太陽光パネルイメージ
2021年2月25日時点で、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」のパブリックコメントが受付中です。(2021年2月8日21時0分〜2021年3月9日23時59分)

この中にパネルの廃棄費用を外部積立することが含まれています。
売電金額から源泉徴収的に積み立てられるもので、産業用のFIT売電を行っている発電事業者全てに影響がありますので、実施に向けて進んでいるこの内容について、パブリックコメントで意見募集中の「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」の改正案をもとにご紹介します。
発電事業ごとに事情があり、それぞれ個別の疑問をお持ちの方も多いと思われます。細かな疑問点への答えとなりうる内容を、分かる範囲で委員会資料などから拾ってご紹介します。

パネルの廃棄費用に関するここまでの経緯

太陽光発電事業は参入障壁が低く、他業種の事業者が取り組むことも容易なため、投資物件として急激に増加しました。
発電事業の終了後には解体、廃棄、リサイクルなどをすることになりますが、適切な処分には費用がかかるため、放置や不法投棄されるのではないかという懸念が持ち上がりました。

2017年4月
改正FIT法が施行され、「再生可能エネルギー発電事業を廃止する際の発電設備の取扱いに関する計画が適切であること」が盛り込まれました。
発電時事業終了の際の廃棄計画を盛り込んだ事業計画を立てたうえで、認定を受けることになりました。

2018年7月31日
廃棄費用に関する報告が義務化。
定期報告(運転費用報告)の項目に廃棄費用に関する項目が追加されました。
参考:廃棄費用(撤去及び処分費用)に関する報告義務化について(周知)(資源エネルギー庁)

低圧太陽光を不安視する声の高まり。
積み立てていない事業者が多いことが課題として持ち上がる。

2019年4月11日
太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループが設置される。
廃棄費用を確実に確保するための制度設計についての検討が始まる。

2020年6月5日
第201回通常国会において、廃棄等費用の確実な積立てを担保する制度等を内容とした再エネ特措法の改正(再エネ促進法)を含む「エネルギー供給強靱化法」が成立。
その中で、事業用太陽光発電事業者に、廃棄費用の外部積立を原則義務化。

このまま決まれば…

2022年7月1日
積立が始まる事業者が出始める(予定)

対象者は?

FIT認定を受けた10kW以上の全ての太陽光発電事業です。
10kW以上であれば全量売電、余剰売電のいずれも含まれます。

FIT買取価格には、廃棄費用も含む必要コストを想定した上で買取価格の設定がされているため、“売電料にはすでに廃棄費用が含まれている”というのが国の認識です。

発電事業者自身で積み立てる方法を選択できないのか?

金融機関の自動積立定期預金などを利用して、自身で積み立てたいという声もあるでしょう。しかし基本的には売電料から源泉徴収的に引かれる「外部積立」をする必要があります。
例外的に、長期安定発電の責任・能力を担うことが可能と認められる事業者に対しては発電事業者自身での積立(以降「内部積立て」と呼びます)が認められる場合があります。

内部積立てが認められる条件

以下の1〜6をすべて満たすこと。

  1. 50kW以上
  2. 電気事業法上の発電事業者
  3. 積み立てられるべき水準以上の積立の予定が立てられており、公表することに同意すること。
  4. 定期報告のタイミングでしかるべき額の積立がされており、その公表に同意すること。
  5. 金融機関や会計士等により定期的に確認されていること。
  6. 上記1〜5を満たさなくなった場合、すぐ外部積立を行うことに同意すること。

いくら積み立てる?

買取単価ごとに、1kWhあたりの「解体等積立基準額」が定められます。
「解体等積立基準額(円)」✕「売電電力量(kWh)」が「積立金額」となります。

解体等積立基準額

調達価格ごと解体基準額

出典:電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等の概要

いつから積立てが始まる?積立期間は?

FIT買取期間20年のうちの後半10年間

  • FIT買取が終了する日から起算して10年前の日以降に最初に検針が行われる日からFIT買取終了まで
  • 「FIT買取が終了する日から起算して10年前の日」が2022年7月1日以前になる事業は、2022年7月1日以降の最初の検針が行われる日からFIT買取終了まで

どうやって積み立てる?

売電金額から積立金を差し引いて支払われる源泉徴収的な積立になります。

  1. 売電金額の支払日に、「解体等基準額(円)」✕「売電電力量(kWh)」の金額を電力会社へ引き渡す。(積立金を差し引いた売電金額が支払われる)
  2. 電力会社は調整交付金の交付日に電力広域的運営推進機関(以下、推進機関)へ引き渡す。(積立金を差し引いた調整交付金が支払われる)
廃棄費用の外部積立の流れ

出典:太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討④

解体等積立金の取戻し方法

廃棄等が確実に実施されると見込まれる資料の提出が求められ、「取り戻し審査」が行われます。

いつ取戻しができる?

FIT買取期間(20年)終了後に取戻しができます。太陽光パネルの製品寿命は一般に30年程度とされることから、期間中にパネル交換が必要となる場合は少ないとされたため、基本的にはFIT買取期間終了後となります。(例外あり)

  • 調達期間終了後に事業を終了・縮小するケースでパネルの廃棄が発生するとき
  • 調達期間終了後にパネル交換をして事業を継続するとき(ただし廃棄される太陽光パネルの割合や量が一定値を超える場合のみになる見込み)
  • 例外的に調達期間中であっても、太陽光パネルの全部又は一部を廃棄し、発電事業を終了したり縮小する場合には、積立金の取戻しが認められます。(ただし廃棄される太陽光パネルの割合や量が一定値を超える場合のみになる見込み)

また取戻しの申請は、解体工事の前でも後でも可能ですが、提出書類などが異なります。

解体等積立金の取戻しの手続き方法

以下の書類を提出して手続きを行います。

  • 申請書
  • (解体工事前の申請の場合)解体等を行うことを証する書面及びその費用の額を証する書面
    例)解体事業者との契約書、見積書など
  • (解体工事後の申請の場合)の解体等が完了したことについて経済産業大臣の確認を受けたことを証する書面

積立てた金額はいくら戻ってくる?

推進機関に積み立てられた解体等積立金の全額が取戻し可能な金額であると示されています。
これを上限に実際に廃棄に要した費用が取戻し可能なのか、実際に積立てた全額が取戻し可能なのかは、現時点では不明です。

解体等積立金の取戻し後、別件に流用していない確認をどうするのか?

解体工事の完了前に取戻しが可能であるため、積立金を取戻した後に解体工事をせずに放置するということもありえるのでは?という疑問が浮かびます。
これを防止するために、

  • 解体工事の前に取り戻す場合、解体事業者との間で契約書が締結されているなど「廃棄等が確実に実施される」と見込まれる場合のみ認めることとする。
  • 解体工事の着工日や工事費の支払日を踏まえて支払う。
  • 廃棄等が適正に実施されたことを確認できる資料等を事後的に提出させる。

といった策が検討されているようです。
もし積立金を取り戻したにもかかわらず実際には適切な廃棄等がなされていない場合は、取り戻した積立金を、再度、積立金の管理機関に積み立てることを求めるべき、とも言及があります。

FIT期間中に発電事業者が倒産したら積立金はどうなる?

発電事業者が倒産した場合、発電事業自体は他の事業者に譲渡され、発電事業者を変更する変更認定を行って、譲渡先の事業者が発電事業を継続する場合が多いと見込まれます。譲渡先の発電事業者に積立て金も承継されることになり、廃棄等費用は継続的に確保されるとされています。
また債権者が積立金を差し押さえた場合であっても、取戻し条件が満たされない限り、積立金は取り戻せず、廃棄されるまで積立金は確保されるとのことです。

実際の廃棄費用が積み立てた金額より高かったら?

実際に廃棄するのはまだまだ先ですので、想定された金額よりも高額になり、積立金額で賄えないケースも出てくるかもしれません。その場合は発電事業者が不足分を負担すると明記されています。

FIT買取期間終了後も発電事業を続ける場合の積立金の取戻しはどうなる?

古いパネルを交換しながら事業を継続する場合には、全体の太陽光パネル容量に対し、交換・廃棄される太陽光パネルの割合に応じて積立金の取戻しが認められるようです。ただし交換・廃棄される太陽光パネルの割合や量が一定値を超える場合に限るとのことです。
またそのように悪くなった部分を少しずつ交換しながら長期間に渡り事業を継続する場合、交換後のパネルの廃棄費用の確保の検討が必要ですが、現時点の積立て金額はFIT制度の太陽光発電設備の一度きりの廃棄の金額で想定されているため、発電事業者が自身で調達期間終了後の事業の中で確保することになります。

参考: