、液晶ディスプレイにも応用することができる技術です。
薄膜シリコン太陽電池の製造には、主に「アモルファスシリコン」が用いられています。「アモルファスシリコン」は、非常に細かいシリコン素子を不規則に配列した非結晶型の素子を用います。ランダムなシリコンの間に水素原子などの不純物を含むため、発電効率9%程度と他のシリコン系セルに劣ります。しかし製造が容易であることや、軽量で熱に強いこと、ガラスやステンレスに貼り付ける形で製造できることなどの使いやすさが魅力です。
アモルファスシリコンの長期利用に伴う発電効率の低下、いわゆる光劣化現象を克服するために、多結晶シリコンを構成するシリコン素子よりもさらに細かい「微結晶シリコン」を併用することが一般的です。
国内メーカーではカネカ、国外メーカーではNexPower Technology(台湾)が、アモルファスシリコンを取り扱っています。

多接合太陽電池(ヘテロ接合太陽電池、HIT太陽電池)

上記の技術を応用した太陽電池として、薄膜シリコンを複層化することで高効率発電を目指す研究も進められています。
「多接合太陽電池」とは、シリコンのみを使った「単接合太陽電池」とは異なり、複数の物性を持つ素材を重ね合わせて作る太陽電池です。ホモ接合方式に対して「ヘテロ接合太陽電池」、Heterojunction with Intrinsic Thin-layerの頭文字を取って「HIT太陽電池」と呼ぶ場合もあります。
現在開発が進められている多接合太陽電池は、水素を含むアモルファスシリコン(a-Si:H)と微結晶シリコン(μc-Si)を組み合わせた「微結晶タンデム型アモルファスシリコン太陽電池」が代表的です。微結晶シリコンを被膜化して利用するため、シリコン使用量を抑えることで、省資源・省エネルギーで製造することが可能です。さらにアモルファスシリコンは緑~青など波長の短い光を、微結晶シリコンはオレンジ~赤など波長の長い光の吸収係数が高いという特徴があります。
HIT太陽電池については、パナソニックが発電量や温度特性ともに業界トップクラス。また海外メーカーではNexPower Technologyが微結晶タンデム型アモルファスを取り扱っています。

現在流通している2種類の化合物系太陽電池

多元素化合物半導体を用いた太陽電池(CIS太陽電池、CIGS太陽電池)

化合物系太陽電池では、「CIS太陽電池」や「CIGS太陽電池」など、複数の元素を組み合わせた多元素化合物半導体を用いたものが実用化されています。
「CIS太陽電池」は、銅(Cu)、インジウム(I)、セレン(Se)を主原料といった原料を組み合わせた半導体です。原料が低コストでありながら発電効率も12%程度と良好であるため、実用性に優れた種であるといえます。シリコン系と比べても光吸収効率が高く薄膜化が容易で、同じ厚さであれば100倍程度の吸収効率を持ちます。
また、セルと電極を一括形成することから、モジュールに影ができてもシリコン系に比べて発電効率が低下しづらいことも特徴です。温度計数が低く高温環境でも出力が低下しづらい上、直射日光下ではアニール効果に伴う瞬間的な出力増加も見られる、夏季などの運用に強いセルなのです。
また上記3元素に加えてガリウム(Ga)を加えたものは「CIGS太陽電池」と呼ばれ、より効率的に電力を生み出すことが可能です。エネルギーバンドギャップが1.25eVと、CIS半導体(1.04eV)に比べて太陽光エネルギーの吸収性が高いという特徴があります。
CIS太陽電池は、ソーラーフロンティアのモジュールで使用されています。

III-V族多接合太陽電池 (GaAs族太陽電池など)

「III-V族多接合太陽電池」は、約40%という発電効率を誇る超高性能太陽電池です。
代表的なものとしては「GaAs族太陽電池」が挙げられ、III族(ガリウム)とV族(ヒ素)を中心とした原料から作られる半導体で構成されたセルであり、単接合型の中でもトップクラスの発電効率を実現します。
主要な構造として単結晶化合物によるウェハーを用いる点や、ガリウムやインジウムといったIII族のレアメタルを多用するため、原料や製造コストが高価あることがネックです。ただ高効率な発電性能以外にもメリットが多く、耐放射線性を持ち合わせているため宇宙開発に用いられたり、高温環境でも出力低下が少ないことから直射日光の多い地域などで利用されたりしています。
製造過程で毒性の強いカドミウムを用いることから、日本で化合物系(非シリコン系)太陽電池開発を行うメーカーは現在、ソーラーフロンティアのみとなっています。1984年に旧松下電器株式会社(現パナソニック株式会社)が世界に先んじで民間製品化を果たしましたが、環境対策や安全性に対する配慮から現在は取り扱っていません。


太陽光発電システムは一様に高価なイメージがあるかもしれませんが、種類によっては住宅用としてお求めやすいものも存在します。コスト面以外にも、敷地面積や日照時間といった事情に対応することができるため、用途に合ったモジュールを選ぶことが大切です。